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2013年7月11日 (木)

養子あっせんで寄付金授受 東京都、民間団体を調査

特別養子縁組のあっせん事業を手がける東京都内の民間団体「ベビーライフ」が、養父母側から寄付などの名目で100 万円を超える現金を受け取っていたとして、都は7月11日、立ち入り調査に入った。営利を目的とする養子縁組あっせんを禁ずる児童福祉法に違反していないか確認する。
特別養子縁組のあっせん事業は都道府県などへの届け出制で、児童福祉法は人身売買を防ぐため、事業者が利益を得ることを禁じている。厚生労働省によると、14の団体・個人が事業を手がける。2011年度は民間のあっせんで127人が養子になった。2007年度の22人から増え続けている。 厚生労働省は1987年の通知で、事業者が養父母から受け取れる金を交通費や人件費などの実費に限定。2006年には、寄付金は任意の場合に限ることを明記し、実費の範囲も具体的に示した通知を出した。実態を上回るとみられる「実費」や、金額が一律の「寄付」を授受するケースが後を絶たないことから、昨年3月と今年6月末には自治体に事業者への指導を徹底するよう指示した。(朝日新聞:7月11日)


良く知られていない制度であるので、考えてみることにしよう。

養子縁組には、一般養子縁組と特別養子縁組がある。結婚に際して婿や嫁を子供にするのは一般養子縁組の例である。この時代になっても誤解している人がいるが、結婚に際してどちらかの氏を名乗ることを民法750条が求めているので、男性または女性の氏を選択する。この氏の選択だけでは親子関係は成立しない。婚姻は、両性の合意のみに基いて成立するというのが憲法24条だから、親子関係に波及しないのは当然となる。生物学的な親子関係以外に、人工的に法的な親子関係をつくる行為が養子縁組である。親と子の双方の合意に基づく契約 (法的な地位だからこれで良いだろう) となる。契約は未成年には出来ないから、成人が基本となる。結婚している場合には成人扱いだから、婚姻に関わる状況で不都合はないだろう。本題から離れていくが、同性愛者が結婚に相当する法的関係を構築する方法として、養子縁組を利用する場合がある。どちらが親になるかというと、これには制限があって年上の人が親にならなければならないという制限がある。生年月日が同じであった場合にどうするかというのは聞いたことが無い。年齢が下の親が生じるのを社会通念上受け入れ難いとする価値観だが、子供が扶養するのに問題はないから当局の側は問題ないと考えるのは当然である。それでどこかに問題が生じるかは想像が付かない。
話を戻す。一般養子縁組の場合には、生物学的な親 (血縁関係の方が妥当か要するに実親) との法的な関係は継続する。つまり相続については実親と養親の二人の権利を持つことになる。養親は一人 (当然、父母である) で、新しい養子縁組をしたい場合や、現在の養子縁組を解消したいという希望が生じたら手続きを行えばよい。配偶者の連れ子を養子縁組するのは手続きとしては簡単で、役所に書類を出す (結構面倒という話もあるようだ) ことで済む。つまり、子供が未成年であれば結婚する二人が合意すれば良い。解消するのも子供が15歳未満であれば、両親が合意すれば成立する。協議離縁という。これがこじれれば家庭裁判所に行くことになる。ややこしい手続きが用意されているのは、法的な親子関係の構築を気軽にされると相続の問題が大変だからということがあるのだろう。相続と書いたが、扶養責任もあるし、法的な責任行為がいろいろ出てくるが、義務で縛られるのは子供の養育だけで、それ以外は義務よりは緩い。最近の保守政治家は、家族関係のもろもろを義務化したいようだが、法律全体の整合性を取るのは大変なことだろうと予想できる。憲法改正もそんなことを意識しているのかとも思えるが、ちょっと手を加えれば大丈夫という話ではない。立法府の人間が法律を理解しようとしないのに飽きれるのだが、法律を作るより利権に絡むことがお好きなのかなと余計な想像を働かせてしまう。
この一般養子縁組とは異なる特別養子縁組というのがある。これは親子関係をリセットして、血縁関係の親を取り消してしまって、新たに実親を設定する行為である。実子と同じ扱いをする変更行為なので、手続きは複雑になり家庭裁判所で扱われることになる。条件も厳しく子供が6歳未満 (6歳未満からの養育が認められる場合は8歳未満) で、養親の二人が結婚していて少なくとも片方が25歳以上であることが求められる。更に加えて、子供の実親が子供の養育に悪い影響を与える経済状態や家庭環境であることが前提条件になるから審査は慎重に行われるだろうし、それに伴い資料も多いだろうことは予想される。家庭裁判所の審判がおりたら、役所に書類を提出して完了となる。子供は実親と同じ扱いになる。一般養子縁組にある相続税の基礎控除が1人までというような規定は一切なく、実子と同じ扱いになる。戸籍での記載も実子と同じであるが、民法による裁判確定日の記載があるから分からない訳ではない。

ここで戻って、この制度はそもそも両親に恵まれない事情のある子供を、別の親が実親として養育する制度である。親子関係を解消することも特別養子縁組では複雑で裁判所経由以外に道が無い。血縁での親の事情が大きく変わった場合なら解消する場合もあるのかなあと思うが、実子になつ手続きの負担と合わせると想像するには難しい。特別養子縁組の費用が非常に高いのかなと思って調べたら、裁判関係はそれほど高いようではない。書類は戸籍関係を含むので少し高いがその程度の話であるし、収入印紙は子1人につき800円となっている。法定代理人が付く場合もある、というよりその方が多いのではないかと思うのだが、ビックリするような金額ではないだろうと思う。その理由は、法律家の言葉を借りれば、この制度がもっぱら子供の福祉に目を向けたものであり、営利目的の作業を予定していないということである。代理人が手数料稼ぎする性質の仕事ではないのである。
今回問題になった団体が子供1人に100万円を要求したというのは、親の欲望をかなえる代金として設定されて金額になっている。恵まれない子供により良い環境を選定するのに費用は生じるから、適切な費用請求はあっても良いがこの金額が活動の実費であるというのは、活動方法が子供ではなく、親の欲望を叶える方向に進んでいることを示している。人身売買の性質を帯びている活動であるようだから、実態を詳らかにするのが良かろうと思う。それでも、子供の幸福を優先するのは言うまでもないから、限度があるだろうことは想像が付く。きっと、うやむやにすることだろう。

特別養子縁組ではなく、児童福祉法が定めた里親制度というのがある。保護者の無い児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童の養育を委託する制度である。里親になるには研修が用意されている。厚生労働省は里親には手当を支給するなど、いろいろと検討された制度がある。特別養子縁組を一足飛びに実現するより、里親となり、その後、事情が許せば一般養子縁組をする方が色々な面で穏やかな気もするが、どういう形であれ子供を育てるのは大変なことだろう。
里親数党の推移を厚生労働省のホームページより示す。

■ 里親数等の推移 (厚生労働省資料より)
                 昭和30年  40年   50年  60年 平成18年  19年  20年   21年  22年
  登録里親数   16,200  18,230  10,230  8,659  7,882   7,934  7,808  7,180  7,669
  委託里親数    8,283   6,090   3,225  2,627  2,453   2,582  2,727  2,837  2,971
  委託児童数    9,111   6,909   3,851  3,322  3,424   3,633  3,870  3,836  3,876

里親も委託児童も減っていることが分かる。これが恵まれない家庭環境の減少として説明できれば結構な話であるが、陰惨な事件報道を目にするに付け、そうとばかりも言えない状況であるのだろう。里親制度についてもう少し広く知られて良いような気がする。海外では恵まれない子供を育てることを聞くことがあるが、日本では少ないようだ。海外の状況を調べたいと思うが、少々骨の折れる仕事になりそうなので約束はしないことにする。根底には宗教や、文化風俗に関する違いがあるだろう。日本は血縁関係を重視する傾向を感じるので、血のつながりがないと受け入れ難いということがあるのではないかと想像する。想像するより調べろということなのだが、最初に言い訳してグルグル回ってしまっている。子供を動かすことをビジネスにしてはならないというのは、この国では標準的に受け入れられる話だと思う。ならば、当局は厳しい指導を行って貰いたいものである。


適当な法律が無く指導できないなら、法律を作れば良い。それが国会議員の仕事である。

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