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2013年5月19日 (日)

キユーピー-2

キユーピーの経営について引き続き考える。

キユーピーの業績について確認してきた。最近二年について、セグメント別の営業利益が公開されているので、この数字から見直してみる。

■ キユーピーのセグメント別売上高・営業利益・営業利益率 [単位:百万円]
               売上高         営業利益率    営業利益率
 年           2011   2012       2011   2012    2011  2012
調味料・加工食品 173,488  181,366     14,370  14,959    8.3%   8.2%
健康機能        18,462  18,414      1,510    821    8.2%   4.5%
タマゴ          85,743   85,570     3,786   5,664    4.4%   6.6%
サラダ・惣菜      85,801   97,746     2,217   3,061    2.6%   3.1%
共通           5,818    6,201      667    833   11.5%  13.4%
物流システム    117,122  115,697     3,020   3,183    2.6%   2.8%
 合計        486,435  504,997     20,816  23,368    4.3%   4.6%

営業利益率が全社に近いタマゴ事業を単位として考えると、売上高は、調味料・加工食品が2タマゴ、サラダ・惣菜が1タマゴ、物流システムが1.5タマゴとなる。営業利益では、調味料・加工食品が3タマゴ、サラダ・惣菜が0.5タマゴ、物流システムが0.5タマゴ強となる。調味料・加工食品の会社であることは明らかである。
2012年に健康機能の営業利益が半減したのが気る。健康機能事業は、育児食、医療食、介護食、ヒアルロン酸等となっている。売上高は同じ水準で利益が半分になっている。決算の説明によると、ヒアルロン酸の販売不振により減収となったが、高齢者食は伸張したとあるから、ヒアルロン酸事業が新規事業で売上が下がると利益に大きく影響するが、高齢者食の方は変動費が大きく売上の伸びほど利益が伸びないということのようだ。病気療養中の食事に制限が加わることがあり、家族とは別のものを用意するのが大変だと聞く。病院の売店で、病気に対応したレトルト食品が沢山並んでいた。キユーピーの製品かどうかは記憶にないが、美味しく食べられて身体に負担にならないように配慮されたものであるようだった。

キユーピーは3年毎に中期経営計画を発表している。2001年からの各中期経営計画について売上高、営業利益、利益率を前年実績と計画最終年を最新の2013年まで比較した。

■ キユーピー中期経営計画の計画前年の実績と最終年の目標
[単位:億円]   売上高  営業利益 営業利益率
実績 2000年   3,843    155     4.0%
計画 2003年   4,300    185     4.3%

実績 2003年   4,370    183     4.2%
計画 2006年   4,600    193     4.2%

実績 2006年   4,560    141     3.1%
計画 2009年   5,000    210     4.2%

実績 2009年   4,522    177     3.9%
計画 2012年   5,250    235     4.5%

実績 2012年   5,050    234     4.6%
計画 2015年   5,600    265     4.7%

中期経営計画は売上で年率 2~5% 伸ばす計画になっている。売上で2001年、2004年の計画はほぼ達成しているものの、2007年、2010年の計画は未達であった。営業利益は、2001年、2010年がほぼ達成で、2004年、2007年が未達であった。
未達はあってもそれなりの数字になっているのが、国内の安定した売れ行きが期待できる商品を持つ強みである。要約すると間違いがあるといけないので方針についての説明を決算短信より転載する。

■ 2001年の中期経営計画
『マヨネーズ・ドレッシング事業と缶詰・レトルト事業をコア事業と位置付け、積極的な販売促進活動や市場のニーズを捉えた新製品の投入により新たな需要を創造し、加えて、経営の効率化を追求することにより収益基盤を確固たるものにします。同時に、コア事業から発展したタマゴ、野菜とサラダ、ヘルスケアおよび物流システムの各事業を積極的に拡大することにより成長性を確保いたします。』

■ 2004年の中期経営計画
『前中期経営計画で掲げた「コア事業の拡充と周辺事業の拡大」を更に推し進めながら、ナンバーワン・オンリーワン商品の拡大と創出に集中し、事業価値(技術力やブランド力、コスト競争力などを総合した事業毎の市場競争力)の最大化を図ることを目標としています。』

ここまでのところは、コア事業とその周囲の事業について拡大していく方針となっている。食物価格の高騰の影響があり、コストアップが利益を減らす局面はあるものの、競争優位に立つ商品群によって売上・利益を向上させる方向性は揺らいでいない。これが2007年になるとこのような方針になる。

■ 2007年の中期経営計画
基本戦略: 「利益体質の強化と成長分野へのシフト」
 ・ 利益体質の強化
   ① 利益構造の改革と健康機能事業の創設
   ② 技術立社の推進
   ③ グループコストの低減
 ・ 成長分野へのシフト
   ① 健康ニーズへの対応
   ② Food service 市場での展開を強化
   ③ 海外での拡大を推進

現在の事業をそのまま継続していくだけではなく、既存事業はコストの削減を、そして新規事業を強く意識してきている。成長の為には、国内では従来からの製品に留まらず、健康や食品サービス市場の展開を行うこと、そして、従来からの技術を活かした海外展開が必要であると考えていることを示している。2010年になると説明が長くなり引用は止めにして、表題だけ拾うと下記のようになる。

■ 2010年の中期経営計画
・ 新たな展開への挑戦 (国内市場の深堀、東アジアでの拡大)
・ フードサービス戦略の本格的展開
・ 事業基盤の強化 (基幹商品への集中、グループコストの改革)
・ 人材育成の充実と、グループ品質の向上

海外事業を強く意識している。しかも、既存の事業を継続するだけでは駄目だと言うことを主張し始めている。2013年も長いが、2010年より整理されて、尚且つ具体化している。四つの経営方針飲み示す。

■ 2013年の中期経営計画
・ 経営基盤の強化
・ 国内でのイノベーション
・ 海外への本格展開
・ 将来への布石

大きなテーマに海外進出が格上げされた。いろいろあるが、成長性に関わる具体的なテーマを任意に拾ってみる。事業セグメントと内容を示す。

調味料:      エリア特性に応じた展開で、アジアのマヨネーズ市場を拡大
サラダ・惣菜:   技術力と展開力で、サラダ・惣菜、カット野菜、CVS米飯の3つの分野を拡大
加工食品:     各カテゴリーの選択と集中で、商品開発や販路開拓を強化
ファインケミカル: 新たな機能創出でヒアルロン酸の付加価値を高め、展開領域を拡大

安定した企業ではなく、挑戦する企業のイメージに変わってきている。海外に進出しなければならないと株主に説明し、当然、社員や取引先にも同じ話をする。
キユーピーは中国のマヨネーズ市場に1993年に進出していて、売上は2002年約10億円、2010年約41億と言われる。現在の売上の5%が海外売上だとすると250億円である。外務省領事局政策課の2009年の統計によると、領域外の在留邦人は113万人を超えるとある。中国は12万7千人(2位)、タイ4万4千人(4位)がアジア圏では多い国である。法人相手に期待しても人口割でみたら国内市場の1/100であるから、マヨネーズ1,100億円、ドレッシング650億円の1/100では20億円に満たないから、外国に売らないことにはこの規模の会社には満足できないだろう。

食事は文化風習に深くかかわるから、美味しいから買われるだろうは楽観的過ぎる。宗教上の理由による問題は少ないだろうと思う鶏卵であるが、文化面では別である。生魚を食べる習慣は欧米では比較的最近までなかったが今では普通になっている。日本において野菜の生食が普通になったのは40年くらい前からで、以前は煮るか炒めるか漬けるかするものであった。国内の野菜にシュウ酸が多かったことも影響していると言われる。食べ物は保守的であるので、変化するのに時間を要するものである。
パッケージのマークを変えることを決定したのは宗教上の理由であるが、これはキユーピーが海外市場を重視していることの証でもある。
ついでに調べた味の素のセグメント売上・営業利益を示す。

■ 味の素のセグメント売上と営業利益  (2013年3月期)
[単位:億円]    売上高    営業利益
国内食品     4,011 (34%)   326 (46%)
海外食品     2,453 (21%)   207 (29%)
バイオ・ファイン 2,042 (17%)   143 (20%)
医薬         714 ( 6%)    31 ( 4%)
提携事業     1,800 (15%)    15 ( 2%)
その他        701 ( 6%)    -12 (-2%)
 合計       11,724          712

味の素は食品で、国内食品の1/2を超える売上と利益を出している。多角化も進んでいてバイオ・ファインや医薬の売上も大きい。目指すのはこの様な姿であるのだろうが、国内の安定した市場で仕事をしてきた社員に、異文化に提案していく作業を求めるという最初の大きなハードルが待っている気がする。


決算関係の話は数字の引用が多い。そして、長い。

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