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2013年4月15日 (月)

シャープ、パイオニア株売却検討

経営再建中のシャープが、筆頭株主として保有するパイオニア株の売却を検討していることが明らかになった。保有する全株の3,000万株(発行済み株式の約9.2%)を売却予定で、直近の株価では63億円程度に相当する。一括で譲渡する相手を探している。(朝日新聞)

経営再建には資金が必要である。シャープは再建できても、パイオニアはそうはいかないかもしれない。パイオニアという会社について考えてみる。

パイオニアは、レーザーディスク(LD)装置を製造販売していた。LDは30cmのディスクに映像を記録する媒体である。DVDと似ているように見えるが、LDはアナログ記録であるので別物で、時代が同じであることを考慮すればVHSビデオに近いと思われる。記録を再生するピックアップが非接触なので劣化に対し有利と考えられる (VHSなどの磁気テープは接触)。この製品も2000年頃には市場から撤退していった。記録できないことと、デジタル記録のDVDが普及してしまえば利便性の差は明らかである。
プラズマディスプレイを利用したテレビも製造していた。NECから事業を買収(2004年)したりして事業の拡大を計ったが、2008年にはパネルの自社製造から撤退 (パナソニックからの購入に切り替える) している。プラズマテレビの敗因は、液晶テレビが大型化を早く実現し、しかも低価格や技術向上を達成したことによると言われる。
止めた事業を考えても意味がない。良く見かけるパイオニアブランドはカーナビゲーションシステム (カーナビ) だと思う。他の製品は分からない。パイオニアの決算資料からセグメント別の売上推移を調べた。パイオニアの事業は、カーエレクトロニクスとホームエレクトロニクスに分けられ、これ以外の売上は小さい。ホームエレクトロニクスには、DVD関連商品、ブルーレイ、テレビ、パソコンなどがあったが、DVD/ブルーレイドライブ事業を除いて撤退している。この他にオーディオシステムがある。割合はDVD/ブルーレイ関連がこのセグメントの約半分で、ホームAVと称される製品群で1/4となる。
カーエレクトロニクスは、カーナビとカーオーディオ製品となる。2003年以降の売上と連結営業利益の推移を下に示す。会計年度は3月31日を期末としている。

■ パイオニア連結売上、セグメント売上推移 (単位:百万円)
 年   カーエレ  ホームエレ   全体   営業利益
2003   281,090   277,968   677,259   30,765
2004   292,187   281,482   700,885   43,719
2005   303,410   322,771   711,042     691
2006   330,522   354,690   754,964   -16,409
2007   357,809   361,510   797,102   12,487
2008   373,883   329,530   774,477   10,907
2009   291,704   209,257   558,837   -54,529
2010   249,331   133,329   438,998   -17,514
2011   254,129   157,565   457,545    15,817
2012   270,785   123,057   436,753    12,514

2007年をピークに売上を減らしている。減らしている要素はどちらのセグメントもホームエレクトロニクスで顕著で、2012年は2007年の1/3水準まで下がっている。プラズマテレビのパネル製造からの撤退(2008)、プラズマテレビからの撤退(2009)とテレビ関連の売り上げ減少が大きく影響していると思われる。2010年5月に発表された中期事業計画が二つのセグメントについてあったので計画と実績をまとめた。2010年は実績であり、2013年はまだ発表されていない。比較を下に示す。

■ 中期事業計画(2010/5/31) [単位:億円]
カー     計画(2010)      実績
     売上   営業利益  売上  営業利益
2010   2,493   -73   2,493   -73
2011   2,770   140   2,541   140
2012   3,300   185   2,708   103
2013   3,540   200   2,276    87 (第3四半期まで)

ホーム    計画(2010)      実績
     売上   営業利益  売上  営業利益
2010   1,355   -92   1,333   -91
2011   1,540    0    1,576    25
2012   1,850    40    1,231    36
2013   2,120    55     690   -47 (第3四半期まで)

計画は外れるものであるが、計画を立案した年度はおおよそ達成しているが、翌年以降は乖離が大きい。自動車の販売が伸びない環境ではカーナビの販売を伸ばすのは難しいだろうが、そう言ってしまえばお仕舞である。ホームエレクトロニクスは光ディスクの市場が縮小傾向にある中で、光ディスクが伸びる計画になっているので無理があった。こちらの分野は抜本的な見直しを必要としているようである。為替の影響もあると思い、海外売上について調べた。結果を下に示す。

■ パイオニア連結カーエレクトロニクス売上地域 (単位:百万円)
       国内     海外
2003   105,736   175,354
2004   121,708   170,479
2005   120,260   183,150
2006   117,560   212,962
2007   126,278   231,531
2008   126,362   247,521
2009   113,985   177,719
2010   104,350   144,981
2011   107,712   146,417
2012   136,438   134,347

      
      
■ パイオニア連結ホームエレクトロニクス売上地域 (単位:百万円)
       国内    海外
2003   86,766   191,202
2004   78,798   202,684
2005   90,838   231,933
2006   81,998   272,692
2007   58,856   302,654
2008   46,285   283,245
2009   31,010   178,247
2010   40,096    93,233
2011   83,249    74,316
2012   58,142    64,915

過去には海外売上が大きかったが、近年は国内と海外の売上は同等レベルになっている。地域別では、北米、欧州、その他に分けているが、北米とその他が同じレベルで、欧州がその2/3くらいのイメージになっている。為替の影響で第4四半期は若干の改善が期待される。

カーナビに新たな機能を追加したプローブ情報システムを実現しようとしている。売上に貢献できる時期は未定としているが、最近のスマートフォンの情報サービスの充実からすると、スマートフォンのアプリがカーナビと競合する可能性もある。オーディオと一体化した部分に価値があると考えているように見えるが、それで片付くかどうかは見通せない。世界のカーナビ市場は台数ベースで10百万台水準で、PND (ポータブル・ナビゲーション・デバイス) は 38百万台水準と思われる。PNDまたはスマートフォンの機能強化があると高価格カーナビの市場は喰われるのは必然である。短期間で商品化しなければならない製品では、資金力がものをいう部分がどうしてもある。そう考えるとシャープが株式を手放すのは関係ないとは考えにくく、カーナビ関係で提携している三菱電機との協力が重要になるのかもしれない。


企業の情報開示は助かるが、情報があれば調べなければならず負担が増える。

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