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2013年6月17日 (月)

タクシー事業-2

昨日に続いてタクシーの話である。


タクシー業界が厳しい経営環境にあるのが分かった。人件費に多くを依存する体質であるのは、業界の資料で示されている。下に原価構成を再掲する。

■ 原価構成
 総人件費     72.8%
 燃料油脂費   8.4%
 車両償却費   2.0%
 車両修繕費   2.1%
 保険料      1.9%
 その他経費   11.7%
 営業外費用   1.1%

昨日の運転手1人当たりの売上の計算で、500km/日の走行を仮定したが売上が高くなったので、これを車両の走行距離を400km/日として、実車率は50%、運賃は1,000円/3km とする。営業車の車検は1年で、3カ月ごとに点検があるので年間の稼働日数を360日とする。1台当たりの年間の売上は売上は、2,400万円となる。
自動車の減価償却は、2リッターまでは3年なので、3年均等とする。コンフォートの車両価格を225万円とすると償却費は75万円/年となる。
燃料代はLPG車の燃費を6km/Lとして、年間走行距離 400km × 360 = 144,000km であるから、24,000 L となる。LPGの価格は90円/L とすると年間の燃料代は 216万円となる。

タクシー用タイヤは10万km走るという話もあるようで、これだけ走るタクシーには雨の日には乗りたくないので、年3回交換することとする。エンジンオイルの交換は年4回 (エンジンオイルは約5L) 、合計すると15万円くらいと想像し、加えて車検代と定期点検(3ヵ月毎)が20万円だとしても車両償却代の半分に満たない。LPGのボンベは1年で交換することになるが、ボンベの耐用年数が1年であるのではなく、点検作業を行うのに時間を要するから交換して検査後再利用することになるだけである。ということは、減価償却が終了しても継続使用すると考えて、5年間使用するとすれば償却費は平均して45万円なる。保険料は走行時間の大きなクルマになると高いだろうと思われる。よって、30万円とした。

■ 費用構成
  売上      2,400 万円
  運転手代   1,200 万円
  燃料代      216 万円
  車両償却費   45 万円 (償却期間は3年だが5年使用)
  車両修繕費   35 万円 (車検代等を含む)
  保険料      30 万円
  事務人件費   150 万円
  利益その他   724 万円

事務職の人件費としては、人員構成として運転手の1/9であったことから、会社の負担する労務費として450万円とした。残りを利益その他とした。会社全体としては、クルマの台数を20台としたから 4億8,000万円の会社となる。ぼんやりしてきたのでここまでにして、自動車の入れ替えについて考える。

まず車両価格を確認した。出所は carview! の新車価格を用いた。結果を下に示す。

■ タクシー用車両価格
  プリウス         : 217.0~334.0万円
  プリウスα       : 235.0~330.5万円
  クラウン・コンフォート : 215.9~260.5万円
  セドリックセダン    : 227.9~276.3万円

車両価格は、値引きがないとすればプリウスとコンフォートで大きな差はない。燃費について、年間走行距離 400km × 360 = 144,000km とする。

■ 年間燃料使用量比較
    モデル    燃費(km/L)  燃料単価 (\/L)  使用燃料量(L)   年間使用燃料代
  コンフォート      5.0        90         24,000        216万円
  プリウス        20.0       150           7,200        108万円

車両価格が100万円高くても、年間の燃料代で回収できる。ただし、ハイブリッド車では、電池の劣化が燃費に影響することが知られている。年間15万kmは通常使用の製品ライフに相当する距離であるので電池性能が落ちている可能性がある。プリウスの電池交換は工賃を含めて20万円くらいと言われている。整備代金がコンフォートと比較して高くても、燃費と合わせると何とか回収できそうなレベルにある。入手に制限があるLPGより、日本のどこでも入れられるガソリンは利便性で勝る。5km/LのLPGで400km走ると80L消費することになる。LPGのボンベ容量は90Lを超えるくらいだからちょうど一日で無くなるくらいである。長距離のお客が入ってもガソリンなら不安はないが、LPGだと少々不安程度の差は消え難くあるだろう。ということは、プリウスにする利点はあると思われるが、社内寸法がタクシーにするには少し小さいということがある。一般的にはこれが最も大きな問題である。運営側の問題としては、耐久性が充分かどうかであろう。法定償却期間の3年ではなく、5年もって貰いたい、つまり30万kmではなく50万kmを超えるところまで問題なく走って欲しいところである。現行のプリウスは小型車をベースにしてハイブリッドシステムを搭載する方式で設計され、燃費と乗り心地をどうバランスさせると耐久性はしわ寄せが出易い項目ではないかと想像される。耐久性と整備性の為に、リアサスペンションをリジッドにしていうのと比べれば、ハイブリッドのエンジン・モータ系は複雑だし、CVTをトランスミッションに用いるのも好ましい選択ではないだろう。
LPGタクシーの中心であるコンフォートが2017年に無くなるという話が2012年に出ていた。上記のような理由でハイブリッドに移行するというのは有力な考え方になるのかもしれない。その後の話は検索しても特に出ていないので、現在のところ決まったことはないのかもしれない。タクシー専用車両が成立するかどうかを、現在の台数を基礎にして考えることにする。国土交通省より、事業者数と台数を示す。

■ タクシー会社と台数 (国土交通省調べ・2011年3月末現在)
  法人事業者   14,319 社
  法人車両数  209,566 台
  個人タクシー  41,900 台
  総車両数    251,466 台

5年で入れ替えるとすれば年間4万台の国内市場があることになる。ミラージュが月1千台程度であることを考えれば、年間4万台の市場は検討する価値があるだろう。トヨタはこのことを考慮して、安いコンフォートから高いハイブリッドに切り替えを狙うことを考えているのではないだろうか。

国や自治体がタクシー規制を行うなら、いっそのこと都心では電気自動車(EV)の割合を指定するようにしたら良いだろう。EVを最も効率的に運用して稼いで、充電時間は空いた時間で行えるようにするというのは規制の価値があるだろう。天下りに情熱を燃やすより、駅前の活用に価値を見出すのは役人の正しい作業、あるいは志のある行動であるだろう。きっとEVをやっている会社は飛びついて、微妙なやり取りがあることが予想されるがそれくらいは許そう。
長くなったが大した発見はなかった。知らないことが多いのだから、少し分かるのが大切なことであると信じることにする。


ブラック企業というのはトップが高賃金で、現場が低賃金の企業のようだ。現場が1,000万円のブラック企業はどこにあるのだろうか。

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