« プーチン大統領が北方領土問題の進展に意欲-2 | トップページ | 求刑超え一審判決破棄 »

2013年2月26日 (火)

国民健康保険料の資産割

国民健康保険料が固定資産があると高くなると言う話を聞いて、それはどういうことか気になって調べてみた。


社会保険等の職場単位で編成されている被用者保険に加入していない人が、住民登録のある市区町村で加入することを義務付けられている健康保険のことである。対象となるのは、主に会社を退職して無職となった人や、被用者保険制度のない場合の自営業者と考えてよい。どの被用者保険にも加入していない人は、原則として国民健康保険(国保)に加入することになる。原則として強制加入であり、一度加入の届け出を行えば、適用除外の要件に該当しない限り脱退することはできない。
これで国民皆保険が維持されるというこの国の医療保険制度である。1955年頃は、国民の1/3が無保険状態であり社会問題化した。全ての国民が、小さな負担で医療を受けることができるという重要な制度であり、厚生労働省は「我が国の社会保障制度の根幹をなす制度の一つとして,その機能を十分に果たしている」と言っている。
保険組合が破綻状態に陥ったり、国保に税金が使われたりと、ほころびが目立つ制度になっている。制度が出来て半世紀が経てば、社会環境の変化も大きく見直しが必要になることも出るだろう。制度をつくるのは非常に苦労の多い仕事だと思うが、制度の修正には思わぬ反発があり大変なのはどこでも同じなのだろう。

まず、国保の保険料の計算方法について確認する。
国保の保険料は、加入者の住民税や世帯の人数をもとに計算される。(住民税は、前年の所得によって決定) 国保の保険料には、医療分と介護分の二つがあるが、医療分だけで話を進める。参考の為に記すと、介護分は40歳から64歳の加入者がいる場合に発生する。
算出の基礎となる項目は以下の四項目である。
 ・所得割額 …… 国民健康保険加入者の住民税にかかる
 ・均等割額 …… 1世帯の国民健康保険への加入者の人数にかかる
 ・平等割額 …… 1世帯あたりの定額負担額
 ・資産割額 …… 1世帯が所有する資産に対してかかる
保険料は、上記項目によって計算される。
[1] 所得割額=今年度の住民税額×A
[2] 均等割額=国民健康保険の加入者の人数×B
[3] 平等割額=1世帯あたり C
[4] 資産割額=固定資産税のD

A,B,C,Dと表記したのは、全国均一ではなく市区町村ごとにかなり違いがあるからである。だから、保険料金を知りたい場合には、自治体窓口での確認が必要である。ウェブ上で計算するのは市町村で違うことを考えると難しいだろう。
[1]について、住民税は所得に対する一定税率になっているて、この点で累進性が高い所得税と異なる。住民税に算出基準を求めるのは市町村が管理している項目であるからだろう。国保によって得られるサービスが同じであることを考えれば、住民税に連動するのは高い累進性であるといえる。ウェブ上で検索したところ、累進性に対してこの国の国民は寛容である印象がある。商品・サービスが一定であれば支払も一定であるべしと考える所謂、一物一価の原則 (移転価格税制で議論になるが本題から外れるので略) が適用されるのを当然に思ってしまう。まあ、負担可能な人に応分な負担をして貰うと言う話で当局は説明している。
[2],[3]は制度としてそうしているということであるから触れない。
[4]が表題の問題である。固定資産を所有していると税金が発生する。課税主体は市町村である。不動産を所有していると保険料が増加する。国保とは無関係の不動産所有で保険料があがるのは二重課税ではないかという指摘がある。これに対しては、想定問答が完成されていて沢山の市町村でウェブ上のQ&Aに記載がある。
総論的に批判しても立場の違いの説明に留まるから実態を確認した。簡単に調べられた神奈川県の例を引く。神奈川県には33の市町村がある。33市町村とも、賦課限度額は同じで51万円である。所得割の算定基礎になっているのは4市町 (横浜・藤沢=市民税、小田原=市県民税、愛川=町民税,所得割) を除いて旧ただし書き方式である。
  項目     最大    最小    平均
所得割 (%)     8.2     3.9      5.3  (4市町を除く)
資産割 (%)   33.9      5.4     18.8  (0の18市町を除く)
均等割 (円)  40,870   11,900   21,859
平等割 (円)  35,860   10,000   22,229

市民税等に算出基礎を求めている4市の所得割の平均は138%となるが、税金に少し違いがあるので除いた。資産割は置くとして、平均的には所得割が5%で均等割と平均割がそれぞれ2万円というところである。ただし、ばらつきは大きい。
国保で受けるサービスに自治体で大きな差があるとは思えないが、自治体単位で健康保険組合があるイメージなので、それぞれ経営状態に差がある結果として支払金額に差があると理解するよりない。自治体単位での運営では運営上の無駄も多いだろうから、大きな組合をつくるようにすれば良いと思うが、そもそも行政が効率的でないことを考えれば大きくしたから無駄がなくなるというのは幻想に過ぎないかもしれない。厚労省は組織の維持を考慮して、人口100万人程度にまとめる指導をすれば良いだろうにと思うが、考えていて行動しないのか、考えることすらしないのか、そんなことでは変わらないのか、いずれであるかは想像が付かない。
やっと本題の資産割に辿り着いた。相続で不動産を得て保険料が上がったことを例示して、資産割を二重課税とする意見に反対して、資産があるのだから当然で、相続で得たのなら相続しなければ良かったのだという類のものがあった。こうした意見が出るところが、日本国が世界で最も成功した社会主義国と言われる理由であるように感じる。具体的に反論するなら、不動産を相続した場合には保険料が上がるが、金融資産を相続した場合には全く影響しない。アパートを持っていて収入を得ると、アパート収入が所得割で、アパート自身が資産割で保険料が増えるが、株式の配当で収入を得ても影響しない。半世紀前には例外的であったものが、普通に発生する状況になれば、説明の合理性が失われているのは致し方ない。
神奈川県を選んだのは都市計画法の適用地域であるからである。33市町村で、適用外は清川村のみで、非線引は箱根、山北、湯河原と相模原市の一部 (旧津久井町、相模湖町、藤野町の一部) である。都市計画法は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的としている。もっともな目的ではあるが、これが原因で市街化区域と市街化調整区域に線引きされ資産価値に大きな差が生じた。1968年に現在の法律が旧法が廃止されて定められた。公共の福祉の増進の為とはいえ、財産の価値に天と地ほど差が出る市街化区域と調整区域をもたらしたのが行政であり、その行政が資産価値があるからと保険料を上昇させている。高くしてやったから払えというなら横暴だが、応分の負担というと適切な行政行為になるようだ。この論理は理解の外である。都市計画法の適用される地域では資産割をしないのが妥当だと考えるが、相続財産があることを忌み嫌う向きには理解されないことだろう。線引していない市町を除いて12市町が資産割を適用している。12市町のうち率の低い側の4つは伊勢原市,二宮町,秦野市,南足柄市で5.4-8.19% である。次の4つは大井町,寒川町,座間市,大磯町で15-20.27%で、高い側が松田町,開成町,中井町,真鶴町で23.8-27.72%である。都心に違い側、大きな街である方が税率が低い。つまり行政も資産割には無理があると認識している。それが証拠に、もっと大きな街では資産割は0になっている。神奈川県で国保に入るなら、座間市が厳しい。16%は相模原、厚木、海老名、大和と東京側、横浜側のみならず周囲が0では説明が苦しい。おまけに率も高い。所得割が4.6%でやや低いが他の二つは平均的である。人口13万人とやや小さいことも影響しているのだろうか。米国陸軍のキャンプがあるのが特徴とは言える。

相続税についても、固定資産税についても言えるのだが、資産があるところから取れば良いというのは安直過ぎる。税の公平性を正しく実現するのに努力が足らない。相続財産をないように使い切ることが経済を刺激して良いことと考えられないではないが、70歳になったら手元の資産は無くなり、子供からも見捨てられ生活保護を受けるというのでは国の為にはならない。子供にいくばくかの財産を残そうと思ったら、ことのほか資産価値が出てしまった場合に、子供は普通に会社勤めをして得た収入の何年分もの相続税を納めなければならないことがある。前者の親を悪として、後者の親を善とするのは倫理観であって法律ではない。前者を選ぶのも思想良心の自由から許されるだろう。しかし、国としては後者を選んで貰った方が好ましいはずだ。だから、倫理観を有する国民から選ばれた議員は立法府に参加する責任として、倫理的に好ましい方向に少し有利になるように按排することが求められる。法律は倫理を謳わないが、法律を作る者には倫理がある。


金持ちなら無保険でも良さそうだ。国保無加入にはペナルティはない。TPPで海外からいろいろ要求されたら皆保険は崩れるかもしれない。

« プーチン大統領が北方領土問題の進展に意欲-2 | トップページ | 求刑超え一審判決破棄 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« プーチン大統領が北方領土問題の進展に意欲-2 | トップページ | 求刑超え一審判決破棄 »

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ