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2013年4月18日 (木)

TPP交渉:NZ・豪・カナダが条件 「例外なし」要求

環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に参加表明した日本に対し、米国以外の国々も交渉条件を示していることがわかった。農業国のニュージーランドやオーストラリア、カナダが、すべての品目を交渉の対象にする、高い自由化を実現するなどと求め、カナダは米国のように日本車にかける税金(関税)を残すことも主張している。 (朝日新聞:4/18)

TPPとはそういうものだが、ニュージーランドについて考えてみる。

外国の国について調べたいときは外務省の資料によることにしている。役所や国の都合は入るかもしれないが、そっちの都合の方は想像が付き易いから修正可能と信じる。数字で示す情報は最も正しいと考えて良いだろう。
基礎的な情報で、国土、人口、民族、議会と政府についてまとめる。

● 面積 27万534平方キロメートル(日本の約3/4)
● 人口 約440万人(2012年5月末、NZ統計局推計)
● 首都 ウェリントン(20万人、2011年末、NZ統計局推計)
● 民族 欧州系(67.6%)、マオリ系(14.6%)、太平洋島嶼国系(6.9%)、アジア系(9.2%)、その他(12%)(2006年国勢調査)
● 議会 一院制 (121名、任期3年:国民党59、労働党34、緑の党14、NZファースト党8、マオリ党3、ACT党1、統一未来党1、マナ党1)
● 政府 国民党政権(マオリ党、ACT党、統一未来党との連立パートナー関係)
2008年11月の総選挙で、キー党首率いる国民党が、クラーク首相(当時)率いる労働党を抑え議会第一党となり、9年振りに政権を奪回し、2011年11月の総選挙で、国民党がゴフ党首(当時)率いる野党労働党を抑え、政権を維持している。

二大政党が国民党(中道右派)と労働党(中道左派)である。労働党以外は中道右派に分類して良いようだ。緑の党は反核(労働党と同じ)、遺伝子組み換え食品に反対、反捕鯨、米国との自由貿易推進である。最後を除けば日本の社民党に似ているようだ。米国と自由貿易で遺伝子組み換え食品排除の両立は難しそうだが、人口の少ない国に大量の農産品を売ろうとはしないだろう。楽観的に見えるが極東の島国の国民に言われる筋合いはないことだろう。ファースト党は国民党から分裂してできた党で、移民流入反対や刑法の罰則強化を掲げている。小さな政府志向であるから右派の呼び方が合うかもしれない。マオリ党は先住民のマオリの権利を保護することを主張している。左右の分類とは別であるが、連立に加わっているから中道右派といってよいだろう。統一未来党は、中道的な統一ニュージーランド党とニュージーランド未来党が合併してできた党で、家族、常識、相互扶助、同情、誠実といった普遍的原理の重視を掲げる。中道右派と右派の間くらいの政党のようだ。ACT党とマナ党は疲れたので略すことにする。

日本の七掛けくらいの国土に、1/25以下の国民が暮らしている。イギリス連邦の加盟国である立憲君主制国家である。ニュージーランドはTPPに賛成しているように思ったが、米国の支配下に入るのを嫌っているようなニュアンスも感じられる。英連邦の国なので、微妙な感性が働くのだろうが外国人には想像が付かない。
続いて、外交と防衛について確認した。

■ 外交基本方針
米国、豪州を含むアジア太平洋地域との関係強化、対太平洋島嶼国支援の拡大、非核政策の堅持等が外交の基本政策となっている。また、国連を中心として、テロ対策や人道人権、軍縮・不拡散、気候変動等地球規模問題への対応も重要な外交政策としている。

■ .防衛力
(1) 予算 約29.0億NZドル(2012年-2013年度予算)
(2) 兵役 志願制
(3) 兵力 正規8,617名(陸軍4,425名、海軍1,866名、空軍2,326名) (2012年4月現在、NZ国防省)

1NZドル=61.92円=0.7762米ドル(2012年5月平均、NZ準備銀行)として計算すると、防衛予算は約1,800億円に相当する。日本の防衛費は約4兆7,600億円だから、人口割にすれば同じくらいといえる。日本の自衛隊の隊員数は、陸海空の順に、140,251人、42,431人、43,652人で人口割だと陸自が多いが海空は同じくらいである。ニュージーランドは周囲に国が少なく、大国は豪州のみである。この国の周囲は英連邦や英国と歴史的に近い関係の国が多いので仮想敵国を設定するような事情を持たない環境にあるようだ。そう思うと軍人の数が多いことになるが、兵力には最小単位があるだろうから、これより減らすと意味が無いレベルがあってこの位なのかもしれない。遠い国の防衛費に関心を向けるより、他にいくらも調べることがある。経済状況に移る。

■ GDP         1,619億米ドル(2011年末 IMF World Economic Outlook April 2012)
  一人当たりGDP 3万6,648米ドル(2011年末 IMF World Economic Outlook April 2012)

               2005/     2006/     2007/      2008/     2009/      2010/
               2006年度  2007年度   2008年度   2009年度   2010年度   2011年度
実質GDP成長率(%)    2.4       1.7        2.2       -3.4      1.3      1.2 (3月末年度、NZ財務省)
消費者物価上昇率(%)  3.3       2.5       3.4        3.0       2.0     4.5 (3月末年度、NZ財務省)
失業率(%)          4.0       3.9       3.9        5.1       6.1      6.6 (各年1-3月期の数値、NZ財務省)
財政収支(億NZドル)  71       59        56         -39      -63    -184 (6月末年度、NZ財務省)
経常収支(億NZドル)   -140      -135      -146      -148      -36     -72 (3月末年度、NZ財務省)

■ 総貿易額 総額 944億NZドル   (1) 豪州(19.3%) (2) 中国(14.1%) (3) 米国(9.3%)
   (1) NZからの輸出 477 億NZドル
   (2) NZへの輸入  466 億NZドル (2011年、NZ統計局)

■ 主要貿易品目
   (1)NZからの輸出    酪農製品(24.9%)、食肉(11.6%)、木材(6.7%)
   (2)NZへの輸入     石油・鉱物燃料(17.2%)、機械類(12.1.%)、車両(9.4%)

■ 主要貿易相手国
   総額 豪州(19.3%)、中国(14.1%)、米国(9.3%)、日本(6.7%)
     (1) NZからの輸出  豪州(22.8%)、中国(12.3%)、米国(8.4%)、日本(7.2%)
     (2) NZへの輸入   中国(16.0%)、豪州(15.8%)、米国(10.3%)、日本(6.3%)  (2011年、NZ統計局)

日本のGDPは5兆9,640億米ドルで差が大きい。比較しても意味がなさそうなので、1人当たりのGDPは日本が 4万6,736米ドル(2012年) で世界で13位、ニュージーランドは同じで統計3万8,222米ドルで世界24位である。失業率が高いのが気になる。インフレ率は1.0%で、法人税は28%、報道の自由度は8位(179国)と高い。
JETROからニュージーランドはの品目別の輸出統計を調べた結果を下に示す。単位は100万NZドル、% である。

■ ニュージーランドの品目別輸出統計 単位:100万NZドル、% (出所:JETRO)
             2010年   2011年
             金額     金額    構成比
酪農製品等     10,415.00   12,021.20  25.2
肉類          5,089.40   5,529.40  11.6
木材・同製品     2,948.90  3,197.30   6.7
鉱物性燃料      2,067.60   2,523.40   5.3
機械・機器      1,722.30   1,823.30   3.8
特別品(政府関係)  1,635.40   1,775.90   3.7
果物・ナッツ類    1,471.00   1,592.60    3.3
魚介類          1,307.10   1,360.80   2.9
飲料           1,312.40   1,360.30   2.9
アルミニウム      1,212.70   1,242.00   2.6
合計          43,532.30  47,701.80   100

[通関ベース / 出所:ニュージーランド統計局]

農林水産業と鉱物資源が大半である。既に長いので、TPP交渉には触れない。次回もニュージーランドの話を続けることとする。多国間の交渉に有利不利は付き物なのだが、自国の都合だけ考えて交渉相手の事情を理解しようとしないのは間違っている。交渉は相手を理解することから始めなければまとまらない。そうしないのは交渉している人か、それを報道している人が幼いからだろう。もしかしたら両方かも知れない。関税率を出して、輸出したい品目だけ並べて分かった気になってはいけない。交渉相手が米国だけだと思っているのは驕りである。多国間だからもっと気にしなければならないことが沢山ある。それが無理なら多国間交渉は諦めて、一つの国ごとに交渉を進めれば良い。手間が掛っても確実である。


と、分かったようなことを書くのは、数字が理解しきれていない証拠でもある。

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