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2013年5月 1日 (水)

電力2013年3月期決算: 8社が赤字

電力10社の2013年3月期の決算が出そろい、火力発電の燃料費が膨らんだことなどから、東京電力など8社で、最終損益が赤字となった。電力10社によると、北陸電力と原発を持たない沖縄電力以外の8社で、最終損益が赤字となった。8社の赤字総額はおよそ1兆6,000億円に達している。

電力会社の決算を確認して考えてみる。

各社の決算から、売上高と営業利益をまとめた。比較として、震災前の2010年3月期と比較した。結果を下に示す。


■ 電力9社の売上と営業利益の2010年と2013年比較 [単位:億円]
          2013年3月期       2010年3月期  
          売上高  営業利益   売上高  営業利益
 東京電力   59,762   -2,220     50,163   2,844
 関西電力   28,591   -3,140     26,066   2,277
 東北電力   17,927    -559     16,634    893
 中部電力   26,490    -145     22,386   2,000
 九州電力   15,459  -2,994      14,449    997
 中国電力   11,997    -40      10,384    815
 北陸電力     4,925    118       4,714    410
 北海道電力   5,829  -1,154      5,493    317
 四国電力    5,617   -503      5,454    424
 沖縄電力    1,664     90       1,625    174

2013年の赤字決算の会社が多いのが分かる。だからといって、赤字8社の損益を合計することにどんな意味があるかは理解不能である。報道機関は電力会社を公社のように捉えていることが想像される。震災後の東電の例を除けば、電力会社に国の資本が入ったことはないから純粋な民間企業である。公共性のある事業であるので、料金改定に国の承認が求められるとしても、これは鉄道会社でも同様である。鉄道会社の赤字を合計することは、地域性があるからしないだろうが、電気だとどこでもいっしょだと合計するらしい。強い違和感を覚えるが、そんな記事が新聞に大きな活字で書かれるということは、新聞会社は電力会社を国が必ず救済すると考えていて、それを好ましいと考えているのだろうか。国営化で安くならないから、土光臨調の行政改革で民営化が推進された。現在の自民党政権でも同じ方向なのだろうが、報道機関は違う道なのだろうか。行政改革(民主党は行政刷新かな)をするのは日露戦争でもあったようだから、倹約を旨としても自分の役所は例外になってしまうのが公務員システムだということである。また議論が逸れた。
どの電力会社も売上高に大きな変化は見られない。営業利益が劇的に減ってしまっているのは、原発が停止したこと、それを補う火力発電用の化石燃料の価格が高騰していること、の二つが重要な要素である。原発も水力発電もない沖縄電力の利益が半減しているのが、化石燃料の高騰要素であるといえる。それでは各電力会社の水力、火力、原子力の発電量を2010年と2013年の決算で比較してみる。結果を下に示す。

■ 電力9社の発電方式毎の発電量の2010年と2013年比較 [単位:百万kWh]
         2013年3月期            2010年3月期    
         水力    火力   原子力    水力    火力   原子力
 東京電力  11,643  229,882     0     11,015  161,144  80,887
 関西電力  12,999   86,857  15,155     14,020   42,879   65,894
 東北電力   5,957   52,757     0      7,607   44,625   20,380
 中部電力   7,800  122,900     0      8,600    92,200  14,100
 九州電力   4,704   61,221     0      3,291   34,191   39,079
 中国電力   3,050   40,670     0      2,980   33,230   9,580
 北陸電力   5,900   23,730     0      5,560   16,030   9,670
 北海道電力 3,422   24,349    784      3,757   14,986   12,381
 四国電力   3,706   26,592     0      2,660   17,355   14,102
 沖縄電力     0    6,719     0         0    6,599     0

水力発電は天候による要素を抱えることから計画通りには成り難い。変動費が少ない発電方式であるから、電力会社としては発電を最大実施するので、2010年も2013年もこれが最大の結果だったと考えて良いだろう。
原発がほぼ全部停止したことで、その電力を補うのは火力発電となる。2013年の火力発電量は、2010年の原発+火力の発電量にほぼ相当している。これによって、燃料を購入することになるが、ここに燃料の高騰が加わり利益を失ったという結果と考えて良いようだ。
原発が停止しているのに費用が減らない理由は、原発がほぼ固定費で構成されているからとしてよいだろう。原発は少しのウラン(235)の核分裂によりエネルギーを電力に変換する方式である。核分裂を制御しなければならないが、燃料を足すという行為は1年の単位ではないし、発電用として核分裂の済んだ燃料も、その後適切に保管しなければならないから費用が掛かる。つまり、止めていても動かしているのと同じ作業をするのである。発電の電気側は変動要素もあるだろうが、動かすことを前提に発電を停止しているのであれば休める場所もないだろう。
2010年の各社の原発の利用予想は、74-88% (東京電力と中部電力は公表せず)である。平均的には80%として良いだろう。原発単体の損益分岐点となる利用率は25%程度でないかと思われる。(電力会社の決算で、原発利用率の利益への影響より推定) 2010年の原発発電量の1/3が固定費分と考え 1kWhを10円で計算して、2010年の営業利益から引くとほぼ営業利益はなくなる。それほど外れていない計算であるように思える。
今後のことを考える。原発を稼働停止しても10年から20年はこの固定費 (仮に2010年の原発発電量1/3相当) が継続することになる。電力会社の経営に大きな影響を及ぼすから、電力会社は再稼働に躍起になるのは当然である。

原発を停止したいと考える立場なら、原発を電力会社から引き離す。帳簿価格で国が引き取れば良いだろう。電力会社は原発負担から逃れられる。電力の安定供給を人質にされては敵わない。
原発を稼働させたい立場なら、民間会社である電力会社9社に足並みを揃えさせるには楽ではない。無理に圧力を掛ければ問題になる。何せ相手は民間企業である。無理筋の動きは公取委扱いになる。こっちでも原発はひとつにまとめて処理するのが妥当だろう。どうせ原発ムラの既得権益を守ると指差されるのだから、透明性を確保して正しい仕事と主張すればよかろう。まあ、既得権にしがみつくつもりなら、それは無理な注文ではある。


事実と感想を混ぜるのはやってはいけない。上手に書けないのならこれくらいは守ろう。

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