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2013年3月11日 (月)

3月11日に寄せて

警察庁の発表によると2月27日現在の東日本大震災の死者・行方不明者は、
 死者      15,880人
 行方不明者   2,694人
となっている。
多くの人が亡くなった震災のことを考えてみる。

死者が15,880人あった震災であると簡単に括ってしまってはならない。15,880人の一人一人に事情があり、それぞれの家族に悲しみがあることを忘れてはならない。1人だったから小さな事故で良かったと思った瞬間に、100人で済んだ、10,000人で済んだの発想が出てくる。一人の犠牲者をいとおしむ気持ちを忘れずにいなければ、一人の犠牲者も出さないとする気持ちを保つことは出来まい。誰かを助けようと被害にあった人、あるいは足手まといになるまいと覚悟を決めた人、家族の多くを亡くした人もいよう。その一人一人のご冥福を祈る。

過去を漫然と振り返っても意味が無いという声を聞く。現実的な対応で、災害復旧を急ぐことが大切だという。思い出に浸っても死んだ人は帰らないのは事実である。生きていくことが人を見送ることの繰り返しであるのなら、そのとき近しい人の多くを亡くしたことは、その時だけ映画のコマ送りが早かったとして受け入れるよりないのだろうか。自分だけが生き残り、生きることの無意味さを感じて、気力を失い、絶望を抱いて惰性で時間を送るだけになった人になったとして誰も咎めることはできまい。しかし、喪失に包まれた人を見守る人がいない訳ではない。新たな喪失を誰かに押し付けてしまっては、喪失の無限連鎖をつくるだけである。悲しみをしっかりと掴んで、自分だけのものにすることを被害の無かった者たちは、尊敬の念を持ってじっと見なければならない。救えないことを嘆くより、新たな悲しみを生まない覚悟が大変なのは容易に想像がつく。気高き行為である。しかし、そうしなかったからとして、誰がそれを責められようか。

復旧工事が進んでいないこと、原発の処理が長期間を要する作業になっていること、放射性物質で汚染された土地の処置の問題、テレビ番組で取り扱われた課題は沢山だった。どれも一年前にも言われていた話であり、もしかしたら一年前の映像を流しても分からないくらい進んでいないといえるだろう。さもアイデアがあるような批評家が現れるのは、震災の直後から何度も繰り返してきた。そしてそれらから学ぶこともほとんどないことを学んだ。
二年の時間で処理できなかったこと、今後もきっと処理するのが困難な課題を見て学ぶべきことはたった一つである。すべてに想像力がなかった。原発で、津波で浸水しなければとか、電源喪失をしなければとか、もっとこまごまとした対応の数々を別の選択をしていれば被害が小さかったというのはその通りかもしれない。しかし、そういう対応は出来なかった。出来ない程度の人間が装置を設計し、運転しているのである。その上に乗っかって便利を享受しているのもまた同じ人間である。きっとこの先も、想像力が足らずにこんな筈ではなかったと思うことがあるだろう。その程度の人間がやる仕事だから繰り返す。必然である。だったら危険なものは使わない方が良いというのは、きっとマッチ一本にさえ危険を求めることになるだろう。マッチで生じる火事なら被害が知れているとするのは、10人は死んでも良いが良いが10,000人は駄目だの発想に陥る。
大きな事故が、たった一つのエラーで生じることはない。こんな筈ではというエラーが三つはある。そして、被害の引鉄は善意による作業者が引くものである。大きな地震があったからですべての説明が済むものではなく、想定していない規模の地震であっても被害を抑えることはできるものである。きっとそこに別のエラーがあったのだろう。

ひと頃、政府の不手際が被害を大きくしたとその象徴として菅直人批判をすること、安全管理がずさんだと東京電力を批判することが流行っていた。これを書いておけば間違いがない、誰からも非難されなから書くのに困れば、これで誌面が埋められることになっていたようだと言ってもよさそうだった。
政治の話と、東電の話は次回にすることにしよう。


この日は、悲しい映像しか流していけないというのは危険な考えだと思う。不謹慎な番組を流せば苦情が殺到するから自制する。その考えが不謹慎である。

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