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2013年6月14日 (金)

日本の造船業の状況

昨日に至らなかった、造船業界の状況について考える。

日本の造船メーカと呼ばれる企業の連結売上高と造船セグメントの売上高・営業利益を下に示す。単位は億円である。

■ 日本の造船メーカの連結売上高とセグメント売上高・営業利益
                    《   セグメント  》
 【億円】    全社売上      売上   営業利益   造船売上割合
川崎重工業   12,888       903     41         7%
三井造船      5,771      3,214    106        56%
三菱重工     28,179      2,258    116         8%
IHI         12,560      1,174     65         9%
住友重機械    5,859       461     24         8%
日立造船      2,968       632     24         -
名村造船所    1,184      1,036    149         88%
サノヤスHD     590       438     56         74%
佐世保重工業   359       312    -18         87%
内海造船        271       266     38         98%

日本が造船国であったのは昔の話になっている。少々古い数字になってしまうが、数字でみる日本の海事2008によると、主要国の造船竣工実績は下記のようになっている。

■ 世界の主要造船国竣工実績 (2007年)
 2007年      隻数   総トン
 日本        543    17,525
 韓国        430    20,593
 中国        661    10,553
 ドイツ        70     1,362
 ポーランド     60       587
 世界合計   2,782    57,320
       出所:ロイド統計   (注)100総トン以上の船舶

日本は隻数で中国に抜かれていて、総トン数で韓国に負けている。日本の大手メーカはこの二つの国を意識しない訳にはいかない。
さて、前のリストに戻って、三井造船は造船関係の売上が日本で最も高くなっている。その次は三菱重工であるが、造船関係は8%に過ぎず、既に ”陸に上がって” いる。IHIにも同じことが言えて、それに次ぐのは中堅の名村造船所となる。
上記の会社で日立造船は、社名に造船とあっても船を作らない会社になっている。2002年に日本鋼管 (JFEエンジニアリング) との合弁会社であるユニバーサル造船を設立して本社から造船を切り離した。現在では、内海造船が日立造船の連結対象になっている。日立造船の造船関連の売上は、船舶用のディーゼルエンジン等のものである。なお、ユニバーサル造船は新造船建造は行っておらず修繕のみである。
大型船の場合、価格が100億円の単位で扱われる値段になるようで、決算に隻数が5であったというような表現がある。大型船が1年で完成する訳ではないので、受注状況が決算報告に記載がある。新造船建造に関しては先が見通せるといえるが、それ故に苦しい話もあるのだろう。

大手と中堅の造船会社の違いは、”陸に上がって” いるかどうかの違いともとれる。それに従うなら、三井造船は水の上の会社であり、大手の中では特徴的である。造船の先行きが怪しいからと、社内や関連会社への出向転籍は”陸に上がって” いないと期待できない。かといって、中堅ばかりの水上の会社にこの規模の従業員を引き受けて貰えるとはならない。三井造船の救済合併だと当初言われていたのはこの辺りが理由なのだろう。三井造船が川崎重工との協議が流れるに至った経緯を考えれば、これまで通りで済むとは経営者は考えていないだろう。雇用を維持する (数千人が雇用されているだろう) ことを重視するなら、他社が魅力的と思っているプラント事業の切り売りをして、その資金で希望退職を募って造船部門をスリム化する。それで大きな中堅造船会社に生まれ変わるという方法もある。2000年には30%を下回っていた造船の割合が過半数に達したのは、プラント事業の売上が下がり、機械事業の売上が伸びないからである。造船事業の受注が伸びていて先送りした部分もあるのだろうが、大変な決断を求められることになるのだろう。
三井造船ばかり書いたが、川崎重工の経営陣の対応はお粗末である。経営統合の話など、どこを相手にしても良いのであるが、それを無暗に公表してはならない。公表すれば、会社の信頼は失墜するから、次から統合の話は出来ない会社の烙印を押される。勝手なことをする社長を外すのは役員会で決議しても良いだろうが、統合の中止は相手に先に伝えることが礼儀作法である。随分と硬直化した会社であるようだ。むしろ、こっちの会社の方が危ないのではないかと心配してしまう。

関係ない話になるが、東北の太平洋側の漁港は大きな被害を受けて復興が難しい状況にある。国の方針を読むと、特定第3種漁港 (主要な漁港) は速やかに復興を目指すが、第3種漁港は半分くらい、第2種漁港は地元の都合で決めれば適切な支援をする (一般的な表現を使えば何もしない) という対応であるようだ。もっと小さな第1種漁港など頭にないかもしれない。数字の大きな方が大きな漁港であるが、小規模な漁港は資金を入れても採算を取るのが難しいのは現実の話だろう。国の支援が期待できないなら、第2種漁港のいくつかを漁港ではなくプレジャーボート用のハーバーに切り替えて、その資金を元にして近くの別の漁港を修繕すれば良い。漁をする人達と、海のレジャーを楽しむ人は上手くやっていけてないのがこの国の状況であるが、共存を目指すのは価値のあることだろう。法整備も必要だろうから、それこそ特区にすれば良い。だいたい、国の支援をあてにしてもろくなことが無い。復興の名目でどれだけ他所に資金が流れたことか。自分たちで明るい未来を勝ち取る。国は邪魔をしないように見守ることに徹する。新しい観光資源を確保できれば新たな産業となる。残念ながら大型船ではないので、上記の造船会社は潤わないが、船に関心を持ってもらうのは悪い話でもない。川崎重工ならプレジャーボートもありそうだが、今回の一件で柔軟性の欠如を表にしてしまったので、三井造船が三井物産やら財閥繋がりの会社の協力を得て進めたらどうかと思う。


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