« 肉牛BSE検査 7月にも緩和の方針 | トップページ | ごま油値上げへ、輸入価格が急騰 »

2013年4月 4日 (木)

武器貿易条約、国連総会で成立

国連の条約として初めて武器の国際取引規制を定めた武器貿易条約が4月2日、国連総会で採択された。潘基文事務総長は世界の人々にとっての勝利と歓迎する談話を発表した。武器貿易条約は戦車、重火器、戦闘機、ミサイル、軍艦、小火器の取引を規制する。潘事務総長によれば、武器が闇市場に流れたり、海賊、テロリスト、犯罪集団などの手に渡ったりするのを食い止める狙いがある。採決ではイラン、シリア、北朝鮮が反対票を投じ、154対3の賛成多数で採択された。加盟50カ国が批准すれば発効する。潘事務総長は、これで世界の軍縮と不拡散の取り組みに弾みが付くとの談話を発表。米国のケリー国務長官は、正規の武器取引を行う国家の主権を守りながら、世界の安全保障が強化される」と評価した。一方、米上院での同条約承認に反対している全米ライフル協会(NRA)は、米国内で火器を売買したり保有したりする権利が制限あるいは全面否定されると反発している。(CNN)


近所でドンパチされては困るので規制されるのは結構な話だが、幸いなことに家の前を装甲車は走らないし、学校に行かずにライフルを抱えた小学生もいない。といことで、武器について考えてみる。

兵器は通常兵器と大量破壊兵器に分けられる。というより、兵器の中で大量破壊兵器が特別扱いされて、残りを通常兵器と呼ぶのが正しいようである。ということなので、大量破壊兵器の状態を整理する。
大量破壊兵器というのは、大規模な破壊、殺傷能力を持つ核・生物・化学兵器の総称である。
 核兵器   (Atomic, or Nuclear Weapon)
 生物兵器 (Biological Weapon)
 化学兵器 (Chemical Weapon)
の頭文字を取り、ABC兵器、または、NBC兵器という括られ方をする。これに、
 放射能兵器 (Radiological Weapon)
を加えてCBRN兵器 (NBCR兵器) とする言い方もある。順番に状況を確認する。情報は外務省ホームページより入手したものを用いている。

■ 核兵器不拡散条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons:NPT)
  条約の成立及び締約国
    ● 1968年7月1日に署名開放され、70年3月5日に発効
      我が国は1970年2月署名、1976年6月批准
    ● 締約国は190か国(2010年6月現在)。非締約国はインド、パキスタン、イスラエル。

■ 化学兵器禁止条約 (Chemical Weapons Convention: CWC)
  条約の成立及び締約国
    ● 1992年9月にいたり条約案が軍縮会議において採択、1993年1月13日にはパリで署名式が開催
      発効は1997年4月29日。我が国は1993年1月に署名、1995年9月に批准
    ● 締約国数は188カ国(2012年12月現在)。北朝鮮、イラク、イスラエル、シリア、エジプト等は未締結

■ 生物兵器禁止条約 (Biological Weapons Convention:BWC)
  条約の成立及び締約国
    ● 1971年の軍縮委員会で作成され,同年の第26回国連総会決議の採択
      1972年4月10日に署名開放され,1975年3月26日に発効
    ● 締約国数は165か国で,我が国は1972年4月10日(署名開放日)に署名,1982年6月8日に批准

上記の様に大量破壊兵器に関する条約は多くの国で批准されて一定の効果があると思う。大量破壊兵器がダメで、通常兵器が良いという解釈は正しくなくて、まず害の大きな大量破壊兵器を抑止する仕組みを作ったと考えるのが妥当なところだろう。大量破壊兵器もこぼれがあるし、引き続き取り組むよりないだろうが、通常兵器を野放図なままというのはどうかということになる。通常兵器に関する状況を確認した。外務省の通常兵器の軍縮及び過剰な蓄積禁止に関する我が国の取組にある項目としては下記の項目がある。

通常兵器を巡る状況
● 対人地雷問題
● クラスター弾に関する条約
● 特定通常兵器使用禁止制限条約 (CCW)
● 小型武器
● 武器貿易条約 (Arms Trade Treaty:ATT)

この中から一番下のATTが今回の話題である。国連総会(加盟193カ国)で4月2日可決された武器貿易条約(ATT)の採択での投票行動を抜粋する。
 賛成: 米国 (全部で154カ国)
 棄権: ロシア、中国、インド、中東諸国 (全部で23カ国)
 反対: イラン、北朝鮮、シリア (3カ国)
いろいろ事情があるようだ。米国は国内でいつも話題になる全米ライフル協会 (NRA) のCEOウエイン.ラピエールは、国際武器貿易条約に米国市民が自己防衛のため銃器を保持する権利を侵害する内容が含まれていた場合、米国議員の大半は反対する誓約をしていると表明した。国連によると、軍縮担当の国連事務局は、国内武器取引や加盟国で武器を携帯する権利を妨害し、武器の輸出を禁止し、正当な自己防衛の権利を侵害し、既に実施されている国家の武器規制基準を妨害することはないと述べている。米国で主張される自己防衛の権利が条約に影響する。この米国が全てであるなら仕方のない話であるのだが、共和党支持の保守層が中心であり、必ずしも全部ではないようである。米国人は自国民に皆殺しにされる可能性があっても、自己防衛の権利があると主張してくれれば分かり易い。しかし、扱い辛い国民になる。銃規制の話は別の話題なのでここまでにするが、「銃を持った悪人を止められるのは、銃を持った善人だけだ」として学校に武装警官を置くことをNRAの人がコメントしていたが、彼の国では善人と悪人は固定化していることになっているようだ。善人と悪人の差など微々たるものだとは想像だにしないのは、合理性に裏付けられた差別は区別として容認される国なのだろう。じつはこの合理性が恣意的解釈を許す言葉であるのだが。話を戻す。
ロシアは、条約が「非国家組織への武器供給を禁じていない」ことを棄権の理由の一つとしている。これは、ロシア国内のチェチェン独立派武装勢力の存在が念頭にあるのだろう。ここに独立させないように動いているのだから、どうせならここへの武器供給も締め付けたいということか。もっとも、ロシアは武器輸出国ではある。中国は「武器管理の条約は(多数決の)国連総会ではなく、参加国の合意で採択すべきだ」主張している。理解できないが、反対したいがそうもいかないという翻訳で良いのだろうか。中国語は難しい。インドや中東諸国は武器輸入大国だから賛成は出来かねる事情がある。反対の三国は、正しく反対する事情を有している国だということである。
アフリカや南西アジアの紛争地での死傷者の多くは、小型銃器によるものだと言われている。そうなのだろうと想像される。紛争地域の武器がかなり以前の国内紛争の影響を受けている例を聞くにつけ、条約が出来たから効果が上がるとはなかなかいかないのだろうが、少しでも効果が上がることを期待する。なお、この条約について、日本は英国などとともに、条約案の早期採択を訴える中核になったという。国内でこの仕事についてもう少し話題にしても良いように感じる。


条約関係は調べが多くて負担になる。自分の力量を認識して作業しよう。

« 肉牛BSE検査 7月にも緩和の方針 | トップページ | ごま油値上げへ、輸入価格が急騰 »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 肉牛BSE検査 7月にも緩和の方針 | トップページ | ごま油値上げへ、輸入価格が急騰 »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ