« イオンがピーコック買収 | トップページ | 東北学院大の法科大学院 2014年度以降の募集停止決定 »

2013年3月 6日 (水)

東京高裁:衆院選一票の格差に違憲判決

一票の格差が最大で2.43倍となった2012年12月の衆院選について、弁護士グループが法の下の平等を定めた憲法に違反するとして選挙の無効を求めた訴訟で、東京高裁(難波孝一裁判長)は、3月6日に選挙を違憲とする判決を言い渡した。ただし、選挙無効の請求については棄却した。

以前から、国会の怠慢と批判してきたので記すこととする。

今回の判決は、東京1区の選挙が対象となっている。同様の訴訟が全国の14ある高裁・支部に提訴している。判決が出たのは初めてである。3月27日までに判決が出そろう。何れの判決が出ても最高裁に行くのは必然で、年内にも統一した判断が出ることになる。
判決内容を順番に考えていく。

■ 違憲か否か
最高裁は、最大格差が2.30倍だった2009年衆院選について2011年3月に、違憲状態と判断している。加えて、この判決で地方に議席を手厚く配分する一人別枠方式が格差を生む主な要因だとして速やかな廃止を求めている。この時と同じ制度で選挙して、さらに格差が拡大していること、裁判所は上の意向に従う傾向が強いようで違憲判決を出すのに抵抗が生じない環境ができていること、これらを考慮すれば違憲状態以上の判断がなされることは予想された。逆に今回の訴訟で違憲状態の判決を下せば、三権分立の司法の役割が弱いことを受け入れることになる。違憲状態よる進んだ違憲判決への流れは出来ていた。国勢調査から1年以内に修正を加えるという規定も2012年2月に過ぎているから、国会に何もしていないと批難するには十分な時間があったといえよう。

■ 選挙無効について
判決は、選挙を無効にした場合に生じる事態として、その選挙区の議員がいないまま区割りの是正をせざるを得なくなり、不都合が生じると指摘して無効でないとした。所謂、事情判決の考え方を採用している。もっともな話に思えるのだが、実態としては是正が期待できる訳ではないことは過去の判決に対する対応で明らかになっている。それらを考慮すれば、期待するだけの方が弊害が大きいことが予想され、事情判決を採用する意味がないのではないだろうか。
公職選挙法に事情判決は使えないという指摘は妥当だと思うが、むやみに無効とされたら混乱するのは明らかだから、裁判所の言い訳として事情判決とする気持ちは分からないではない。その意味で、最高裁で無効は出難いだろうから、高裁の一つや二つで無効判決が出て良いのではないかとも思ってしまう。


無効訴訟は公職選挙法で、高裁が一審と定められている。提訴から100日以内に判決を出すように努めるという公選法の規定を今回は各高裁が意識している。これまであまり重視されていたとは言えない規定を意識して、東京高裁は提訴後79日という異例のスピードで判決を出したところに司法のヤル気を感じる。
それでも、選挙制度や議員定数やその配分を決めるのは法律であるから立法の責任である。その立法府が自分のことしか考えずに国民の権利を侵害しているときに、それは正しくないと指摘できるのは司法しかない。それが国民の期待だとするなら、今回の判決が国民の利益を守ったかに疑問が残る。
違憲が確定すれば、国民が国会議員の違法行為に対して損害賠償を起す可能性がある。原告は国民で、被告は国会議員である。有権者が1億人で、票の軽い地域が10%あるとすると原告の対象となるのは1,000万人である。一人1,000円でも総額100億円の損害請求となる。衆議院議員が480人、参議院議員が242人の計722人だから一人1,400万円に過ぎない。人数は二倍くらいに増えそうだし、賠償額も五倍になれば1億円を超える。これだと任期中の議員歳費に近いから抑止力になる。裁判所は、このような事態も想定されることで違憲判決だけで十分な効果があると考えているのかもしれない。
自分の地位を自分で決めて、歳費も自分で決めれば、これで腐らない筈がない権力構造である。立法の中での調整に留まらず、拘束力のある国民の意見を聞く機関によって、選挙区の区割りや歳費を決定することが望ましいくらいのコメントを裁判所は出して良いだろうと思う。


英国なら、どこの高裁が無効判決を出すかブックメーカーがオッズを発表しそうである。

« イオンがピーコック買収 | トップページ | 東北学院大の法科大学院 2014年度以降の募集停止決定 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« イオンがピーコック買収 | トップページ | 東北学院大の法科大学院 2014年度以降の募集停止決定 »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ