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2013年2月22日 (金)

タイヤ会社業績と天然ゴム価格

タイヤ業界がブリヂストンを筆頭に好業績である。2月18日に出そろった日系大手四社(ブリヂストン、住友ゴム工業、横浜ゴム、東洋ゴム工業)の2012年12月期決算は、前期比で3~8割もの大幅な営業増益を記録した。

背景には天然ゴム相場があるようなので、天然ゴム市場との関係を考える。


四社の決算発表を確認する。前期比は横浜ゴムと東洋ゴムが決算期変更の影響があり、参考データとなる。すべて2012年12月期である。単位は億円。カッコ内は前期比の増加割合。

  社名      売上高       営業利益
ブリヂストン  30,397 (+1%)   2,859 (+49%)
横浜ゴム     5,597 (+0%)     496 (+86%)
住友ゴム工業   7,102 (+5%)     697 (+29%)
東洋ゴム工業   2,911 (+4%)     156 (+31%)

どこも売上高は横ばいであるが、営業利益の伸びが著しい。各社とも過去最高レベルであるとしている。各社の決算説明を読むと、利益が拡大した理由は二つで、製品の販売価格が上がったこと、原材料価格が値下がりしたことで共通している。2012年は円高で推移したが、2011年よりやや円高側にあった。増益要因として、原材料費全体、天然ゴム、為替変動の影響を各社発表資料からまとめた。単位は億円。ブリヂストンは原材料費の分解数値を発表していないので略した。

  社名       原材料費  (天然ゴム)  為替変動
ブリヂストン      920    (…)       △120
横浜ゴム        120    (123)        △28
住友ゴム工業     184     (210)         △2
東洋ゴム工業     70    ( 84)           13

原材料費の増益要素はそのほとんどが天然ゴムである。乱暴に言ってしまえば、前期の営業利益に原材料費 (=天然ゴム) の購入削減額分が今季の営業利益となっている。タイヤには石油製品である合成ゴムも使われているから、原油価格の影響で利益が減る部分もある。
視点を変えて、販売価格が上昇したという要素について考える。まず自動車の生産台数を確認する。2012年の実績はもう少し先にならないとまとまらないが、2011年より多いと言われている。2011年が史上最高であったから、それを超える台数となる。下に、乗用車、商用車 (バス・トラック等) に分けた生産台数を示す。しかし、近年の台数の増加は新興国市場を中心としたものであり、日系タイヤメーカが主戦場とするには価格面で厳しい。その市場で値上げが実現できるとは考え難い。石油価格の上昇を受けて価格改定が店頭で表示されていたから、その効果があるのだと思われる。見込みと違って、原材料は値下がりしたということである。自動車会社が簡単に受け入れるとは意外であるが、交渉当時は非常に厳しい環境であったのだろう。

■世界の自動車生産台数 単位:千台
年   合計台数 乗用車  商用車
2000  58,374  41,216  17,159
2001  56,305  39,826  16,479
2002  58,994  41,358  17,636
2003  60,663  41,969  18,695
2004  64,496  44,554  19,942
2005  66,482  46,863  19,619
2006  69,223  49,919  19,304
2007  73,266  53,201  20,065
2008  70,520  52,726  17,794
2009  61,792  47,773  14,019
2010  77,629  58,265  19,364
2011  80,093  59,929  20,164

さて、天然ゴムの価格が下がった話に戻る。天然ゴムの産地は、タイ、インドネシア、マレーシアである。この三国で世界の67%を占めている。タイヤは天然ゴム消費の七割を占めると言われるから、天然ゴム ⇒ タイヤ ⇒ 自動車 は強く結びついている。天然ゴムの相場がどのような動きをしたかを確認する。各月の代表値で価格の推移を確認した。2008年から2013年の1月までで、価格はポンド当りUSセントである。1ポンドは約454グラムである。下に結果を示す。

■天然ゴムの価格推移: USセント/ポンド
    2008    2009   2010   2011   2012   2013
1月  119.92    68.26  139.79  250.36  164.48  149.85
2月  127.63    67.22  141.87  280.79  181.55
3月  127.40    63.84  151.44  245.78  178.22
4月  129.51    73.50  179.09  265.49  174.40
5月  139.05    76.39  166.91  232.07  169.11
6月  147.04    75.48  161.74  223.80  145.09
7月  145.96    79.06  148.51  214.64  139.63
8月  133.78    92.86  150.42  212.11  126.69
9月  130.61    98.50  160.24  206.45  137.82
10月  88.05  106.68  178.02  184.21  145.33
11月  77.06  116.74  195.32  152.95  134.91
12月  56.70  127.47  215.28  153.52  141.05

2011年4月に高値を付けた後2012年8月まで小さな上下はあるものの下がった。2011年の価格は2008年12月の価格からすれば5倍以上の値上がりであり、タイヤメーカーとしては値上げ交渉しなければならなかっただろうことは理解できる。これに原油価格の高騰が加わっているから、購入原材料価格はどれもこれも値上がり状態であった。今回の決算は天然ゴム価格が250を経験して販売価格を交渉したら、実際には150になったことで大幅な購入費削減となった結果と言える。天然ゴム価格は緩やかに値上げに転じている。これは、自動車販売が引き続き好調を維持している背景もあり、天然ゴムの消費は過去最高水準にある。天然ゴムが供給過剰であったことで値下がりが生じたが、この影響により過剰分が61%削減すると国際ゴム研究会は見込んでいる。タイ、インドネシア、マレーシアの三国は価格を押し上げる為に輸出制限を継続し、ゴムの木を削減している。2013年のタイヤ会社の決算は2012年のようにはいきそうもない。円安に動いた為替の影響は、ブリヂストンのような現地化の進んだ会社では影響は軽微であるが、他の会社は一定のプラス材料にはあるだろう。ただし、原材料の調達コストのアップ材料になり簡単ではない。タイヤ会社のこの利益はしばらくレコードとして残りそうである。


天然ゴムのプランテーションは諦めた。作業が無尽蔵に拡大する予感がする。

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