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2013年7月 6日 (土)

政府系、ウズベクでウラン権益 原発再稼働にらむ

日本とウズベキスタンは原子力分野で協力を強化する。日本の政府系機関の石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (JOGMEC) とウズベキスタンの政府系資源機関が7月8日、原発燃料のウランを共同探査する覚書を交わす。JOGMECは鉱山の権益を確保、生産したウランを商社などを通じて国内外に供給する。政府は原子力発電所の再稼働をにらみ、資源の安定調達を急ぐ。(日本経済新聞:7月5日)

この時期に不思議な記事な気がして調べた方が良さそうだ。

JOGMECは何かというと、Japan Oil, Gas and Metals National Corporationの略という、独立行政法人である。役員には経済産業省(通産省)の過去の肩書を有する人が幾人もいる。資本金が5,029億円であることはあまり参考になりそうにない。職員数は514人だという。独立行政法人は2012年9月時点で102あり、そのうち経産省の関係は10である。514人は特別大きな方ではないが、国からの支出金の額からすると大きい方であるようだ。エネルギー資源を輸入に頼っている国だから、相応の手当をしなければならないと考えるのは当然である。この法人 (独法と呼ぶようだがどうも馴染めない) の目的を確認してみる。ホームページより引用する。

石油及び可燃性天然ガスの探鉱等、石炭の探鉱、地熱の探査並びに金属鉱物の探鉱等に必要な資金の供給その他石油及び可燃性天然ガス資源、石炭資源、地熱資源並びに金属鉱物資源の開発を促進するために必要な業務並びに石油及び金属鉱産物の備蓄に必要な業務を行い、もって石油等、石炭、地熱及び金属鉱産物の安定的かつ低廉な供給に資するとともに、金属鉱業等による鉱害の防止に必要な資金の貸付けその他の業務を行い、もって国民の健康の保護及び生活環境の保全並びに金属鉱業等の健全な発展に寄与することを目的とする。

こんな目的だろうと思った通りのことが書いてある。役所の正しい仕事振りが出ている。ウランの開発が進んでいるのはオーストラリアであるが、権利を獲得の激し争奪戦があったようだ。そこで次の埋蔵量の期待できるカザフスタンとなるがここは歴史的にロシアとの取引が大きい、ウズベキスタンは以前はロシアとの取引が主流だったがドイツ系列の米国企業の参入によって米国との取引が拡大した。ウランは製品を取引するというより、鉱山開発から関わる方法が普通のようであるから、今日明日の取引の為というより、将来のエネルギー資源の確保を目指した仕事となる。実際過去に、JOGMECは、ウズベキスタン地質鉱物資源国家委員会と同国におけるウラン共同探鉱契約を締結している。2009年6月15日のことである。調査地域のウラン資源量は数千tと見込まれていて、採算が合う鉱床が確認できれば、日本の民間企業に事業を引き継ぐ方針だという。ウズベキスタンは世界有数のウラン資源国であり、資源量は世界11位の11.1万tである。これは全世界の2%に相当する。ウラン生産量は2,320tで、世界5位に当たる。
ウランの資源確保が鉱山開発からとなることから、非常に時間の掛る作業となる。ここまでして権利を確保しようとするのは、ウラン価格の高騰があったからである。あったと過去形になっているのは2011年の震災後に原発のあり方が変わると売られて20%値を下げている。その後価格は戻したが、2007年に非常に高くなった (この時はウランに限らず、エネルギーも金属資源も食料資源も上がった) 頃には程遠い。2007年7月には130USドル/ポンドを超える価格だったものが、最近は40USドル程度まで下がったいる。1990年代前半は20ドル以下だったことを考えれば高いのだが、この半年は大きな価格の変化は見られない。
ウランの取引は、核兵器に使用されないこと、輸出国はNPT締約国で、IAEAの保障措置が実施されている国というのが基本のようである。NPTとは、核拡散防止条約の略称で、核軍縮を目的に、アメリカ合衆国、ロシア、イギリス、フランス、中華人民共和国の5カ国以外の核兵器の保有を禁止する条約である。締約していないのはインド、イスラエル、パキスタンで、脱退した北朝鮮を含めて4カ国が取引しない国となる。平和利用なら制限がないということである。平和利用以外に輸出しますという国には制裁が掛っても仕方ないなら当然ではある。ということは、実質的な制限はそれほどない。

資源の確保は重要なことではあるが、資源を取り巻く環境の変化によって価値が大きく変動する。ウランが貴重な資源と考えれば海水中のウランを回収する技術の構築を進めることが流行った。1980年頃から日本原子力研究開発機構(JAEA)が、海水ウランの捕集技術の研究開発に取り組んでいる。海水中のウランの量は45億トンで、鉱山のウラン埋蔵量の1,000倍あるという。回収できてもウラン価格が50US$/ポンドと競争するのは大変である。海から取ったものと山から取ったもので性能差はないだろう。ヤマメとマグロとを比較するようなものではあるまい。性能が同じなら価格だけの話になる。海水中から取り出すのは科学技術としての価値があるが、経済的な価値があるかどうかは分からない。ウランの採掘だって、石油価格と石油の埋蔵量について楽観的な見通しが主力になれば開発意欲は下がる。30年前に価値が出ると確信があった訳ではないだろうが、きっともっと深刻な石油危機があれば様子が変わると信じた (そのように理由付けした) のだろうか。

石油や天然ガスの話はともかく、この時期にウランの話を大きなニュースにするというのは違和感を覚える。政権が変わって原発廃止から方向転換しているとしても、大きなニュースにする必要はないようだ。理由は、ウランの価値が重視されて高騰しているのならともかく、震災の影響で安くなりその後やや戻したにせよ、価格は安定している。ニュース性は乏しいが、ニュースにしたい人達の思惑は臭ってくる。推進側の立場に身を置くなら、原発の安全基準の完成度の議論をするのが妥当だと思うのだが、こっちとは違う考え方にあるようだ。


選挙が始まったので、政治の話題は避けることにする。

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