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2013年6月 1日 (土)

米サーベラス:西武HDの議決権35%に

米投資会社サーベラスは6月1日、西武ホールディングス(HD)に対し実施したTOB(株式公開買い付け)で、議決権の3.04%を取得したと発表した。TOB以前から保有していた32.44%との合計で議決権比率は35.48%となる。目標の44.67%には遠く及ばず、経営への関与強化を目指したTOBは低調な結果に終わった。 (時事通信:6/1)

議決権が話題になるのは、村上ファンドだとかがニュースの中心にいた頃だったか。
何はともあれ、いろいろ考えてみる。


サーベラスは株主総会で重要議案を否決できる1/3超を確保したというが、そもそも議決権の行使を行うのが八割なら買い増しなしでも1/3は超えていた。この理屈の延長で、議決権行使が六割なら前のままでも過半数になるが、西武HDの株主の状況を考えれば、この状況になる可能性はないだろう。ということはTOBを仕掛けたサーベラスの考えるところは、個人投資家の株式を集めて世間の人はサーベラスを支持しているという雰囲気を出すことにあったのだろう。個人投資家は無料乗車券などの株主優待を重視した、沿線住民が多くいると考えられるから、廃線の話を出してしまえば支持の広がりは期待できない。このような情緒的な要素に傾いた判断は、経済合理性を重視する米国の投資ファンドの価値観とは距離があるようには感じる。
サーベラスの主張は、ガバナンスと内部統制の正常化であるそうだが、西武HDのどこに問題があるのかが理解できない。もちろん問題はあるだろうとは思うが、不採算線の廃止やプロ野球チームの売却を全面に出されると、経済合理性を重視して沿線住民の利便性を損なうのではないかという心配を引き起こしてしまう。この辺りの読み違いを感じるのだが、日本人のメンタリティーを理解しなかったのだろうか。十分な意思疎通がなかったというのは、西武HDにサーベラスが投げた言葉であるが、同じ言葉が自身に返ってきている。何をしたくて、今回の行動でサーベラスはどうなると考えていたのかを引き続き考える。

サーベラスは投資した金で利益を出すことを生業にしている投資ファンドであるから、西武HDに出資した後の予定は、株式の再上場によって株を現金化 (当然、相当の利益が出る価格で) することである。投資ファンドの性格上、配当で満足するような会社ではないだろう。
西武HDも思いは同じで、株式の再上場を目指している。もともと上場企業であったのが、西武鉄道の有価証券報告書虚偽報告事件を受けて大幅な組織の変更をして、西武グループの経営再建をする為に設立されたのだから、再上場なしには経営再建は完了しないということだろう。他にもいろいろ事情はあるだろうが、堤義明前社長のワンマン経営のイメージを払拭するには他に道はない。
これなら適当なところで協力する話に落ち着きそうなのがそうならないのは、サーベラスが西武HD側の考えている新規公開 (IPO) 価格が安すぎるとする報道がある。西武HDの後藤社長は、株価は市場が決めるものと言っている。極めて模範的な発言であるが、高値で売りたいサーベラスの思惑と違ったことが刺激したという。保有資産の大きい会社であるから、その含み益も込みで評価されるべきだという主張は、心情的には理解できるが市場の理解は得られないから、当然会社経営の実務を取り仕切っている経営者が口にすることはあるまい。つまし、世間で一般に使われている株価決定の方法以外の手段によって、IPO価格の決定など出来る筈もないということである。だいたい、過去に不祥事を持つ会社のIPOで、怪しい行動があれば上場審査を通すのは困難だろう。
そもそも、サーベラスが西武HDの株式を得たのは、不祥事の後処理の過程であったことからすれば、IPO価格の問題が主たる要因で経営陣に不満を持ちTOBを掛けるというのは、随分と乱暴な話であろう。話をするチャンネルは十分にあるだろうし、西武HDの経営側も逃げまわることもないだろう。大騒ぎの割に得られるものが乏しいのは、実は最初から分かっていた話だと感じる。サーベラスは日本の会社経営が国際標準 (実態は米国だろうが) とかけ離れていると主張するのかもしれない。それはそれで主張して貰うとして、TOB騒ぎをして、次はプロキシファイトだと報道にはあるが、3月が今回の株主総会の権利確定日だとすれば、TOBの参加状態からして委任状を出すことは少ないだろう。それなら、臨時総会だとなるのだろうが、会社に負担ばかり掛ける株主は、他の株主から見れば迷惑な存在でしかない。そうすると、今回のTOBは始まる前に終わっていた話に思えてくる。米国の投資会社とは、日本のことをこれほどまで理解していないのかと、そっちの方が驚きである。もしかしたら、というか高い確率でもっと高度なことを考えていることと思うので、それが明らかになったらお詫びを兼ねてもう一度考えることにしよう。

放送を行っている会社の株式は、電波法で外国人株主の比率を20%未満に制限されている。電波の周波数の割り当てが公共性が高いからという理由なのであろう。それなら、他の業種はどうなのかと調べた。通信に関してはNTTがNTT法により1/3未満を求めている。航空法も、貨物利用運送事業法も1/3未満である。鉄道会社は該当しないようで、制限が掛っていないようである。外国為替及び外国貿易法の第27条3項1号イに、 
 国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来すことになること。
とある。公の秩序の維持には鉄道会社も含まれるだろうから、1/3の制限があっても良いようなきもする。運賃改定は、事業者の申請の後、運輸審議会で審議され、国土交通大臣に答申し、認可されるシステムであることからすれば、公共性を重視している様子が窺える。資本制限がないのが不思議な気がするが、日本が開かれた市場であるということの表れと理解できるのなら良いことでもある。しかし、不文律が多く存在しているなら、そちらの方が性質が悪いと外資は感じることだろう。外資が善良であるとは限らないから、公の秩序に関しては制限があって然るべきだと感じる。


西武HDは昔のセゾングループとは別だが、よく分からない。清二と義明の違いを理解しないのだから仕方ない。

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