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2013年3月 8日 (金)

房総半島を横断する運河

黒川紀章の都知事選の公約を見つけた。外房と東京湾をつなぐ房総運河も計画するもので、東京湾内に人工新島を埋め立てて住宅用地と緑地を増やすのと、東京湾の浄化とが目的であったようだ。人工島はともかくとして、運河について考えてみる。


東京湾から外房に運河をつくるとなると、房総半島の山のない所で、距離を短く取りたいと考える。人工島は考えていないから、埋め立て用の土を入手する訳ではない。房総半島を横切る運河のコースとしては、千葉港から大網白里市に抜ける第1ルート、姉ヶ崎から茂原の第2ルート、君津から鴨川の第3ルートが考えられる。

 ルート      ルート          距離   最高高さ
  第1   八幡宿から大網白里   30km   90m  (土気トンネル辺り)
  第2   姉ヶ崎から茂原     35km  100m  (茂原市上太田辺り)
  第3   君津から鴨川      40km   250m  (君津市豊英辺り)

工費を考えて現実性を議論するとなると難しいとなるから、費用は気にしないでどのような問題があるかと考えて、その次にどんな効果があるかの順に考えることとする。
まず、黒川紀章の考えを整理する。黒川は、東京湾の水質改善を効果に挙げていた。水質改善は有害物質の濃度だけが問題で、適性濃度なら無害ないしはメリットがあるものであれば、拡散する(薄める)ことで適性濃度になり改善が実現される。例としては富栄養化がある。しかし、どこにあっても有害な物質であれば、広域に有害物質が拡散するので別の問題が生じる。重金属の汚染などはこちらになる。薄めてしまえば良いというのは、古き良き時代の排出処理の手法である。東京湾であれば、汚染が歴史を背負っているから、両方の要素があるだろうと思われる。さて、黒川の案では二系統にしていたようなので上りと下りに分けて、東京湾に入れる水路と出す水路を専用にするということのようだ。強制的に海水を流すことを行って、内海(東京湾)と外海(太平洋)との水を入れ替えようとするものである。きれいな太平洋には迷惑な話だ。これなら運河より、海水入れ替え用の水路の敷設の方が良さそうだ。トンネル状のものを地中に埋めてしまえば地上も利用できる。ただし、水の入れ替え意外の用途には使えない。参考の為に有名な運河の深さと幅と長さを示す。スエズ運河は深さ24m、幅205m、距離164kmで、キール運河は、深さ11m、幅102m、距離98kmである。閘門運河であるパナマ運河は、深さ12.5m、最小幅91m、距離80kmである。黒川の提案は水の入れ替えを目的にしていてはいるものの、優先度としては東京湾に人工新島を造る埋立用の土砂を運河に求めることが重要としている。よって、機能としては運河であることは必須ではないようだ。環境対策なので、東京湾をきれいにして、緑地を増やすことが大切なのである。

課題を抽出する為に、運河が出来た場合のメリットとデメリットを考えてみる。太平洋と東京湾を結ぶ運河があると、東京湾の出入りで混雑する浦賀水道をバイパスすることが期待される。しかし、スエズ運河のような水路を房総半島に設けると、房総半島の先は島になってしまう。運河に船を通すとすると、東京湾であるから大型船を通すことを考えたい。船の高さ制限はスエズ運河で水面からの高さで68mとなっている。水面なら70m上に架かる橋か、運河の下を通るトンネルかで両側が接続することになる。両側を行き来するのは現実には困難だろう。デメリットはすぐに見つかるがメリットが説明し難い。百万のデメリットより、たった一つのメリットを探すのが重要である。運河を石油やLNGの運搬船用にしてしまうと考えたらどうか。船で混んでいて入るのに時間が掛る(事故防止の目的)浦賀沖を、大きく遅い石油運搬船が通らないことは渋滞緩和に役立つ。これをメリットとする。
前の第1ルートでは、分離する領域が千葉県の市街地に近いこと、東京湾の奥まったところに接続することに問題がある。メリットは運河の長さが短いことと、山が土気トンネル付近のみ限定されていることがある。第3ルートは距離も長く、全体として山が高い。東京湾に接続する場所も、外側過ぎて混雑解消効果も限定的である。ここに造るのなら、神奈川県の逗子と田浦(横須賀)を結ぶ方が短く効果も大きそうである。そうなると第2ルートとなる。山の高さ、長さとも第1ルートと第3ルートの中間で、接続する東京湾岸には石油関係の会社が多くある。太平洋側の茂原市は天然ガスの生産量が日本一の場所だから、太平洋側に港とLNGの基地を設置してガスパイプラインを房総半島横断させればよい。東京湾をまたぐガス供給ラインは既にあるから、それに接続すれば東京湾内に大きく依存したLNG供給を変えることができる。
産業の為の捨石のように扱われるのは房総半島に暮らす人には受け入れ難いところだろう。運河は護岸しなければんらないし、石油を運ぶから周囲に影響が及ばないような工夫が必要だろう。運河の脇には鉄道を引き、東京湾アクアラインと並行する鉄道を作る。路線としては羽田経由で品川まで乗り入れれば、多くの路線に繋がり便利だろう。房総側の終点を勝浦や鴨川まで延ばせば、伊豆・箱根に行っていた観光客を東房総に引き寄せることができる。千葉県の利害が対立してまとまらないなら、房総半島の南側はいっそのこと神奈川県に編入してしまえば良い。電車もリニアモータカーの専用線を作って、羽田―袖ヶ浦―茂原―いずみ―勝浦-鴨川(全部止まると速くないから、適度に通過する)の120kmを20分で走ったら注目を集めるだろう。
こんなコンクリートを作っても役に立たないという指摘はもっともな話であるが、愚かな行為をすることを経済発展と呼ぶのである。東京湾に東京電力でない火力発電所を作ることで有事の際の電力供給を実現すると考えている人がいるようだが、狭い東京湾に集中しては遠くの原発停止のリスクとは別のリスクに対応できない。都市デザインでは、現在の都知事より黒川紀章に分があるようである。黒川紀章はもっと別の考えだろうけれども。
潮の満ち引きによる影響を考えると、運河と湾の間にゲートを設ける必要があるだろう。護岸上のオープンにしておくのは問題がありそうだ。黒川の水の入れ替え効果は、高低差がほとんどないところで期待するのは難しい。流れがゆるやかで汚れた水が入ると運河で腐りそうである。管理された流れは作る必要が出てくるかもしれない。津波対策も考えないといけない。いろいろ考えなければならないことは尽きないが、ここまでにする。


茂原(実際には長生村などの海側)にLNG基地を造るのは検討の価値があるかもしれない。海水浴場の問題のほかに、海の深さが足りないかもしれないが。

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