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2013年5月16日 (木)

ガソリンスタンドについて-2

昨日に続いてガソリンスタンドについて考える。

ガソリンスタンド(GS)の経営について考える予定だったが、ガソリンの販売量の推移の統計資料に差異があることが確認されたので、もう少し統計を調べることからにしようと思う。
ガソリンの国内出荷数量に関する統計データは三つあった。経済産業省の生産動態統計、国土交通省の自動車燃料消費量統計年報、全国石油協会の実態調査である。それぞれの統計から、GSに関係する代表的な項目を抜き出した。結果を下に示す。

■ 経済産業省生産動態統計 [単位:千kL]  *ガソリンは自動車用のデータを採用
      ガソリン (高級)  (並級)    灯油   軽油
2006   61,067  10,425  50,642   28,149  41,174
2007   60,528  10,140  50,388   24,173  44,173
2008   58,447   9,196  49,251   21,623  47,496
2009   58,617   9,280  49,337   21,499  44,699
2010   59,903   9,151  50,752   20,548  43,641
2011   57,126   8,391  48,735   20,143  41,634

■ 全国石油協会 [単位:千kL]
      ガソリン ハイオク レギュラー  灯油   軽油
2006   61,213  10,374  50,839   30,320  31,582
2007   67,247  10,381  56,866   28,168  28,036
2008   65,100  10,681  54,419   26,841  26,103
2009   48,795   6,517  42,278   22,870  22,931
2010   38,581   4,983  33,598   19,674  22,077
2011   40,730   5,110  35,620   18,700  20,288

■ 国土交通省自動車燃料消費量統計年報 [単位:千kL]
      ガソリン  軽油    LPG
2010   52,964  27,186   2,219
2011   53,214  25,660   2,067

差が大きいことに困惑したのだが、統計の取り方に違いがあることが分かった。経産省の統計は、すべての事業所に対して実施している。国交省の統計は、毎月5,000の自動車使用者へのアンケートの集計結果となっている。全国石油協会の実態調査は、揮発油販売業を営んでいる10,0000企業を無作為抽出してアンケート調査を行っている。上記の数字は、企業当たりの年間総販売数量に企業数を掛けて総量を算出した結果を示した。
各統計の特徴としては、経産省が石油元売り側、全国石油協会はの小売り側、国交省は利用者側の状況を示していると考えて良さそうである。全国石油協会のアンケートの発送先はGSの事業者数が20,000を切っている状況の中で十分な数であると考えて良い。国交省のアンケートは自動車の保有台数が乗用車だけで5,800万台を超えている中でのサンプル数としては少々少ない。全体的な傾向を見るのに用いるのが適当な利用方法であろう。ただし、古いデータは公表されておらず、国交省のホームページへのアクセスが非常に悪い状態であるのでこの統計については諦めることにした。
経産省のデータによると、この5年でハイオクが20%減り、レギュラーが4%減った。ハイオクが減っているのは、不景気の影響でハイオク指定のクルマの人気が下がる傾向もあったようである。GSと乗用車の保有数について確認した。結果を下に示す。乗用車保有数は国交省による。

■ 乗用車保有数とGS数 [単位:自動車は千台、GSは戸]
      普通車  小型四輪 軽四輪 乗用車計    GS数   台/GS
2000年  13,943  28,593   9,901    52,437    53,704   976
2001年  14,807  27,943  10,790   53,541    52,592  1,018
2002年  15,375  27,494  11,671   54,540    51,294  1,063
2003年  15,837  26,885  12,491   55,213    50,067  1,103
2004年  16,296  26,401  13,297   55,994    48,672  1,150
2005年  16,635  26,255  14,202   57,091    47,584  1,200
2006年  16,715  25,698  15,108   57,521    45,792  1,256
2007年  16,772  24,921  15,931   57,624    44,057  1,308
2008年  16,748  24,356  16,760   57,865    42,090  1,375
2009年  16,689  23,919  17,412   58,020    40,357  1,438
2010年  16,890  23,470  17,987   58,347    38,777  1,505
2011年  17,040  23,144  18,487   58,670    37,743  1,554

GSの1店舗当たりの乗用車台数は、この10年で1.5倍増え、1,000台が1,500台を超えた。GSのガソリンの売上が減少しているのはエコカーの普及による影響があるとする説がある。2009年のエコカー減税から、燃費の良いクルマ、特にハイブリッドカーを中心に販売数を伸ばしている。仮に新車が5年で10%、10年で95%が廃車されるとすると仮定すると、この3年間に登録された乗用車の割合は20%強と計算される。保有台数自体は3年間で1%増加しているから、全体の20%を占めるこの期間の新車が、従来車に比べの燃費が10%改善しても全体の走行距離に変化が無ければ1%の使用燃料減に留まる。上記の表で2000年以降、軽自動車の保有台数が著しく伸びている。小型車の販売が期待したほどの結果になっていないが、軽自動車は市場を拡大している。高価格なハイブリッドカーと軽自動車に販売が集まる状態はここ数年の傾向である。
ガソリンの販売量は落ちているものの、自動車台数は増加し、GSの廃業の多さからすれば売上が著しく減少するようには見えない結果であった。しかし、実際にはGSの廃業は目立つ。タンクの更新の費用負担は代表的に500万円(最小でも300万円)掛ると言われる。GSの年間売上高は平均的に500百万円で、粗利率は13%程度と全国石油協会の調べでなっている。販管費率は12%となると、人件費に5百万円で企業の利益はなしというのが平均的な中小GSの経営状態であるようだ。この傾向は地方のGSに顕著に表れる。クルマが必需品である地方は人口密度も低いからGSの数も少ない。ここで経営が圧迫されて廃業となると、困るのは地方の住民である。消防法に例外を設ける訳にはいかないだろうが、田舎でGSまで20km以上あるのが当たり前になっては問題が出てくることだろう。高速道路のGSの間隔が40~70km目安(もちろん例外はある)で設置されていることからすれば、日常生活ではこの半分程度でGSに行き着かないのは困ることがある。対策をするのは困難であるにしても、どの程度の問題があるのかを公表するのは行政の仕事だろう。その上でどんな対策が必要かを検討すればよい。廃業して困ったと言っているだけでは何も解決しない。

GSは燃料価格の変化があると無理を強いられ利益を失うようである。変化が少ないと経営が安定するなら、公定価格を設定すればGS経営は成り立つことになる。自由競争が価格を下げるというのは、全ての製品に適用できる公理ではない。競争に敗れるものがいる時代なら、まだ競争原理が働くが、敗れる前に降りる状況が生ずれば不便だけが残り、製品に高い料金を支払うことになる。自由競争を最善と考える新自由主義が適用可能な範囲には、狭く小さな市場は含まれない。競争のあり方について提起する政治家がいても良いように思う。
GSのことを調べても結論に行き着かなかったが、ガソリンを必要な人がいて商売にならないというのは不条理だろう。どこを直せば変わるのか全く見当がつかないが、そんな疑問を持ちつつ今後も考えていくこととする。


猪瀬が橋下発言を批判することを、目糞鼻糞を笑うと言う。辞書に採用されそうな例だ。しかも、どっちも辞職しない。(推定)

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