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2013年6月19日 (水)

ラジオ事業

ラジオ事業の現在を確認する為に、関東のラジオ放送各社の経営状況を調べた。

デジタル化を断念した話が少し前に話題になったが、懐事情は苦しいようだ。そこで、関東のラジオ局の経営状態をまとめてみた。例によって、各社が発表している決算資料を基本にしているが、株式を公開していない会社は報道資料から引用した。TBSはテレビ部門も持ち株会社としていっしょになっているので、ラジオ部門の決算情報を用いた。それでも埋めきれないのだが、無いよりましだと割り切ることにした。しかし、アール・エフ・ラジオ日本は決算情報が入手できないので省略した。また、FM局もFM東京とJ-WAVEのみにした。2007年3月期 (下記はいずれも3月期決算である) 以降の売上高と経常利益の推移を示す。単位は百万円である。

■ 関東ラジオ放送局の売上高と経常利益の推移
[百万円]     年      2013    2012    2011    2010    2009    2008    2007
TBS R&C   売上高   10,802   11,144   11,364   11,419    13,451    14,939   15,048
         経常利益   359     487     579     232     -225     249     205
ニッポン放送 売上高   19,203   18,837   19,209   20,835   22,518   23,189   24,947
         経常利益   184     152     -247    -207     200     400     933
文化放送   売上高     7,742    7,681     7,899    8,417     9,112 
         経常利益   -193     -610    -883    -599     -268      
FM東京    売上高   14,571    14,034   13,062   13,283    15,076   17,182   22,812
         経常利益   1,210     999     557     692     1,045     960    1,113
J-WAVE    売上高    4,542    4,786    4,900    5,572                  6,960
         経常利益    -87     135     159     315                   837

文化放送が若干の改善はあるものの経常赤字の状態が続いている。文化放送はカトリック聖パウロ修道会と出版会社各社が主要な株主になっている。テレビ局との繋がりは薄いようだ。
聴取率調査で上位にある番組を有するTBSの売上が最も高いと予想したが、ニッポン放送の方が高かった。TBSは比較的高い年齢層向けの番組で聴取率を稼いでいるようなので、不得手なものもあるのだろうと思われる。アナウンサーがテレビと兼務する人が多いことも、良くも悪くもTBSの特徴であろう。FM東京が売上が高いのは、全国FM放送協議会 (JFN) 各局への番組の販売が大きな収入になるのではないかと想像する。JFNは全国にあり38 (FM東京含む) ある。TBSラジオは34局加盟のJapan Radio Networkの基幹局である。FMとAMで番組の販売し易さに違いがありそうである。音楽主体のFMの方が扱いやすい気がするが、これを調べるのは少々骨が折れると思われるので、止めにすることにした。

以前調べた2011年と2009年の日本の総広告費を再掲する。(2012年10月03日:改正著作権法施行-2)

■ 主要メディアの総広告費 [単位:億円]
 《メディア》    2011年 ( 2009年 )
  ラジオ      1,256  (   1,362 )
  新聞       5,995  (  6,751 )
  雑誌       2,512  (  3,020 )
  テレビ     17,243  ( 17,174 )
 総広告費    57,096  ( 59,222 )

2011年のラジオ業界広告費は1,256億円である。上記のラジオ会社の2011年の売上は564億円である。テレビに比べるとラジオは東京キー局が配信する割合は小さいだろう。それでも全国の45%を占めている。扱わなかったラジオ局を含めれば過半数は東京近郊のラジオ局となるようである。地方局は大変だと思うが、昨日今日地方になった訳ではないから、それなりに経営手法はあるのかもしれない。
話を戻す。決まり文句になっているが、先に進める。上記の会社の売上合計は、2010年が595億円であるのに対し、2011年以降560億円強で横ばいに推移している。30億円減った理由は震災の影響もあるだろうが、それ以降が同じで回復しないということはラジオの広告価値に対する評価が下がったと考えた方がよさそうだ。このような状況の中で、大きな設備投資が必要な放送のデジタル化は対応が出来そうにない。デジタル化によって新たな広告方式が出来て、売り上げの増加につながる可能性もあるだろうが、経常利益が数億円の会社に百億円の投資を求めるのは無理がありそうだ。

このような厳しい環境下にあって、J-WAVEの数字が悪い。売上は以前からFM東京の1/3くらいというのが目安であり、現在もその位置にある。しかし、経常利益が2013年では赤字になっている。純利益でみれば2011年から3年連続で赤字である。以前から株主であるニッポン放送が株の買い増しをしたりしたことと合わせると、J-WAVEをニッポン放送が吸収するという話は当然出てくる。放送には公共性があるから、経営上の理由で単純に処理することは許されないが、継続できないものは仕方がない。放送局で解散した例は、愛知国際放送 (2000-2010) の例があるだけだが、合併はいくつかある。FM局とAM局の合併となると、これまでの規制から外れるものもあるだろうから簡単な話ではない。先のラジオのデジタル化を断念するということが話題になったときに、AM局のFM化が選択肢として扱っていたが、そうはいかないだろう。それをするなら既存のラジオ局全体でシャッフルされる可能性まで発展する議題である。ラジオに関わっている人が真剣に発言したとは思えないことが、新聞で大きく取り扱われるのはラジオの扱いが軽くなっていて詳しい記者がいないことの証明なのかもしれない。
実際に経営に問題があるのはJ-WAVEより文化放送であるが、最も近い会社としてはニッポン放送となる。これならAM局同士なので法律の改正に必要はなさそうである。それならJ-WAVEも足してしまおうとすると、パンドラの箱を開けることになる。

ラジオ局は少数の正社員で構成されている。番組制作を外注していることもあるだろう。下働きをしているのが、外部からの派遣社員というなら、ラジオ局も非正規労働者の集合体になってしまう。どんな会社も社会と無関係ではいられないが、放送界がブラックというのは悪い冗句である。法曹界なら……。バカな話である。


高市は、「撤回し、おわび申し上げる」と言ってもまた言うだろう。学習効果の期待できない政調会長である。

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