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2013年6月16日 (日)

タクシー事業について

駅前でプリウスのタクシーが止まっていた。タクシーについて考える。


都心ではプリウスタクシーも多いし、アイ・ミーブもリーフも走っている。しかし、少し郊外になれば昔ながらのLPGタクシーがほとんどになる。そのほとんどは、トヨタのクラウン・コンフォート (コンフォート) である。九割くらいだろうと思われる。他にあるのは日産セドリックくらいである。日産のタクシー専用車のクルーは十年以上前に販売中止していた。
タクシーは走行距離が長いので、維持費が安く、メンテナンス性の高いもので、車両価格が安いものが求められることは容易に想像が付く。従来からリア・サスペンションがリジッドであったりした。実際、コンフォートもクルーもリジッドである。タイヤメーカもタクシー用タイヤをランナップしているから、一般車両に求められる特性に、経済性を重視した特性の専用品となっているようである。
タクシー用途に求められる特性があるようなので、タクシー事業の現在の環境について確認することから始める。一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会のホームページを参考にした。

■ 事業規模 法人合計 13,679社 (国土交通省調べ2008年実績)
 車両台数   会社数
  ~10     8,870
  ~30     2,560
  ~50     1,010
  ~100      811
  101~      428

保有車両台数が30台以下の会社が83.5%とこの業界は小さな会社が多いことが分かる。このページには参考になることが多くあるので、原価構成も引用する。

■ 原価構成
 総人件費     72.8%
 燃料油脂費   8.4%
 車両償却費   2.0%
 車両修繕費   2.1%
 保険料      1.9%
 その他経費   11.7%
 営業外費用   1.1%

人件費が大きいことが分かる。燃料油脂費が10%未満であるから、燃費の良し悪しが重要でないということではなく、人件費に集中し過ぎていることに問題があると想像する方が正しいのだろう。実際、厚生労働省「賃金構造基本統計調査(平成22年)」によると、年間平均賃金は291.19万円であり、全産業平均の526.76万円に大きく離されている。一方、月間労働時間は193時間で、全産業男性労働者平均の182時間より長い。低賃金な業種であることは広く知られたところであるが、いつでも求人がある業種でもある。平均年齢は56.8歳で、勤続年数9.3年という。若い人が就く仕事ではないようだ。近年、女性ドライバーが多いことから、平均年齢が下がったかと思ったが、そこまで多くないのだろう。
車両償却費と修繕費、保険料が同レベルにある。保険が充分掛っていない会社もあると聞くが、どの程度なのかは分からなかった。最も割合の大きな人件費から考えることにする。国土交通省によると2010年3月末の数字として、タクシー業界の人員構成として、運転者 371,245人で、その他が 41,717人となっている。運転手9人にその他1人の割合となっている。平均的な会社を想定することにする。

■ 仮想タクシー会社
  車両台数  20台
  運転手    66人
  その他    8人

車両の稼働率を高める為に、運転手はシフトを組んでいる。3人で1台を動かしている。ある日のシフトは早番と遅番と明け番となっている。11時間拘束で、休憩が1.5時間ある。月30日で出勤日が20日となる。朝の5時から16時までの早番と、16時から翌日の1時までの遅番とする。深夜1時から朝5時まで、実際の稼働時間の隙間としては0時から6時までの1/5から1/10の割合、つまり上記の例だろ4台から2台稼働することにする。これを全て残業で充てるのは難しから、運転手数を10人に1人を加えることでこれを埋めることにする。また、有給休暇の取得もあるだろうから、この対策にもなる。有給休暇を取るかどうかは別の話になる。
タクシーの利用料金の話に移る。東京の現在の料金は、初乗り料金が 2,000mまで710円、加算料金が90円/288mである。また、深夜割増22時から翌5時まで2割増となっている。仮に3,152m利用したとすると、初乗りの710円に加算料金が 4×90円 = 360円 となり、1,070円 (時間距離併用制運賃は無視した) となる。
街中を自動車が移動するときの平均時速は25km位とする。夜は道路が空いてくると考えられるが、昼の混雑もあるので考慮しないこととした。運転手1人の1日走行距離は225kmとなる。実車率は50%とする。営業走行距離は112.5kmで、単純に3kmで1,000円だとすると1日の売上は37,500円となる。月の売り上げ金額は75万円となる。運転手の給与体系は会社によって差が見られるが、基本になっているのは歩合方式である。月の売上の50%が本人に支払われるとすると37.5万円が給料となる。これが12カ月続くと年収450万円となる。業界の平均年収は300万円であるから開きが大きい。お客の待ち時間が長くあり、ここまで走行できないのが実際なのだろうと思う。

単純に駅前にタクシーがあれほどまで停車していては売り上げは増えないだろう。規制緩和によって台数が増えたのだが、増えたことが誰の利益になったかというと難しいところである。思い付くところでは、トヨタはコンフォートの台数が増えたかもしれない。タクシー会社はクルマを遊ばせることになるから台数を減らしたいが、そうもいかないのだろう。特定の駅に乗り入れている台数を制限するように談合すれば良いが、そのような業界団体の行為を規制する役所が動くのだろう。駅前が混雑することはこの役所には関わりが無いからどうでも良い。タクシー会社が無くなることも、少しは気にするがその程度に留まる。本当のところ、自由競争で安くなるというのは、短期的には正しくても長期的には間違っている場合がある。タクシーすべてが売上の上がらないのであれば、値上げするよりない。規制緩和の後の、規制強化は最も性質が悪く、天下りしてきた魑魅魍魎が跋扈することに決まっている。料金に関わる規制緩和より、タクシー業界全体の適正な労働管理の実現を目指すのが本筋だろうが、こっちは会社の負担が大きいので料金値上げに走ることになる。それで労働環境が改善されるかというと、会社経営は改善しても労働者には還元されないのが世の常である。まず、安全に関することから正しい指導をして貰いたいものだと思う。賃金が安く、長時間労働が生じているなら、それは改めなければならない。台数を減らすのは効果が有るが、既得権を主張して料金値上げまで加えられると、何もしない方が良かったとなる。役所が機能しない典型例になる。魑魅魍魎は大活躍するのではあるが。

タクシー車両の話にたどり着けなかったので、明日に送ることとする。


景気の悪い業種の話を調べるのは楽しくない。

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