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2013年6月 7日 (金)

ワイン値上げ

サントリーは6月6日、輸入・国産ワイン139品目を9月2日出荷分から2~9%値上げすると発表した。欧州でのブドウの不作で仕入れ価格が高騰したことや、原油高による輸送費の増加、円安が主な要因としている。また、キリンホールディングス傘下のメルシャンは6月5日に、国産・輸入ワイン約800品目の出荷価格を9月2日から3~8%値上げすると発表した。こちらの理由も、円安に加え、昨年の欧州の冷害によるブドウの収穫量低下で原料価格が高騰したためとしている。輸入原料を用いて国内で製造する製品が値上げ対象となるが、国産ブドウを100%原料とする製品や、チリ産などは据え置かれる。


不作の影響はあるものの、円安の影響が出ている製品である。ワインについて考える。

ワインの税金から考える。ワインは果実酒なので国内で製造する (もちろん資格が必要) 場合の税金は、1キロリットル当たり下記のようになる。

■ 果実酒 (1kL) 税金
  基本税率  140,000 円
  特別税率   80,000 円

750ccのボトルに換算すると、税金は293円となる。店で2,000円で売られている国産ワインの293円が税金分である。当然のことながら、これは固定金額だから円安には引きずられない。ついでに書くと、製造する許可を得るには法定最低製造数量 (年間) が設定されている。ワインの場合は、この量が6,000リットルとなっているから、750ccのボトルで8,000本となる。それほど大規模であることを求めている数字ではないが、営業ベースにしようとすればこの水準では苦しいだろう。1本1,500円で出荷できるとして、年間1,200万円の売上ではやっていけないだろう。これでは趣味の世界である。ブドウ産地で小規模のワイン製造を行っているところは、いろいろと工夫していることだろう。
輸入原料の話もあったので、ワインのコストを計算してみる。
生食用に出荷される果物のブドウに比べ、ワイン用のブドウは安い。ブドウ1㎏のを300円とする。ブドウ100kgを加工するとする。

  ブドウ           100kg  (ブドウの果実の状態)
  ジュース          70kg  (搾って液のみにする)
  アルコール発酵など   55kg  (750ccで、73本相当)   1本 409円

ワインは樽に入れるものと思っていたら、樽を使用した物にはその旨ラベルに記載があるそうだ。樽は200リットルくらいはいるようで、価格はフレンチオーク種の木材を使用した新樽は10万円、アメリカンオーク種の木材を利用したものでも3~5万円であるという。これが無期限に使えるものなら良いが、そうはいかないだろう。工業用のイメージの容器を用いたとしても、耐用年数は増すとしても価格は相応なものになるだろうから安い訳ではない。容器が200リットルで3万円として、750ccの1本に200円となる。繰り返し使えても洗浄代は掛かるだろう。材料を惜しめば必然的に労務費に跳ね返る。酵母代、醗酵槽代、熟成樽代、ビン代、コルク代、人件費などあるが、ビンやコルクやラベルといった出荷に必要なものは全部まとめて150円くらいだろう。飲料用のビンの価格は100円/kg程度であるから、特別凝ったものにしなければその程度に留まる。コルクやラベルも少量で凝ったものを作れば高くはなるが、コルクは汎用品を使って、ラベルは常識的なものにすれば落ち着くところは決まっている。工場原価は、ブドウ代の三倍を超える程度で五倍を超えることはないだろうと見積もるとしよう。
上記の409円の例なら、工場出荷状態で1,227~2,045円というレベルである。小売りに卸す価格はこの二倍として、税金の293円を加えて、小売りが30%のせるとすると、店頭の表示価格は3,571~5,698円となる。安いワインではなくなるので、輸入品と競合して勝つ為に品質を改善しなければならない。ワインの品質を決定する最大の要素はブドウだから、300円という安い選ばないブドウを、房を整えて三房を二房にするような作業をすれば品質は上がる。房の重さは少しは増えるが全体としては量が減り、しかも人件費が加わる。ここで価格は五割増しになる。果物として出荷されるブドウの価格は、大口のお客用で1,000円/kg くらいのものがあるから、ワイン用に500円/kgはありそうな価格である。同じ計算をすると、5,500~8,700円となる。
国内の小規模ワイン製造会社はかなり大変なことだろうということが予想される。ブドウの品位を落としたり、醗酵を促進することを沢山盛り込めば安くはなるだろう。しかし、それは労務費の安い国からの輸入ワインと直接競合することになる。少量を決められたルートで販売する方法は、品質を下げれば取引が停止するリスクを同時に抱える。少量ならではの品質の達成が製造者の矜持であれば、譲れる部分などどこにもない。

デフレ脱却と政府が叫んでも、為替や株価の変動によって豊かになるのは投機筋であったりする。本当にデフレから抜け出すには、価値のある品物を適切な価格で取引することである。価格競争にのめり込んだあまり、価値はそこについているプライスタッグのみで決定されることになった。価格が変わるタイミングでしか環境変化は起き得ない(鶏卵ではあるが)。経費が生じたら受益者に負担を願う。逆なら還元するという、普通の習慣が戻ってくればデフレの改善に役立つのではないかと思う。素人の素朴な感性が、物価動向を決定する要素だったりするのではないかと考えているのである。

少し話が変わるが、TPP交渉で農産品は高品質であることの高い競争力によって、海外市場に出るのが良いと主張する評論家がある。それは正しい部分もあるが、高品質な物を作るのに作業者が経験しなければならないことが沢山ある。通常品質のものも含めて多くの経験を積まなければならないことが、特にこれから農業に関わる若者に必要とするならば、狭い範囲の経験ではこれから先も同じ物を作るだけになってしまう。高品質の農産物には、その周囲に多くの通常品がなければ成立しない要素があるのではないかと考える。批評家の言葉は現場を知らないと感じる。ワイン製造で醗酵促進をするように会計士がアドバイスするのに似ている。良いものをつくるには、それに相応しい無駄が必要である。


ワイン関税の話はつまらなかったので省略した。楽ばかりするのは良くない傾向である。

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