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2013年2月10日 (日)

携帯基地局

日本でスマートフォンが急速に普及している。普及の理由を携帯電話通信キャリア会社(以下、携帯キャリア)の都合で考えてみる。

携帯キャリアの大きな設備投資として基地局の設置がある。基地局の通信範囲と、必要数を考えてみる。日本の国土の面積は約377,900 km2である。基地局を対角線が6kmの正方形全体をカバーする(基地局が半径3kmの範囲をカバー)と考えると20,994拠点の基地局が必要となり、同じく対角線を10km(基地局が半径5kmの範囲をカバーする)で考えれば7,558拠点必要となる。島部はこれ以上に必要となる一方で、山岳地帯は必ずしも必要でなく、通信距離も伸びるから減ることになる。都市部ではビルの陰や地下などで電波が届きにくい場所が生じて基地局が増える。全国をカバーするのに基地局が1万~2万拠点必要であることが計算さる。
総務省総合通信基盤局の無線局情報から、携帯キャリア各社の基地局数を周波数・方式別にして、各年の10月の設置数をまとめた。結果を下に示す。
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 会社名
周波数・方式       2012  2011  2010  2009  2008  2007  2006  2005
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■EMOBILE
 1.7GHzLTE       4,571
 1.7GHz W-CDMA    11,618 10,357  9,446  8,628  7,655  4,513   88
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■KDDI
 800MHz LTE      17,115  1,871
 1.5GHz LTE      2,518   458
 2GHzLTE       8,671
 2GHzCDMA      15,531 13,280 13,005 11,064  8,781  6,193  2,818  446
 800MHzCDMA    34,032 30,189 40,288 30,508 23,439  17,924 16,630  27,319
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■Tu-Ka
 1.5GHz PDC                           6,207  6,391  6,418
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■UQ Com.
 2.5GHz mWiMAX   21,913 17,606  12,498 3,884  226
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■NTT Docomo
 1.5GHz LTE         13
 2GHzLTE        17,887  4,393  285
 800MHzWCDMALTE   52,911
 FOMA800MWCDMA       49,520 43,627  35,231 25,144 10,636  4,088  1,112
 1.7GHz WCDMA     7,865  5,980  5,134  3,199  1,187   439   19
 2GHz WCDMA     52,664 51,780  50,735  45,895 44,094 41,080 34,450 22,935
 mova800MHz PDC        20,428  20,772 20,839 20,875 20,939 20,932 43,278
 1.5GHz PDC      3,378  3,381  3,401
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■SoftBank
 4G 2GHz LTE     15,099
 3G 2GHz W-CDMA 77,310 119,224 58,633 38,873 36,351 34,501 24,489 18,866
 1.5GHz W-CDMA   9,490  9,271  5,971
 2G 1.5GHz PDC   14,142 14,229  14,233 14,225 14,205
 900MHz W-CDMA  20,924
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■WILLCOM
 2.5GHz XGP       655   655   282
 2.5GHz AXGPTDLTE 19,650   906
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■地域WiMAX

 2.5GHz mWiMAX     315   281   200   101
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Docomoの800MHz W-CDMA LTEとFOMA 800MHz W-CDMAは届出上の区別が出来ないので、FOMAの後継がLTEだと理解するよりない。movaは2011年でサービスを終了したので、2012年はなしである。Tu-KaはKDDIに統合されたので、2008年以降なし。

上の計算で、2万拠点程度の基地局が必要と計算されたが、実際に全国にサービスを展開するとなるとこれでは不足で4万拠点が必要であるように見える。携帯電話は都市部での接続のし易さが確保されないと企業ユーザに嫌われる。ビルの陰や地下を網羅するとなると基地局の数は飛躍的に増加する。一方、地方は障害物が少なく、地形を考慮して最適な配置をすれば基地局数はそれほど必要ないということになると考えられる。新規参入した携帯キャリアが人口の大部分をカバーするといった宣伝をするのは、都市部の充実を優先して、地方をカバーすることを後回しにしていることを意味している。損得は必然的に発生するが、それは利用者の環境で判断すれば良いテーマになる。仕事で地方の山間と移動していると電話が入らないところがあるというのはよく聞く。しかし、高速道路の周辺は入り易いともいわれるので、高速道路に従った配置がサービスエリアでの利用を考慮してなされていて、その周囲もカバーするというのが基地局設置当初の対応のようである。
ソフトバンクの3G 2GHz W-CDMA が2010年から急増して、2012年に減少している。これはフェムトセルと呼ばれる半径数十メートル程度のきわめて小さな範囲の基地局の増加による影響であるようだ。ソフトバンクは通信改善の目的でフェムトセルの無料配布を大規模に2010年に実施した。その効果で基地局数が増加したが、2012年からフェムトセルが包括免許に切り替わったことで基地局が見掛け上減った (実態に変化はないようだ) ように見えている。通信範囲の限定が強いフェムトセルを、一般の基地局と同じようにカウントするのは如何かと思うから、修正後の扱いが妥当に思う。ソフトバンクは基地局数の増加を宣伝したこともないだろうから、行政側の扱いの問題に過ぎないが、釈然としないものがある。もちろん、NTTでもKDDIでも同じことがあるのだが、ソフトバンクほど派手にやっていないので目立たない。理由は単純で、ソフトバンクのカバーしている領域にこぼれがあり対策が必要なのをフェムトセルで応急処置をしたのに対し、NTTとKDDIはその必要性が小さかったからということのようである。海外の会社を買うより、国内の基地局を整備してくれをいうのは利用者なら感じるところだろう。実際にはその作業をしているのだが、他の目立つ行動が印象を悪くしているのだと思う。広告宣伝活動のプラス面とマイナス面を見るようで興味深い。
基地局と回線数は別のものである。基地局がいくつの回線を有するかは場所によって違うだろう。必要な回線数を用意しなければつながり難いや、通信速度が遅いと言われることになっている。特に、通信する情報量が拡大するスマートフォン利用では回線数と、基地局の後ろ側の通信速度を高めることが重要となる。この対策に、基地局の整備と回線の情報処理量を増やす (回線を太くする) ことが必要で、携帯電話という装置の性格上、全国でサービスを展開しなければならない。これには大きな設備投資が必要となり、ユーザ数の増加が期待できない日本の環境下で苦しい判断になると思っていた。故に、スマートフォンへの切り替えは緩やかに実施されると予想していたが、予想は外れてしまった。設備投資はどうせいつかはしなければいけないものであるのに対して、スマートフォンは機器の単価は高く売ることが可能であり、これなしでセールス活動をするのは難しい。通信量の増加には、現在上限なしの契約になっているものを、一定量以上には追加料金を課す契約に改めれば抑止力と収入増加が期待できる。暫くの間は、通信速度が下がることを利用者に我慢して貰えばよいから、通信キャリアには不満はない。回線を太くする対策は必要だから、都市部を中心に対策をすることだろう。

最近といってもずいぶん前からだが、朝の通勤中に電車で新聞を読む人が減ったと感じる。替ってスマートフォンをいじる人も多い。タブレット端末を扱っている人は新聞記事を読んでいるかもしれない。新聞社の発行する電子版は、最終版の記事が読めるからという理由で地方の人で併読利用が多いと聞いたことがある。芸能欄なら最終版で差し替えもあるが、経済記事ではそれほど差はないだろうというのは素人の発想のようで、その違いが重要なのだとも聞く。新聞や雑誌の紙媒体に使っていたお金が、アプリや情報のダウンロードに使われるようになったのだとすれば経済的な意味での合理的な説明は付く。紙媒体の経営見通しが苦しいと説明をされても会社を携帯電話会社にする訳にもいかない。それが世の習いとはいえ大変なことである。


朝の通勤ラッシュが米国で起きたなら、JRは確実に裁判所で争わねばならなかろう。

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