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2013年7月 8日 (月)

老舗ピアノのスタインウェイ、投資会社が買収

世界最高峰のクラシック音楽家たちが使うピアノを160年以上にわたって製作してきた高級ピアノメーカー「スタインウェイ・アンド・サンズ(Steinway & Sons)」は7月1日、米投資ファンドのコールバーグ・アンド・カンパニー(Kohlberg & Company)による買収を発表した。
スタインウェイを所有する米総合楽器メーカー、スタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツ(Steinway Musical Instruments)によると、コールバーグは、スタインウェイ株の過去90日の終値平均に33%のプレミアを付けた1株当たり35ドルで株式公開買い付け (TOB) を行う。買収総額は約4億3800万ドル(約440億円)で、買収後は非上場企業になる。(7月2日 AFP=時事)

楽器には縁が無い生活であるが、市場規模くらいは知っておくと教養人のようなので考えてみる。


楽器市場がそれほど注目されるものではないようである。ヤマハの決算資料を確認していたら、経営計画に関する資料の中に見つけた数字を下に記す。(ヤマハ:楽器事業の成長を目指して2010年11月26日より)

■ 商品別の推定金額ベース世界市場規模 ( 単位:億円)
  ピアノ       1,200
  電子鍵盤     1,300
  ギタードラム   2,400
  管楽器      1,500
  PA         3,700
  ---------------------
  市場全体    10,100

聞きなれないPAは、Public Address であるそうだ。ヤマハがこの意味で使っているか少々不安を感じる。外部向けの資料に使う略語にはもう少し親切にしてもらいたいものである。これによると世界市場は1兆円であるということである。台数ベースのものもあったので2010年と2013年の台数を下に示す。

■ 商品別の推定台数ベース世界市場規模 ( 単位:千台)
           2010年  2013年
  ピアノ      250    280
  電子ピアノ   100    140
  PK        370    460
  ギター       500    670
  管楽器      310    370

市場は拡大傾向であるとしている。途上国の市場が拡大傾向とのコメントがある。2010年はリーマンショックの影響が出ている可能性もあるから、成長性については別の解析が必要と考える。そこで、日本の上場企業で楽器製造をしているヤマハ、河合楽器製作所、ローランドの三社について楽器事業の売上推移を確認した。この三社の他にカシオがあるが、事業セグメントがコンシュマー事業と大きな括りで、時計や電子辞書も入っているので割愛することとした。ローランドは電子楽器のみである。結果を下に示す。

■ 日本の楽器製造会社の楽器セグメントの売上金額推移位 ( 単位:百万円)
 決算年    ヤマハ   河合楽器   ローランド
2013年3月   272,711   25,772    39,889
2012年3月   265,089   26,395    42,314
2011年3月   271,124   26,380    45,815
2010年3月   276,252   25,299    45,486
2009年3月   306,630   29,350    58,875
2008年3月   340,021   32,441    62,943
2007年3月   325,989   32,185    56,927
2006年3月   314,078   31,926    58,005
2005年3月   302,617   33,009    49,715
2004年3月   293,430   34,437    47,343
2003年3月   292,647   51,419    48,733
2002年3月   286,920   52,588    48,905

基本的に10年間大きな変化が見られない。河合楽器の2002-2003年の売上が高いのは、楽器のほかに楽器関連の事業が含まれているからである。ローランドの売上に減少傾向が認められることから、電子楽器はLSIの利用によって安く製造販売される方向に向かっている可能性はある。
ヤマハの市場占有率は金額ベースで18%と公表している。市場占有率が高まっているようだと市場の縮小が懸念されるが、そういったことでもないようだ。ヤマハによると金額ベースの商品別市場占有率は、ピアノが33%、電子鍵盤が49%、管楽器が20%だとしている。河合楽器はヤマハの1/10の規模であるから、その位の市場占有率だろう。
ヤマハがボリュームゾーンのピアノを製造しているとすると、市場規模の数値からピアノの平均販売価格は45万円になるから、ヤマハはこの辺りの価格帯に強いと思われる。一方で、スタインウェイは高級品を扱っているから単価は高いだろう。ヤマハのピアノ売上高は公表されていないが、先の市場占有率の数字から計算すると約400億円となる。今回のTOB金額に近い金額である。製造業の標準として年間売上から買収金額は推定できるが、スタインウェイについては少し違うようである。将来的な価値があると値踏みしたということなのだろう。
この手の企業には、株主に配当を還元するとか、株価の向上を目指すとかいうことより、音楽文化を未来に残す役割を担っていることに誇りを持つことの方が重要なのだろう。とはいっても最低限の配当はしなければならないだろう。そのあたりの複雑な交渉を株主にするのは大変だからTOBをするというところだろうか。しかし、買った会社は投資ファンドだから、先々新たなパトロンを探すということなのだろう。ファンドの活動には芸術支援活動はなく、芸術的な投資活動 (綺麗な言葉では表現されないような) を行うことしかない。
それでも投資ファンドを批難するつもりはなく、このような会社が残った方が方が良いから、投資ファンドには良い旦那を見つけて貰いたいものだと願っている。


名前を聞いたことのある会社でさえ、楽器会社の多くは思いのほか小さく驚いた。

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