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2013年7月31日 (水)

出版社の経営状況:講談社を例に

出版業界の状況について考える。

出版社の売上高を確認する。売上高上位の4社を示す。入手したのが少々古いのは、株式を上場していない会社が多かったことによる。

■ 日本の出版社売上高上位三社 (単位:百万円)
       社名    2008年度   2009年度
  1   角川HD   141,611    135,922
  2   集英社    137,611    133,298
  3   講談社    135,058    124,500
  4   小学館    127,542    117,721

角川HDの売上は、出版事業に関してはそれぞれ 71,158 と 73,476 である。上記の会社の中では多角化が進んでいる。もちろん、角川HD以外の会社も、出版事業以外の売上が無い訳ではない。
国内の出版業界の市場規模は2兆円程度と言われる。主要22社で9,500億円とあったから大手の集中度は高い。その中でも上位の4社が大きな割合を占めている。経営情報が入手できた講談社に例を取って出版業界について考える。
講談社の売上の推移と、その内の雑誌と書籍売上を下に示す。単位は百万円である。

■ 講談社の売上高(雑誌、書籍)の推移(単位:百万円)
  年度    売上高    雑誌    書籍
  1995   203,301   138,891   40,284
  1996   203,071   135,050   40,785
  1997   200,016   128,629   43,217
  1998   197,336   131,548   37,252
  1999   189,384   123,961   38,713
  2000   179,784   116,937   35,495
  2001   176,928   120,528   28,971
  2002   171,287   114,929   29,164
  2003   167,212   111,783   28,504
  2004   159,827   104,947   28,989
  2005   154,572    99,685   28,658
  2006   145,570    90,830   29,950
  2007   144,301    88,552   31,551
  2008   135,058    83,003   29,064
  2009   124,522    78,771   27,685
  2010   122,340    78,757   26,602
  2011   121,929    74,834   27,926
  2012   117,871    72,183   24,681

2012年の売上は1995年の半分にまで減少している。雑誌と書籍も同様の傾向である。電子書籍の影響が話題になるがそれ以前から本は売れなくなっていた。古本販売の影響があるかと考えブックオフの業績を確認した。下に売上と営業利益の推移を示す。

■ ブックオフの売上と営業利益推移(単位:百万円)
  年度   売上高  営業利益
  2003   26,242   1,625
  2004   34,412   2,022
  2005   37,958   2,454
  2006   42,212   2,869
  2007   46,224   3,374
  2008   50,485   2,370
  2009   60,493   2,434
  2010   71,091   2,811
  2011   73,345   2,748
  2012   75,716   3,432
  2013   76,670   1,914

売上を確実に伸ばしているので影響がないとは言えない。それは出版関係の会社も同様に考えているようで、ブックオフに講談社、小学館、集英社、大日本印刷という大手の会社が株主になっている。
日本雑誌協会のホームページから講談社発行の雑誌47種類について発行部数を確認し、現在の定価と年間発行部数で年間売上金額を算出した。結果を下に示す。

■ 講談社の売上高と日本雑誌協会資料より算出した売上と発行部数 (百万円、千冊)
   年   雑誌売上   計算売上   発行部数
  2007   88,552   104,153     269,731
  2010   78,757     85,417     221,070
  2011   74,834     81,449     209,143
  2012   72,183     80,551     206,645

年が連続していないのは、あまり価値がなさそうだと思うに至ったからである。定価は小売りや取次店のマージンが含まれるので上記であると合わせて10%程度と少な過ぎる。統計に表れていない書籍もあるだろうからそれらの影響はあるだろうと思われる。分かったことは、日本雑誌協会の数字はあるレベルの確からしさを持っていると言うことである。
最後に講談社の業績で関心があった点について記す。講談社の売上内訳で、広告売上が示されている。金額は不動産収入と同じ水準となっている。公表されている最近の広告売上の推移を下に示す。

■ 講談社の広告売上高(単位:百万円)
   年度   広告
  2008   14,710
  2009   10,900
  2010    9,268
  2011    8,156   20,755   54,078
  2012    8,490

講談社は雑誌が多い会社であるので、広告収入が大きいと思っていた。それが最近減少してきている。インターネットの普及により、雑誌への広告が掲載までに時間が掛かることや費用の面から減っているというのは過去に報道されていた。講談社の場合、雑誌の中で、雑誌とコミックに分けると売上は下記の様になっている。

■ 講談社の雑誌売上と内訳(単位:百万円)
  年度   雑誌合計   雑誌    コミック
  2007   88,552    22,100   66,400
  2011   74,834    20,755   54,078

雑誌全体の中でコミックの割合が高い。このコミックの売上の落ち込みが大きい。週刊少年マガジンやモーニングは2割程度部数を減らしているから主力商品が売れなくなると補うのは難しい。これはどんな商売でも共通する。

大手出版社に就職することは、高い給料が保障され社会的な立場も良いということだったのは、もう少し昔の話になってしまったのかもしれない。コミックを電子書籍化するというのは良さそうな話に思えるが、旧来から取引のあった印刷会社や配送を行う取次会社の仕事を奪うことになるから、大手の会社がお気軽に乗れる話ではないのかもしれない。営業利益が赤字の年度が多い経営環境では、他社のことなどかまっていられないというのが本当のところだと思うのだが、幹部にはその危機感が伝わりきれていない可能性はある。


数字ばかり羅列するのはいつものことだが、もう少し整理したいものだ。

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