« 国内二輪メーカの事業状況 | トップページ | ホンダと川崎の二輪事業 »

2013年7月17日 (水)

ヤマハとスズキの二輪事業

二輪車事業について、ヤマハとスズキの例について考えてみる。

二社の売上と、二輪部門セグメントの売上高・営業利益・売上割合の推移を下に示す。単位は百万円である。決算資料より集計した。

■ ヤマハ二輪車事業売上・営業利益推移 (単位:百万円 / 12月期決算)
         売上高    二輪車売上   二輪車利益 二輪売上割合
  2012    1,207,675     798,676     -191    66%
  2011    1,276,159     887,556    27,573    70%
  2010    1,294,131     905,977    42,740    70%
  2009    1,153,642     817,058    -4,151    71%
  2008    1,603,881    1,028,809    33,605    64%
  2007    1,756,707    1,056,212    63,030    60%
  2006    1,582,046     914,810    54,603    58%
  2005    1,375,249     759,775    33,181    55%

■ スズキ二輪車事業売上・営業利益推移 (単位:百万円 / 3月期決算)
         売上高     二輪車売上  二輪車利益 二輪売上割合
  2013    2,578,317     230,290    -11,946     9%
  2012    2,512,186     254,761    -2,433    10%
  2011    2,608,217     257,682    -10,814    10%
  2010    2,469,063     262,910    -21,057    11%
  2009    3,004,888     454,349    -6,416    15%
  2008    3,502,419     591,967    22,542    17%
  2007    3,163,669     588,177    45,377    19%
  2006    2,746,453     561,306    45,931    20%
  2005    2,365,571     460,568    38,151    19%
  2004    2,198,986     416,855    33,639    19%
  2003    2,015,309     347,797    28,429    17%
  2002    1,668,251     312,466    25,811    19%
  2001    1,600,253     272,727    16,320    17%
  2000    1,521,192     246,215     6,678     16%

ヤマハは12月末の決算であり、スズキは3月末の決算である。
2009年頃から二輪売上が落ちてきている。若干の戻しがあっても売上の減少傾向は共通している。景気の減速が影響しているかもしれない。二輪車は先進国では趣味性が高く、途上国では生活の道具となっている。ということは、販売国がどこにあるかが重要となる。決算資料から、二輪の販売地域の振り分けしたデータがあったので、推移をみることにする。台数と売上があったが、上記と比較し易い売上を採用する。

■ ヤマハ二輪車事業地域ごとの売上推移 (単位:百万円 / 12月期決算)
        2012   2011   2010   2009    2008    2007    2006   2005  
国内    36,104  37,047   32,423  38,015   43,423   46,510
海外    762,572 850,508 873,553 779,042  985,386 1,009,700
北米    41,632  35,602  34,052  57,979  107,123  139,380
欧州    79,187  91,150 111,964 143,723  215,012  256,700
アジア  533,049 594,147 607,861 478,966  520,143  469,800
その他  108,702 129,607 119,675  98,371  143,105  143,800
 計    798,676 887,556 905,976 817,057 1,028,809 1,056,212  914,810  759,775


■ スズキ二輪車事業地域ごとの売上推移 (単位:百万円 / 3月期決算)
       2013   2012   2011   2010   2009   2008    2007   2006   2005   2004    2003
国内   22,201  22,419  23,317  25,987  38,283  43,219  39,894  44,057  38,735  38,388  43,643
海外   208,089 232,341 234,364 236,922 416,065 548,748 548,282 517,249 421,833 378,466 304,154
欧州   30,561  42,363  54,849  70,659  116,861 179,794 165,234 139,881 114,404 119,370 106,939
北米   37,753  37,826  25,099  40,277  86,102 153,729  204,855 184,359 150,645 135,506 125,633
アジア  102,369 108,473 109,104  88,064 134,785 130,314  113,601 146,173 127,470 102,751  52,467
その他   37,403 43,678  45,311  37,920  78,315  84,908   64,591  46,836  29,313  20,837  19,114
 計    230,290 254,761 257,682 262,910 454,349 591,967 588,177 561,306 460,568 416,855 347,797

ヤマハは近年のデータのみとなっている。10年程度の決算資料は引き続き公開して貰いたいものだと思う。不都合でもあるのだろうかと勘繰ってしまう。それほどないと思うのだが。
国内と海外の比は、ヤマハが1:20、スズキが1:10というレベルである。ヤマハは欧州、北米の減収をアジアで補っている。一方スズキは、欧州、北米が1/5と大幅に減らしているが、アジアも減らす状況が業績悪化につながっている。スズキはアメリカ市場から四輪の撤退を決めているが、二輪に関しては変わらずに対応と発表している。二輪と四輪の販売網は異なると想像するが何か影響があるのだろうか。スズキはGSX1300R 隼 (Hayabusa 1300かな?) で世界最高速と争ったのだから、欧州でそれなりのネームバリューがあるのだろうと思うが、商売はそうもいかないものなのかもしれない。川崎のニンジャZX-12Rでも同じ事情だろうが。
アジアで成功するかどうかが現在の事業の成否を決めているようである。インドネシアのバイク普及率は4人に1台と高率なので人口の多さと相まって期待できる市場である。実際、インド、中国に次ぐ第三の市場である。インドネシアのバイク市場の規模は700万台と言われる。MTが30%を占めるが、近年はATモデルの割合が増加している。この要求に合ったモデルの充実を各社は計っている。現状は、ホンダが六割のシェアを持っている。2012年はローン規制の影響を受けて販売台数が減少したというが、生活必需品であることは変わらない。
スズキは今年5月にインドネシアで新モデルの生産開始を発表している。スズキのインドネシア工場は2012年に増強しているが、2010年の生産能力が二輪車で100万台/年あるのに対し実績は56万台公表している。2013年のスズキのアジアでの販売台数が700万台強であり、2011年の917万台への回復を目指さないと黒字化は難しそうである。
ヤマハもインドネシアを重視することは同じである。2011年に新工場の投資を行い、それ以前の360万台の生産能力を400万台に引き上げている。しかし、2012年に当初計画していた370万台の販売を上期決算報告では240万台に引き下げている。これは上記のローン規制による影響である。
ローン規制による大幅な販売見通しの修正を、スズキやヤマハが行うなか、ホンダは最小限の修正で済ませている。それ以前からの販売対応 (ローンの頭金額の設定などである程度厳しくしていたので、規制が変わっても対応可能な範囲にあった) によるものであるが、所得の高い側がホンダに流れている状況もあったのではないかと推定される。新興国の市場は、国の政策による影響が大きく出がちであるし、販売に関する商習慣の違いなど簡単でない問題が多くあるだろう。これを現地の代理店に任せて済ませるか、困難を承知で解決するように臨むかでその後の結果は大きく変わる。ホンダは難しい問題を解決したのだろうが、インドネシア事情を理解するのは大変なのでこれくらいにする。

次回は、そのホンダと川崎を扱うことにする。


インドネシア事情は理解できたら応用が利きそうだが、道のりは険しい。

« 国内二輪メーカの事業状況 | トップページ | ホンダと川崎の二輪事業 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 国内二輪メーカの事業状況 | トップページ | ホンダと川崎の二輪事業 »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ