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2013年3月28日 (木)

イオン、ダイエーにTOB 子会社化を発表

イオンは3月27日、ダイエーに対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、子会社にすると発表した。ダイエー株を29.34%保有する筆頭株主の丸紅が応じ 24.34%分を売却する。イオンはダイエー株の保有比率(議決権ベース)を19.89%から44%以上に引き上げる計画であるという。

流通業界も大変な様子である。整理して考えてみる。

イオンは、TOBには上限は設けず、一般株主からの応募も含めて発行済み株式の5割超の取得を目指すという。そして、ダイエーの上場は維持する。上場廃止にすると全部の株式を買わなければいけない状況もあるだろうから、時価総額を400億円として80%だから320億円は額が大きいので上場は維持すると判断したのだろう。ちなみに、イオンの時価総額は9,700億円くらいである。イオンの売上は連結で5兆6,500億円(予想)、ダイエーは8,700億円(12年2月期)であり、単純計算で6兆5,000億円規模となる。

ダイエーの筆頭株主は丸紅であった。経営不安に揺れたダイエーを産業再生機構から698億円で2006年に買収したのであるが、ダイエーの業績は改善されないままであった。二番目の株式保有者が資本業務提携先であるイオンになる。ダイエーはイオンとの提携以前にあったプライベートブランド(PB)のセービングを、提携後はトップバリューに置き換える動きをしている。つまり、2007年からダイエーでもトップバリューがたくさん扱われている。イオンは丸紅から株式を買い取らなくても業務提携に従ってダイエーの販売網を利用することは可能であったと思われる。少々疑問を持って先に進む。

今回のTOBの買い付け価格はダイエーの直近三カ月の平均株価に21.62%のプレミアムをつけた1株270円とするという。もしやと思いダイエー(8263)の3月28日の終値は342円であった。この価格だとTOB価格は二割引きとなる。イオンもビックリである。
丸紅がこれに応じるとなると、株主にお叱りを受けそうなのに、記事では丸紅は応じるようだ。2006年に経営不安にあったダイエーを産業再生機構から698億円で買収したものの、これまで5期連続赤字(見込み)続きのダイエーである。持っていても仕方ない株なら処分するのが良いという判断だろうが、買ったときの手前どうだろう。丸紅の朝田社長が財務担当役員時代に買収に関わったというから、売り難い事情はあるだろう。しかし、他の役員が社長になってやれば、反朝田派だと言われかねないからここで処理してくれないと憂いが残るということも事実だろう。売値は約130億円ということだから、たたき売りではある。この位安売りすれば、二割引きより棚ずれ品処分が適当になる。
丸紅以外の株主は市場で売った方が高いのだからTOBに応じることはないだろう。では丸紅は安く売って本当に株主に怒られないか心配になる。固い表現をつかうなら、市場価格以下での株式売買については、売主側取締役の善管注意義務に反するのではないかという疑問である。売主側取締役(丸紅)には、保有株式を含む会社資産について可能な限り高く売却する義務があるからである。市場価格を下回る買付価格の公開買付けに応募することは許されるのかについて、東京地裁(東京地判平18・4・13判タ1226)の判決がある。ここで、市場価格を下回る買付価格の公開買付けに応募するか否かは経営判断の問題であるとされた。買付け価格は合理的である必要があるが、何をもって買付け価格が合理的かを判断するか、単に値段が高い安いのみでなく、要請元の企業やそのグループとの円滑な取引関係の維持や発展の要否など多様な諸要素も勘案する必要があるとしている。今回のケースは結果的にディスカウントTOBになったのだが、過去の株価に根拠を求めて合理性はある。丸紅はイオングループと今後も取引を継続するから、総合的な商売の観点から判断したと言えそうである。まあ、それでも株主総会のもめる案件にはなりそうではあるが。

丸紅は、米国の穀物商社ガビロンを買収して、食品関係の事業を重視していく考えのようである。丸紅は他の総合商社に比べ、資源関係の利益割合が少ないことで知られる。穀物価格の高騰は今後も継続すると考えられるから、こうした事業に資源を集中して、スーパー経営からは手を引く考えのようである。伊藤忠が吉野家株を売却した2011年のことは、丸紅幹部の意識の端にあることと思うが、不良資産は速やかに処理するのが経営の鉄則ではある。イオンの方はと言うと、安く買えるなら手に入れておこうというところではないだろうか。イオンは拡張主義的な傾向が見える。スーパーの経営環境が見通しが悪いなかでも、圧倒的な量による市場支配は何か大きなリターンをもたらしてくれるのかもしれない。


スーパーも商社も知らない世界で見当が付かない。

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