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2013年7月 5日 (金)

楽天、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に取材拒否

先日の英語公用語化への調べをしていたら、楽天のプレスリリースに凄いことが書いてあったので、もろもろ考えることにする。

楽天のプレスリリース(2013年7月2日)の表題は、「三菱UFJモルガン・スタンレー証券のアナリストレポートについて」である。内容については理解する能力に欠けているのでなんとも説明しようがないのではあるが、乱暴にまとめてしまうと以下のような話であるようだ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荒木正人シニアアナリストが2013年6月21日に発行した楽天に関するアナリストレポートについて、気に入らない内容が含まれていたので、楽天は荒木と面会し不満がある点を提示し、改善を要望した。少しはましになったようだが、要求を満たすものではなかった。それ故、楽天としては荒木による過去及び将来のレポートは楽天に不利なことが書かれるだろうし、それは不本意で間違ったものだと考えて良い。だから、投資家の皆様におかれましては、楽天への投資判断の助けにならないから、参考にしないようにお勧めする。当然、楽天は今後荒木の取材を一切受けない。
もっと短く括れば、気に入らないレポートを書くアナリストには対応しないということである。楽天の決算資料を見ていて感じたのは、開示されている情報が少ないというか、分かり難いことである。企業の活動状況を開示したくない気持ちは十分理解できるから、そこについて責めるつもりはないのであるが、投資家に分析結果を提示することを生業 (これだけではないのだろうが) にしているアナリストからすれば、公開情報が少なければ想像で補うよりない。アナリストではないし、アナリストに関わりを持つことは過去にも将来にもない立場でも、それはそれで同情できる話と理解する。ならば、アナリストは楽天を無視すれば良いという素人考えは、楽天の時価総額が1兆6,000億円もあればそうもいかない。

楽天の決算報告が分かり難かった理由を書く。海外売上を調べるのが目的だったのだが、どのような事業構成になっているかを確認して置くことにした。セグメント売上高の推移を下に示す。

■ 楽天のセグメント売上高推移 (単位:百万円)
  インターネットサービス  インターネット金融                  その他          計
2012  285,814        156,430                         33,269        475,514
2011  228,567        141,160                         34,174        403,903
-----------------------------------------------------------------------------------------
2010  146,632  30,859  23,779  66,515  5,287  35,194  24,265   8,241  22,858  363,635
2009  116,660  24,493  19,681  59,926        31,505  23,573   8,833  26,454  311,127
2008   92,383  15,295  16,549  66,755              24,807   8,434  34,252  258,479
2007   76,879  14,678  13,361  71,098              30,557   8,245   9,700  224,523
2006   59,150  13,078  10,726  79,602              40,556   7,266        210,381
      EC   ポータル トラベル クレジット 電子   銀行   証券   プロ    通信    計
           メディア        カード   マネー             スポーツ

分かり難いのは2011年から従来複数のセグメントになっていたものをまとめたことである。決算で重要なのは正確であることと、継続性が保たれていることだと考える。売上高が増えてセグメントを分割するのは合理的であると考えるが、伸びていてまとめる動機が分からない。肯定的にこれを捉えるなら、インターネットサービス事業が、EC事業、ポータル・メディア事業、トラベル事業であり、インターネット金融事業が、クレジットカード事業、電子マネー事業、銀行事業、証券事業であり、その他の事業が、プロスポーツ事業、通信事業であることが示されているから十分だと理解するよりない。
公開したくない情報があるに違いないと考えて、(やぶにらみと書こうとして止めた。これが不適切な表現だ思ったからだがそうでもないようだ。まったくもってどうでも良い) セグメントの営業利益の推移を下にまとめた。

■ 楽天のセグメント営業利益推移 (単位:百万円)
  インターネットサービス  インターネット金融                  その他          計
2012   58,639        23,714                         1,585          83,938
2011   65,583        12,970                         1,142          79,696
-----------------------------------------------------------------------------------------
2010   41,039  2,376  10,285   2,509  -598   1,656   5,203   -1,332   1,073   62,215
2009   36,222  1,164   8,801   3,312        2,418   4,463    -617     362  56,128
2008   26,066   -205   7,462  10,703               3,856   -811     434   47,507
2007   19,541   -362   6,004  -25,175               5,746    -836    -394   4,523
2006   17,657   393   4,659  -6,149              15,358   -1,396         30,523
      EC   ポータル トラベル クレジット 電子   銀行   証券   プロ    通信    計
           メディア        カード   マネー             スポーツ

電子マネー事業が改善されたのか気になるが、まとめられると分からない。このようなまともな理由ではなく、プロスポーツの赤字を表にしたくないというという単純な理由が本当のところかもしれない。プロスポーツは、プロ野球の楽天球団の事業を指す。楽天に関係してそうなJリーグのヴィッセル神戸 (クリムゾンフットボールクラブ) は、三木谷家の個人資産管理会社が株主なので楽天とは決算上の関係は無い。プロ野球は82億円の売上で、13億円の赤字という事業である。プロ野球の事業内容は公表されている情報がほとんどないから、楽天が沢山公表してくれると嬉しいのだが、嬉しいのは無関係な者たちで、楽天の重視するステークホルダーには知られたくない情報なのかもしれない。なお、参考の為に記すとJリーグはもろもろ公表されている。

素人の延長線上に玄人があるとすれば、情報の開示不足があるのだろうという推定は正しいのだろう。素人の延長に玄人があるとは限らないから、情報開示が不十分とする指摘については専門家の意見を確認する必要があるだろう。まあ、継続性が欠けるというのは十分に問題だからそれだけで非難して良いように思う。これを小さなことと言う向きには、神は細部に宿り給うと反論するよりない。

メディアの締め出しは最近の流行のようである。自民党は7月4日、TBSの報道について公正公平を欠くと抗議し、取材拒否を発表した。橋下徹も似た話をしている。自身の主張に反対する側は、主張を明確にして広めるのに大切な存在である。橋下は話題作りの手段である可能性が高いが、自民党の素朴さからすると本音なのかもしれない。選挙が始まっていることだしこれ以上は書かないことにしよう。
楽天の株式への書き込みを見たら証券会社のアナリストへの批判がことのほか多かった。彼らが勝手なことを書いて市場をリードして投機筋がかっさらうということのようだ。アナリストというのはそういう者だし、そもそも証券市場はゼロサムゲームであるのだから、大資本が有利となるのは当然である。キャピタルゲインを短期に得られると思っているのは、自分だけが特別な知識や情報や判断力があると信じているのだろう。博打で身を持ち崩すのは、自分だけが特別と思っている者と決まっている。


手間を掛けて集計したものは必ず使う。

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