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2013年4月17日 (水)

大飯原発:大阪地裁 は住民の運転差し止め請求却下

大地震により重大な事故が発生する可能性があるとして、福井県や大阪府などの住民約260人が、国内で唯一稼働している関西電力大飯原子力発電所3,4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを求めた仮処分申請で、大阪地裁(小野憲一裁判長)は4月16日、請求を却下した。 (日本経済新聞:4月16日14:22)

裁判所は何をしてくれるかを考えてみる。

訴訟を起こしたのは原発反対を行っている人達であるようで、"おおい原発止めよう裁判の会" というのが原告の通称のようである。これが全部かどうかは保証の限りではないが。検索したところレイバーネット日本のページに詳しく主張が出ていた。レイバーネット日本は労働運動を扱うなど、昔なら革新系と呼んだかもしれないサイトのようだ。左翼と括ると少々乱暴に思うが、社民党辺りの主張に近いように感じる。そこで "おおい原発止めよう裁判の会" のアドレスも分かったので確認したら、美浜の会というサイト名であった。しかし、原発反対の資料は沢山あるのだが、この団体に関する説明書きが見つからない。住所や問い合わせ先はあるから確認するのは可能なのだが、あまり親切ではない。主張が激しい団体ほど、活動の正当性を疑わないなら説明しな傾向があるようだ。沢山資料があるのは助かるので、文句ばかり言ってはいけない。
この原告だと思しき団体のサイトに、今回の仮処分の判決文が貼ってあった。これは良いと思ってダウンロードしたら70頁もあるものだった。裁判用の言葉は馴染みがないので少々骨が折れるというか、正しくは読む気がしなかった。細かい部分に疑問はあるが、裁判所の判断ならこれくらいだろうという結論であった。
なぜそう思うかというと、裁判所が原発の稼働停止の仮処分を下すはずがないと思うからである。理由は簡単で、止めれば電力供給に影響が出るのは明らかだからである。原告がどれだけ担保を積んでいるのか知らないが、期間が長ければ支払い能力に欠けるだろう。もし、仮処分が間違っていたとする判決が出れば、個人での支払いなど難しい金額になる。だから、裁判での争いに向かない。理由は経済的なものである。
大飯の3,4号機はどちらも最大出力 117.5万kW ということだから、年間の稼働率が半分として1,175MW (面倒なので単位を百万にした) が1年間 =  365日 × 24時間 = 8,760 時間 動かしたときの売上が遺失利益の基準になるだろう。1kwhの電気価格を5円とすると、1年間で51,465,000千円となる。つまり500億円を超える。原発は動かしていても止めていても同じくらい維持費が掛るから、停止に伴う変動費の削減はそれほどないだろう。この金額の全額になるか半分になるかはともかく、百億円の単位になる。裁判はどちらが勝っても上訴するだろうから裁判期間は長くなる。止めてしまえば社会的に大きな影響があり、原告に支払い能力がなく止めた後の原状復帰が困難となれば、止める判決を出すのは裁判官には骨の折れる仕事となる。仮処分の合理性の説明責任はもっぱら原告にあるのだから、裁判官は原告が立証する説明を聞いて、少しでも合理性が欠けたのなら請求を棄却することになる。これが仮処分の手続きだろう。

"おおい原発止めよう裁判の会"は、強い表現で裁判官を非難している。しかし、裁判官は原発の危険性を直接的に判断する知識はない。提示された資料に基き、合理性のあると思う判決を法律と良心に従ってするだけだろう。裁判の中のストレステストに合理性があるとするのも、現時点で疑問があるにしろ認められている手法を否定するだけの証拠は提示されていないのなら当然のことだと思う。制御棒の基準時間も同様である。福島の事故は制御棒が規定どおりに挿入されてもあれだけの被害が発生したことを考慮しろと言われても、それは裁判所には馴染まない話だろう。現時点で正しいと推定される一定の合理性があれば正しいとするのが裁判で、科学的、工学的に適切かは裁判所で争われる性質のものではあるまい。破砕帯が地滑りの可能性が高いとしたのは、地学についてどれが正しいのかよく分からないから、つまり、乱暴を覚悟で言えば、現時点で分からないことはどれでも好きな説を取っても良いとしたに過ぎない。これも原告が立証責任を負うものである。そうは言っても、この部分については問題があるかなと感じるのだが。
私が小野憲一なら、1年間停止するについて100億円の担保を立てることを要求するだろうが、それに法律上の合理性があるのかは知らない。この金額を受けるのは大変なので、そんな判決をしたら批難ごうごうになりそうではある。

原発の停止を政治問題としてだけ処理しようとしても、原発推進 (とは言っていないが反対派にはそう見える) の姿勢が強い自民党が与党であれば進みそうにない。原発廃止を明言しているのは、共産、社民といった少数政党である。民主も廃止側にあるのだろうが、与党を転落して歯切れが悪い。永田町で処理できない問題は裁判所でのろしを上げて、マスメディアの関心を惹いて次ぐの選挙のテーマにするというのが手番なのだろう。本気で裁判所が停止の仮処分を出すとは思っていないと思うが、もしかしたら真剣にそう信じている活動家もいるかもしれない。こっちは少々怖い存在である。
原発を停止したければ、他の手法で電力が賄える状況を作り出すように作業を進めるしか方法はない。しかし、自然エネルギーからの発電量を増やすのに補助金を出すのはセンスが悪い。原発にしがみつく理由は既得権を失いたくない為である。原発が好きなのではなく、原発推進で生活ができるからなのである。別の発電方法に補助金を出せば新たな既得権を生み、過去からの既得権との綱引きが始まるだけである。別の方法で発電すると儲かると分かれば黙っていてもそっちに行く。儲けが多ければ黙ったいた方が広がるくらいである。小規模な水力発電など、古い権利である水利権や河川の漁業権で縛られているが、田んぼは用水路の整備が進んでいるし、川での漁業も限定的で正しく管理すれば大きな問題は少ないだろう。適性な管理をしようとしない行政の怠慢に過ぎない。だいたいこんな小規模な発電など全体から見れば微々たるものだが、この微々たるものを認識させないと誤った方向に行くのが怖い。役所が本気で取り組むつもりなら、全国数か所の温泉地に規模の大きな地熱発電所を計画する筈である。こっちに金を使う方が太陽電池の補助金より効果が大きい。国立公園内の産業開発や、温泉権の扱いなど法整備しなければ進めないのだから、小規模太陽電池でお茶を濁さずに取り組めばよい。地熱発電で温泉が取られても、発電所からの発電済みのお湯で温泉施設には使えるだろう。量が足りなければ電気で沸かせばよい。それでは温泉ではないという指摘はまったくもって正しいのであるが。

原発を推進したいと電力会社や役所の人が思うのであれば、原発以外のものを推し進めてそれがダメなことを周知すれば効果的である。逆に原発を廃止したい人は原発を進めるように誘導して問題を発生させればよい。問題発生が大事故になることを心配するだろうが、原発なんてものは停止したところで十年やそこらは動かしているのと同じ程度の危険性はある。中途半端な停止などすると管理予算の削減が起きて、もっと危険なことが起きないとも限らない。正しく止める。お金も掛ける。計画的に取り組む。どれが欠けても大きな危険がある。


原発嫌いは信仰の世界なのか。それなら非難してはいけない。思想良心の自由はある。

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