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2013年6月21日 (金)

タイの自動車事情-2

昨日に続いて、タイの自動車事情について考える。


タイが東南アジアの有力な市場であることが前回確認された。タイの新車販売状況について調べた。乗用車と商用車の台数、商用車の中で1トンピックアップとSUV、それ以外の台数の2010年から2012年までの推移を下に示す。

■ タイの自動車販売推移 (単位:千台)
             2010   2011   2012
  乗用車      347   391   672
  商用車      454   462   764

 ● 商用車内訳
  1tピックアップ  388   391   661
  SUV        16     16     26
  上記以外     50     55    78

2011年に発生したタイの洪水の影響により、2011年の台数は伸びていない。タイ洪水の影響している期間は、2011年7月から2012年1月と言われるが、工場の操業停止が生じたのは10月から12月と考えて良い。2012年には回復している。タイの自動車販売で特徴的なのが、ピックアップトラックが非常に多いことである。販売上、商用車はピックアップトラックと括って良い。これは一般の生活にトラックを使用している人が多いことが関係している。家庭で一台目の自動車を購入するならトラックであり、次に小型乗用車となる。タイという国が豊かになったといっても自動車購入は非常に大きな支出であり、気軽に買えるものではないという事情もある。1990年代には非常に高い関税が設定されていた。この時も、乗用車とトラックの関税の差は数十パーセント (50%くらいだと記憶する) あった。完成車の税率は高く、現地での生産を誘導するように部品の関税は低くするのは途上国の常である。タイはこの政策を強く行い、成功したといえよう。ASEANのAFTAは1993年に発行して、2010年に関税の完全免除(一部地域は2015年)となっている。
2012年になって、乗用車も商用車も伸びている。タイで自動車を買える所得層が拡大したことと、乗用車の成長があることから、所得の高かった層がされに拡大したことが予想される。
タイの乗用車販売について、上位5社 (2013年5月の販売数基準) について市場占有率がどのように推移しているかを確認した。結果を下に示す。

■ タイ乗用車市場の主要メーカの市場占有率推移
      《       2013年      》  《                         2012年                  》
      5月  4月  3月  2月  1月  12月  11月  10月  9月  8月  7月  6月  5月  4月  3月   2月  1月
ホンダ  38%  39%  32%  34%  26%  26%  28%  27%   27%  29%  31%  28%  27%  32%   4%   2%   1%
トヨタ   31%  26%  25%  25%  31%  24%  26%  28%   30%  32%  34%  34%  35%  36%  49%  53%  48%
日産    6%   7%  20%  14%  14%  17%  18%  16%   15%  11%  10%  12%  17%  12%  24%  17%  19%
スズキ   6%   6%   5%   4%   2%   4%   3%   4%   3%   3%   3%   3%   2%    1%   0%    0%   0%
三菱    5%   6%   6%   8%  10%   9%   9%  10%   7%   7%   7%   7%  4%    2%   1%    1%   1%

洪水被害が大きく出たホンダは2012年年初に壊滅的な被害を受けたがその後順調に回復している。ホンダが販売できなかった時期に台数を伸ばしたのがトヨタである。2012年1月の販売台数が乗用車全体で 28.7k台であるのに対し、2013年1月は 59.8k台に回復している。ホンダは販売できなかったが、市場も買える状態でなかったことが分かる。
タイ政府は洪水以降に、ガソリン車で排気量1300cc未満のエコカーを対象に最高10万バーツ (約31万円) を事実上免税する施策を実施している。これに応えるモデルのあるホンダ、スズキ、三菱がシェアを伸ばしたといえる。この市場に十分な手当てをしてこなかったトヨタが市場を失ったと分析されるが、条件を満たすマーチを有する日産がシェアを落としていることが説明できない。日産は4月以降急激に台数を落としている (2012.10-2013.3 11.7k/Month -> 2013.4-5 3.4k/Month) のは減税対象のマーチを現地生産することを考慮すると不思議な挙動である。マイナーチェンジの予定がある可能性 (2010年7月販売開始) もあるが、市場の要求があるのなら対応しつつ行うのが商売の鉄則であるから、これだけを理由にできそうにない。

タイの隣国のマレーシアは、乗用車が多い市場環境があり、ハイブリッドカーの受け入れ易い土壌が完成している。実際、トヨタやホンダはハイブリッドカーの販売に重きを置いた対応をしている。それに比べると、タイは複雑で高価なモデルより安いモデルを求める状況にあると考えられる。一見、似ていると思ってしまう国であっても実態は異なることがある。タイは原油を輸入に頼る国であるので、近年の原油の高騰による影響は生活に出ていることだろう。複雑で燃費の良いものより、シンプルで燃費の良いものを求める環境があると理解するなら、トヨタのハイブリッドに重きを置いた対応は最適な策ではなかったようだ。ホンダはマレーシア向けにはハイブリッドを増やしている (といっても、年1.2k→3.2k) ものの、タイ市場向けにはブリオで市場を獲得している。トヨタもヴィオスで対応しようとしているが、遅れが生じたことは否めない。


数字の間違いに気が付き公開が遅れた。

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