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2013年5月18日 (土)

キユーピー:イスラム国ではシンボルマーク変更

キユーピー(2809)は5月17日、東南アジアのイスラム教国で販売する家庭用マヨネーズのシンボルマークを変える方針を明らかにした。人形の背中の羽をなくし、全身ではなく顔と手だけにする。包装に描かれた従来の「キユーピー人形」が天使と解釈され、偶像崇拝を禁じたイスラム教の信者が多い国で問題となる可能性があると判断。イスラム圏での将来の事業拡大もにらんで変更に踏み切った。(時事通信)

少し前から話題になっていたが、変更することに決めたようだ。キユーピーについて考える。

キューピーマークは大正11年にすでに商標登録してあったといい、日本では良く知られているマークである。これをいじる理由はどこにあるのだろうか。キューピーではなく、キユーピーである。キヤノンや富士フイルムと同じ大文字である。大文字小文字の区分は正確に知られていなくても、食品関係で有名な企業で、特にマヨネーズは有名である。まずは経営状態の確認を行う。決算短信から、2005年から2012年の数字をまとめたものを下に示す。キユーピーの決算は11月末までの会計年度を採用している。

■ キユーピーの経営推移(単位:百万円)
         2005   2006   2007   2008    2009   2010    2011   2012
売上高    455,007  456,067  468,006  473,951  452,239  471,010  486,435  504,997
営業利益   12,830   14,159  15,824  14,036   17,731   22,119  20,816  23,368
経常利益   12,829   14,262  15,836  14,184   18,414   22,762  21,912  24,467
純利益     5,465    6,071   7,328    7,721   9,036   10,613   9,449  12,291

4,500億円の売上高で、営業利益が150億円の会社のイメージであったが、ここ二年は売上を伸ばして、売上5,000億円で250億円の営業利益の会社に成長している。食品関係の会社としては、味の素が1兆円を超える売上でこれが最大といって良いだろう。JTを食品関係と考えれば2.5兆円規模だから最大で、ビール会社は食品ではなく酒類会社と区分するのが普通だから、キユーピーは食品関係の会社で日本の大手であることは間違いない。
キユーピーのセグメント売上の推移を下に示す。2005年はセグメントに違いがあったが、2006年以降のものに合わせて集計した。

■ キユーピーのセグメント売上高推移(単位:百万円)
             2005    2006    2007    2008    2009    2010    2011    2012
調味料・加工食品 165,467  172,241  177,277  177,645   175,674  171,695  173,488   181,366
健康機能       14,952   17,417   17,495   18,172   17,333   17,753   18,462    18,414
タマゴ          90,197   82,463   84,839   88,315   79,499   83,149   85,743   85,570
サラダ・惣菜      97,155   94,458   96,228   93,775   80,666   78,052   85,801   97,746
共通                                      7,094     6,694   5,818    6,201
物流システム    87,233   89,485    92,164    96,041   91,970  113,664  117,122    115,697
合計         455,007   456,067   468,006  473,951   452,239  471,010  486,435   504,997

最近の500億円の売上成長は、物流システムが250億円、サラダ・惣菜が100億円伸びたのが大きな要因のようである。どの年度の決算資料でも海外売上は10%未満であるとの説明しかない。海外進出をしようとしている文言は見られるから、5-10%の間であると思っていれば間違いはなさそうである。
キユーピーの主力製品は、マヨネーズとドレッシングである。マヨネーズは国内の七割のシェア、ドレッシングは五割のシェアと言われる。マヨネーズは二番目と三番目が味の素とケンコーでこれは同じくらいと言われるから、二番目の三倍と抜群に大きい。これらが調味料・加工食品である。国内の市場規模はマヨネーズが1,100億円、ドレッシングが650億円というところだから、単純計算で合わせて1,100億円の売上になる。中期計画資料で、調味料売上は2012年度で1,386億円とあるから当らずとも遠からずである。
タマゴというカテゴリーは奇異に映るかもしれない。マヨネーズは卵黄と酢とサラダ油を混ぜたもの(当然、味を調えるものは入っている)である。酢とサラダ油は、ようするに水と油だから混ざらないので、卵黄を乳化剤として混ぜ合わせて分離しないようにしていると解釈できる。水に油が溶けている乳化のパターンなので、マヨネーズは水で伸ばせる。逆に油に混ぜれば分離する。
国内の鶏卵の一割をキユーピーが使用していると言われる。キユーピーのマヨネーズでは卵黄のみを使用するのを基本にしているから、卵白は残る。卵白はケーキやパンをふっくらと仕上げ滑らかに仕上げるのに有効(加熱時の膨張剤)である。卵白に砂糖を加えて泡立てたものをメレンゲといい、お菓子つくりの教科書の最初に出てくる。そこで、昔からパンやケーキを作る会社に卵白を売っていたのだろう。しかし、ケーキ製造では卵白だけでなく卵黄も用いる。キユーピーでは卵黄も卵白も全卵も売っていて、殺菌・凍結した製品として1kgのパッケージなどで出荷されている。ケーキつくりをガラス越しに見える店では、牛乳パックの大きなもので、卵白や卵黄を流しこむ様子が見えることがある。この用途が拡大して、食品会社に拡販しているのが今日の姿である。

この二つのの事業と物流を合わせて3,000億円を超えるのだから、安定した国内市場によって経営の不安はないように見える。しかし、国内市場は人口が減る方向に向かうとすれば、拡大は望めないことになる。新規の市場を目指すのは必然となり、その中の一つが海外市場であると言えそうである。
もう少し細かいところを次回考えることにする。


無駄に説明が長いのは、知らないことは確かめることを心掛けているからと言い訳する。

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