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2013年4月 7日 (日)

労基法違反:首都圏大学非常勤講師組合、早稲田大学を刑事告発へ

早稲田大学が新たに設けた非常勤講師の就業規則を巡り、制定の手続きに不正行為があった可能性があるとして、首都圏大学非常勤講師組合は同大を近く労働基準法違反の疑いで刑事告発する。非正規労働者の契約は5年を超えて働いた場合、期間の定めのない雇用に転換できるなどとした改正労働契約法が4月1日から施行されたばかり。この法改正で、大学現場では非常勤の契約に新たに上限を設ける動きが出ているという。 (毎日新聞より抜粋)


大学で労働法違反というのはお粗末な話だと思うが、背景に何があるのか考える。

大学研究者の雇用に関する問題は多く発生していて、検索すると多くの事案がヒットする。人文系や理工系の単科大学で発生するなら無知を笑うのだが、社会科学系学部を含む総合大学であると確認犯かと悪意があるのかと別のことに注目することになる。
大学での雇用については解雇が非常に多いようである。不当解雇されたと話題になるのは、非常勤講師などの身分保障が弱い立場の人達で、平均的な年齢は四十代半ばで年収は300万円を超える程度ということである。平均的な話として考えれば、誇れる学歴を有して優秀な成績であったことだろうから、民間企業に勤めていれば二倍以上の賃金を獲得しているだろうことは蓋然性が高いだろう。非常勤講師の多く (九割超) は、国民健康保険と国民年金保険の組み合わせになっているようだから、実質的な給与の差はこれ以上に大きい。なぜこのような不安定な職に就くのかというと、好んで就いた訳ではなく、必要性があるからのようである。
大学の正式なポストになるには、研究業績と教育業績が求められる。非常勤講師の実績はこの教育実績にカウントされるようである。よって、経験が足らない研究者は非常勤講師を経験して正式なポストを目指すことになる。雇用される側には不都合が多い職に思えるが、大学側は安い賃金で雇えるメリットがある一方で、正式なポストを得たらいなくなるから困ったこともある。まあ、その程度の扱いなら大学も我慢しなければならない。さりとて、大学はすべて正式な教授ばかりにしてしまっては費用負担が大きくなるし、大学に求められない知識や経験を求めて外部の講師を探すところもあるからそうもいかない事情を抱える。書いていて変な気もするが先に進める。
大学で正式なポストを得ると、給与の待遇が良くなるほかに、研究関係の予算が付いて、非常勤時代は学会への参加は自分で支払わねばならなかったものが、大学の研究費として予算化することが可能になる。つまり、教育実績を得る過程で研究実績を犠牲にすることを余儀なくされる。大学の類似した、というか講義をするということについては同等である二つの職種にこれだけ大きな差がある。となると正式な職に就きたいので熱心に講師を行う研究者は、面倒なことになる前に雇い止めをする態度を大学がすれば不満がでるのは必然といえる。任期のある職種が安く、身分保障された職種が高ければ公正を欠く。人気がある方が高いならバランスがとれるが、そこまで正式なポストに就いている人が恵まれるなら、高度な仕事をしなければならない。誰もやったことがない研究や、巧みに学生の興味をひく講義を沢山担当するとか。これとて、だれがチェックするのかという問題を抱えるのであるが。
今回の記事の件で、大学は労働組合側に上限のなかった雇用契約期間を通算5年に変更することを提示している。労働基準法によれば新たに就業規則を制定する場合、事業主は事業所ごとに労働者の過半数代表者の意見を聞く必要があるが、組合側が全く聞いていないと反発した。そこで、大学側は2月4日には過半数代表者を選ぶ手続きを始めたとする文書や同月14日の公示などを示し、手続きは正当に実施したと説明したという。組合側は、同14日は入試期間で非常勤講師は公示場所に立ち入ることができず、その後も手続き文書を見たことはなかったと主張している。
大学の対応は確信犯のようである。雇い止めをする動きはいろいろな大学であるようだ。大学の競争の激化で、授業料を上げると人気が下がるということもあり、費用抑制の方に力を入れているようだ。大学の講義の約半分を非常勤の講師が行っている状況があり、これを正規の研究者の職に就かせると費用負担が大きい。非常勤は非常勤のままで不満を言わずに居て欲しいということである。そんなのは嫌で、正式なポストを寄越せと主張するのはごもっともだ。

大学の研究者では最先端の講義が出来ないというのはおかしな話である。外部に頼む必要はあるだろうが、半分外注している状況を疑問に持たないのが不思議である。いろいろな要素がからんでいて複雑であるが、問題解決には大学の質を見直すよりないだろう。以前から指摘してきたが、以下に過剰書きする。
 ・ 資格を取ることを宣伝するのは大学ではなく専門学校である。
 ・ 学生確保の為に、テレビタレント教授を安易に雇うな。
 ・ 翻訳不能な学部名をつくるな。
大学が多すぎるのが問題なのではなく、質の低い大学が存在するのが問題なのである。教育は直接的に就職して役に立つものではないが、役に立つものは直ぐに要らなくなるものである。役に立たないが普遍的な真理を学ぶことが教養であり、これがないと役に立たない局面が就職してまれにある。まれであってもそれを掴めなければ失敗し、敗者復活戦が用意されていないのが世の中である。普遍的な真理を学ぶのに、世に媚びた名称は必要ないだろう。学生を集める為に、テレビに出ている以外に特技が無い教授を並べるのは今日の刹那的な仕事に過ぎない。資格獲得を標榜しタレントを集めて楽しいキャンバスライフを全面に出した大学紹介パンフレットをばらまき、カタカナ名称の不思議学部に沢山の学生を集める大学はもしかしたら新しい価値を創造するのかもしれない。そんなことはないだろうと思うが、未来を予測する高い能力があるという自惚れは持たないから、否定しきれないのである。
一人が経済学部金融学科で、もう一人が文学部哲学科で、二人が同じ程度の能力を有すると仮定して、国の金融政策に最適な者を選べと言われたら哲学科を選ぶだろう。これから発生することは必ず未知の事象なのだから、過去を知っているだけでは十分ではない。まあ、二人が同じ程度の仮定に無理があるのだが。


刑法犯として訴えるのが大学関係者らしい。恨みつらみは十分なのだろう。
 

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