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2013年5月25日 (土)

裁判員制度に関する質疑

5月21日の法務大臣閣議後記者会見で、裁判員制度についての質問について答えた内容について考えてみる。

記者からの質問は下記の通り。(法務省ホームページより)
2009年に始まった裁判員制度についてですが,今日21日で施行から丸4年を迎えます。裁判員制度が施行されたことによって、従来の刑事裁判がどのように変わったか、あるいは、どのような意義があったかということの大臣の所感をお聞かせください。一方で、元裁判員の女性が証拠の遺体写真などが原因で急性ストレス障害と診断されるなどの問題点も浮かび上がっています。制度の今後の課題について、大臣のお考えをお聞かせください。

肯定的にしか答えないであろうことは予想されたことであり、しかもそれに違わぬ回答をするところが、さすが法律家出身の大臣である。役人の操り人形ならもっと上手に演じる役者もいるだろうが、魅力的な役ではないかもしれない。そんな話はどうでも良いのだが、回答は制度は悪くないと言う話なので、興味がある人は法務省のページにどうぞということにする。
この回答で大臣は、大きな意味では今のところは順調に運営されているのだろうと思っているとしている。なにを根拠にしているかといえば、裁判員経験者の多くの方々が、裁判員として裁判に参加したことが良い経験であったと感じていただいているというのだから、きっと裁判後の聞き取りをしているのだろう。この手のアンケートをしたのなら、最も重要なのが協力するかしないかである。裁判で嫌な経験をした者が、今後の裁判員のあり方に答えることはない。思い出したくもないと言った人が百人に一人でもいたら制度のあり方を考えるのが本当の分析だろう。
こんな間抜けなことを平気で言うなと大臣が役人を叱責しない (この部分想像です) のは、大臣が法曹界の出身だから、もたれ合いになっていると堅気の人 (素人さんでもよい) は思うことだろう。なぜこのような批判をするかといえば、裁判員法の附則第9条に、
「この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、裁判員の参加する刑事裁判の制度が我が国の司法制度の基盤としての役割を十全に果たすことができるよう、所要の措置を講ずるものとする」
と定めているからである。3年は2012年5月21日になっているのだが、法務省側から見直そうとする動きは無い。だから日弁連 (日本弁護士連合会) は、改革案を公開するなどして行動をしている。
間抜け具合が伝わらないだろうと思うから具体的な話にしよう。裁判員を経験した人が、この制度について話をすると処罰対象になる。裁判所の関係での調査なら聞き取りが可能なのだろう。つまり法務省以外は調査が出来ない (調査が明るみになれば発言が処罰対象になる) のだから、法務省は真剣に調査しなければならない。その法務省が附則第9条を守らず、という方が不適切なら、守ろうとはしない行為を許すのは、役人が保身に走っているのを大臣が裏書して、正しい行為に書き換えていることである。
なぜこんなことになってしまったかと考えれば、思い守秘義務を裁判員に負わせているからである。簡単に表現してしまえば、何にも話してはならないということになっている。ということは、マスコミは報道したくても調べようがないし、調べた結果を公表すれば違法行為があったことを示すことになる。相手が裁判所では、捜査令状もバンバン出せそうだ。報道機関が黙っていたって、裁判員を特定するのはそれほど難しくないだろう。違反した場合は6ヵ月以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑となっている。

裁判の過程でストレスを感じても、保護する対象にはなり難いのは、裁判が終われば裁判員は解散して、堅気の生活に戻りなさいという考え方があるからだろう。問題がなかったか聞き取りしていては、守秘義務違反を犯す可能性が出るから不用意に行いない事情も出てくる。問題の本質は思い守秘義務にあるのだから、これが妥当かどうかの検証をして、見直すべきところは見直すというのが問題点の洗い出しには早道である。
重い守秘義務を負わせる裁判員などやりたくないという人は、選任されたときに辞退しないで、守秘義務を守らないと宣言すれば良い。守らないから当然、処罰されることになるだろう。確信犯だから放置したら制度が壊れる。裁判で、守らないと言っている人を選任しなければ良いと主張する。選任する際に、他の候補者にすることが難しかったかどうかが問題になる。仮に1,000人に3人しか辞退者がいないのなら置き換えは可能となる。逆に100人が辞退したい状態なら、制度に問題があるのに法務省が放置した事実が明らかになる。こんな裁判をしたら大変だから、選任しなければ良いということになるだろう。本気でやろうとする人は、然るべき専門家に相談の上で行って下さい。
自分たちが関わる制度を、自分たちで評価すれば、必ず腐っていく典型例になりそうである。


腐らないと思うところから腐り始める。

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