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2013年3月 4日 (月)

ミラージュの販売が大苦戦

2012年8月に三菱自動車の新型コンパクトカー、ミラージュが発売された。2002年から10年間に渡って長く販売されたコルトの後継車として、三菱社内でもその販売が期待されていた。発売時に月間目標販売台数が3,750台に設定されたが、目標に届かず苦戦している。

ミラージュはタイで生産されることが話題になったが、どこに問題があるのか考えてみる。

現行ミラージュは2012年にコルトに替って新モデルとして発表されている。その前は、2002年のコルトと入れ替わって消滅したモデル名であり、コルトとミラージュの間を行ったり来たりしている。三菱自動車の混乱の歴史とも思える。小型車の国内での販売状況を確認することから始める。比較対象は、ヴィッツ(トヨタ)、フィット(ホンダ)、マーチ(日産)、デミオ(マツダ)、スイフト、スプラッシュ(スズキ)というところだろう。各モデルの排気量と概算価格、現行品の販売開始年月を示す。

■モデルと排気量、価格
  モデル名   排気量     価格帯 [万円]       現行品開始年月
  ミラージュ    1L       99-128  (タイ生産)     2012.08
  ヴィッツ   1L/1.3L/1.5L  107-180             2010.12
  フィット    1.3L/1.5L     123-195             2007.12
  マーチ      1.2L      103-147  (タイ生産)     2010.07
  デミオ    1.3L/1.5L     114-162             2007.05
  スイフト     1.2L       124-147             2010.09
  スプラッシュ  1.2L        128   (ハンガリー生産) 2008.10

ミラージュと同じくタイでの生産を行って日本に輸入しているモデルにニッサンのマーチがあり、ハンガリーで生産しているモデルにスズキのスプラッシュがある。その他は日本でも製造となる。上記の価格は、ハイブリッドや4WD仕様を除いた製品の価格である。
ミラージュはマーチと同じく3気筒エンジンでありタイでの生産も共通していて、価格帯が最も近い。国内で生産しているデミオ、スイフトと比べると価格は少し安い。国内の販売実績を調べた。2013年1月は単月で、それ以前は四半期ごとの平均として示す。ミラージュの2012年CQ2以前は、コルトの台数を示した。

■国内販売台数 [ 台 ]
      ミラージュ ヴィッツ  フィット  マーチ  デミオ スイフト スプラッシュ
2013-01  1,373   5,822    4,056   2,348  4,068  2,448     65
2012CQ4  2,293   5,141   3,965   1,763  2,675  2,591     73
2012CQ3  2,938   8,467   6,746   3,724  4,957  3,552    132
2012CQ2   451   8,810   7,359   2,458  4,855  4,320       7
2012CQ1   968  12,785  10,251   5,286  6,785  3,907    130
2011CQ4   597   9,454   7,933   2,765  4,056  2,661      65
2011CQ3   936  11,360   9,622   4,935   7,958  2,658    443
2011CQ2   718   8,289   5,702   4,178  3,240  2,278    310
2011CQ1  1,011  13,806   9,678   4,879   5,325  2,849    213

ミラージュは、ヴィッツやフィットに大きく離されている。販売当初の目標販売台数が4,000台に満たないことを考えれば、三菱もこの2車種に追いつくとは考えていないだろうが、2007年から販売されているフィットに大きな差をつけられている。同じく2007年開始のデミオは2011年7月に低燃費技術を盛り込んだマイナーチェンジをしているが、差は同様に大きいままである。ミラージュは、スイフトの台数を2012年の9月,10月に超えたものの、その後は逆転されている。マーチと比べるのが最も妥当だと思われる。ただし、マーチは2010年からのモデルである。スプラッシュは逆輸入車の比較例として調べたが、スズキの欧州への輸出船の帰り便に載せて、静岡の相良工場で納車前検査を実施することとなっていて月500台程度の能力と公称している。広告宣伝をあまり行っていないのもこれが理由のようであるが、スイフトが好調であることと、欧州仕様の部分があり事情を理解した人にのみ販売するつもりかもしれない。具体的には、ATセレクトレバーが大半の国産車とは逆の右方向セレクトになっていることや、バッテリーが異なることがある。それなら日本に入れない選択もあるだろうと思うが、欧州で好調であったことが影響しているようである。なお、2012年CQ2で著しく減っているのはマイナーチェンジによる在庫整理の影響で、その後販売中止かと思ったが継続販売している。
ミラージュに話を戻す。2013年1月の販売台数の1,373台は、前のモデルであるコルト(2002年販売開始)の2010年の平均月販売台数の1,600台に劣る。2011年は800台程度まで低下しているがモデル末期とニューモデルが同じレベルというのは寂しい。コルトが当時提携関係にあったベンツと技術的な交流があったことがプラスに働いているのに対し、ミラージュはタイ製造品でマイナスに働いているようである。

ミラージュに対する評価として、白ナンバーの軽という表現があったから、自動車としての出来も改善の余地があるのだろう。諸費用込みで100万円を出すクルマに対し、10万円安くする努力は大変なものだと敬意を表するが、100万円が90万円であっても大変な買い物であることに違いはない。この位で良いとするのは見識であるが、顧客に受け入れられなければ思い込みに過ぎない。価格で納得させるなら、1975年にスズキがアルトを45万円で出したようなインパクトが必要だろう。ダイハツミラのMT車が86万円なら、もう一声10万円下げて89万円ならアルト並み(少々弱いが)のインパクトになっただろう。値引きするくらいなら希望小売価格を下げるのが挑戦者の選択だろう。この程度で良かろうが最も駄目で、それなら印象の薄い普通の価格で特別仕様車を大安売りする方が良い選択になる。大きな組織の自動車会社では専門家の意見が通り難いところがあるかもしれないが、正しい判断なしに事業の成功は成し得ない。三菱自動車の当初の見通しは、少々楽観的過ぎるだろう。
実際のところ、三菱自動車は日本向け販売に大きな期待をしていなかったのかもしれない。より低価格が求められる途上国向けに安い製品を供給できる体制にして、装備を少し見直したモデルを日本向けと称して販売するつもりだったのではないだろうか。それは確かに一つの経営判断かもしれないが、日本の販売店は何を売るのかはだれが考えるのだろうか。タイ工場の製造品を企画する人の意識に日本市場が無いなら、日本市場を意識した企画屋が商品提案をする必要がある。しないのなら、日本市場から撤退するだけの話である。安くするなら日本向けもとことん安くしろと言わない経営者は、この会社の置かれている状況を正しく認識しているのだろうか。

話は変わって、TPPについて書く。日本の農産物は品質が高いから、価格が高くても買いたい人がいるからTPPで守られるより、新たな市場に挑戦する方が良いとする主張がある。品質が高いから余分なお金を払うというのは供給側の論理である。買う者は、同じ価格で品質の良い物を買いたいと思っている。逆にある品質以下の物は決して買わないという製品もたくさん存在するが、一般消費財では限定的である。この国の農業をそんな限定的な市場に導くのは一つ間違えばすべてを失うことになりかねない。農製品の安全基準も日本独自のものを継続すると言っているが、それでは非関税障壁は作り放題になりTPPではなくなる。遺伝子組換えしていない大豆やトウモロコシを求めるのが困難になっているのに、これは輸入制限しますは通らないのがTPPである。TPPに賛成ではないが、それほど反対でもない立場でいるつもりだが、賛成派の論理は幼稚であるし、反対派の論理は悲観的に過ぎる。その程度の論理で多国との交渉に臨むことを非常に不快感じる。政治家は単純化した話をしたがるが、単純なのは話し手のお頭だけで、聞き手を見下す精神は人間性を込みにして許せない。もう少し考えて話して貰いたいものである。まあ、悪ければ買わないのはミラージュの示す通りである。


右翼政権の政策は米国共和党のようだと思ったが、民主党のようである。ということは金を動かし利権にありつく為だけに、全ての政策は決定されるということだろうか。

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