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2013年3月27日 (水)

一票の格差:高裁のまとめ

一票の格差について高裁の判決が出揃った。結果のまとめとともに考えてみる。

16裁判があり、違憲状態が2、違憲が12、違憲+選挙無効が2という結果となった。判決日順に、高裁名と裁判官、判決結果と裁判で争われた選挙区と格差倍率を下に示す。

判決日       裁判所 (裁判長)              違憲状態 違憲  無効 選挙区(格差)
3月06日   東京高裁(難波孝一裁判長:第31期)          ―     ○   ×   東京1区(2.43)
3月07日   札幌高裁(橋本昌純裁判長:第30期)          ―     ○   ×   北海道3区(2.2)
3月14日   仙台高裁(宮岡章裁判長:第27期)            ―     ○   ×   仙台2区(2.1)
3月14日   名古屋高裁(加藤幸雄裁判長:第29期)        ○     ×   ×   愛知1,8,9,10区(2.07)
3月18日   福岡高裁(西謙二裁判長:第30期)           ○     ×   ×   福岡1,2区(2.18)
3月18日   名古屋高裁金沢支部(市川正巳裁判長)     ―     ○   ×   福井3区(1.04)
3月22日   高松高裁(小野洋一裁判長)                ―     ○   ×   香川1区(1.49)
3月25日   広島高裁(筏津順子裁判長:第30期)         ―     ○   ○   広島1,2区(2.42)
3月26日   広島高裁松江支部(塚本伊平裁判長:第30期) ―     ○   ×   島根1区(1.36)
3月26日   東京高裁(奥田隆文裁判長:第28期)          ―     ○   ×   東京2,5,6,8,9,18区,神奈川15区
3月26日   広島高裁岡山支部(片野悟好裁判長:第30期) ―     ○   ○   岡山2区(1.41)
3月26日   大阪高裁(小松一雄裁判長:第27期)          ―     ○   ×   大阪4区(2.33)
3月26日   広島高裁(小林正明裁判長:第26期)          ―     ○   ×   広島1,2,3区(1.92)
3月26日   福岡高裁宮崎支部(横山秀憲裁判長)        ―     ○   ×   宮崎1区(1.70)
3月26日   福岡高裁那覇支部(今泉秀和裁判長:第32期) ―     ○   ×   沖縄1区(1.27)
3月27日   仙台高裁秋田支部(久我泰博裁判長:第33期) ―     ○   ×   秋田1区(1.31)

裁判官の後の期は、司法研修所入所年に従う。第60期が2006年なので計算すれば年数は分かる。年齢と過去の判決を調べようと思ったがウェブ上では確認できなかった。判例タイムズとかジュリストとかで調べればいろいろ分かるのだろうが、素人には負担が大きいので断念した。将来、何かの参考になるかもしれないので記録のみ残した。
訴訟は民事訴訟として扱われているようで、被告は該当する都道府県の選挙管理委員会であり、権利を侵害された具体的な内容を示す必要があるから選挙区の特定が必要になる。しかし、当該選挙区と最も重い高知3区の比で1.4倍に過ぎない岡山2区が選挙無効になっていることからすると、具体的な選挙区といいつつ高知3区と千葉4区との比較が頭の中にはあるようだ。国政選挙の区割りは単独で決定できるものではなく、相互に影響するのだから当然だ。しかし、それなら前記の2区の格差が大きいだけで十分な気がするが、それでは具体的な権利侵害が示せないから具合が悪いことがあるのだろうと想像する。結局のところ今回の裁判ではあまり関係なかったのであるが。報道の扱いとしては小さいのだが、同じ選挙で比例区を問題視した訴訟の判決が出ている。3月21日に東京高裁(設楽隆一裁判長)は、衆院選比例代表ブロックの議席数は人口に比例して配分されておらず違憲などとして、東京、南関東の両ブロックについて選挙無効を求めた訴訟について、合憲と判断している。衆院選比例区の最大格差は1.168倍であった。つまり比例区の選挙は問題があるとされていない。

一票の格差は、どこまでが適正なのかを考える。有権者数が最小の小選挙区に対する最大の小選挙区の比を考えてみる。
  [1]  1 : 1    ->  1.00倍
  [2]  4 : 5  ->  1.25倍
  [3]  3 : 4  ->  1.33倍
  [4]  2 : 3  ->  1.50倍
  [5]  1 : 2  ->  2.00倍
  [6]  1 : 3  ->  3.00倍
2.0以上を問題なしとする感性は理解の外である。こっちの二人とあっちの一人が一緒は問題である。法律とか判例とか言う以前の"市民の良心"に従った考えである。国会議員の良心とは違うかもしれない。しかし、議員であることは選ばれた結果に過ぎず、次の選挙で落選すれば一般の変わり者の市民になることに注意しておいた方が良いだろう。こっちの三人とあっちの二人も許容したくない。三人対四人くらいなら許さないといけないかなと感じる。参考に、前回の衆議院選挙の都道府県別の投票率で、最高は65.74%(島根県)で、最低は53.89%(高知県)であり、この比は1.22になる。1.2くらいは地域差があるから許容しなければならないだろうと判断する。まとめると、好ましくは1.33倍以内にするのが良いが度々の選挙区変更が負担であるなら許容されると考える。一方、1.5倍を超えるのは平等を考えたときに大きな問題があるので許容できない。1.5倍を超える選挙を二回繰り返せば選挙は無効としてよいと考える。無効が規則に明記されていれば事前に予見することが可能であり混乱は最小限に留まる。仕組みが出来ないのは理由にならず、仕組みを作るのが立法の責任である。政党間の綱引きで決定されないのなら、小選挙区議員は失職して、有効と認められた比例区選出議員のみで議会を構成するよりほかにない。
まあ、こんな極端な意見を最高裁が出すことはないだろう。しかし、違憲とする判決には高い蓋然性があると言えるのが、各高裁の判決であった。

高裁の結果に差があることから、最高裁で争われることになるだろうと予想される。下級審の多数は、小選挙区を違憲と判断しているから、上級審で違憲と判断される可能性は高い。訴訟活動をしている弁護士は、違憲であるなら損害賠償訴訟を起こすと言っている。過去の事例を参考に1人5,000円の損害賠償額 (妥当なのだろう) で有権者1億人の20%が原告となれば総額1,000億円となり、被告の衆参両議院の議員数で割れば1人1億円程度の訴訟となる。弁護士は2,000万人の署名を集めなければならないが、5,000円のお小遣いなら署名する人は多くいるだろう。
政治家は無効判決が出たことに対し、司法が口出すなの態度の議員もあるようだ。違憲であっても、無効であっても、法律を作るところは他にないから、そのままにして置いても誰も文句は言えないという考えなのかもしれない。それだと、日本は政治クーデターによる既得権議員が統治する国家になってしまう。選挙で勝つことに苦心惨憺している議員は、勉強だけして法律家になったお利口さんに何が分かると言う気持ちなのだろうが、法律家の代表の裁判官は、うす汚れた低俗な国民の代表としか議員を見ていないのかもしれない。どっちの心情も理解するとしても、本音をぶつけ合っても市民生活は成立しない。法律なんてものは円滑な市民生活の実現の為の道具に過ぎないと割り切れば、道具を作る立法も、道具を使う司法もその役割を果たす以上の存在ではない。与えられた仕事をすべし。そこに尽きるようである。


競馬の賭け方を実績で計算していたら、まとまらず一日スキップした。バカバカしいことに時間を掛けるのは、賭け事にのめり込むのと一緒か。いや博徒は儲かると信じているか。

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