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2013年2月18日 (月)

閣僚の資産公開

政府は2月15日、安倍晋三首相と18閣僚の2012年12月の就任時における保有資産を公開した。


閣僚の資産に興味はないのだが、公開された数字が気になったので調べてみた。


公開された数字で最初に目についたのが下のものであった。
岸田 文雄 外務
【土地】 (宅) 東京都渋谷区神宮前 384 m2  181万円
渋谷区神宮前は原宿や表参道の住居表示である。高級ファッション店が並ぶ商業地域であるが、同時に有名な高級住宅地でもある。その場所の土地の平方メートル単価が、5,000円に満たないことになっている。何か読み違いをしていると思ったが、この数字に誤りはない。土地の評価額は固定資産税の課税評価額によるとある。資産内容は自己申告であるが、誰が取りまとめたのかは記載がない。当然、問い合わせ先の表記もない。そもそも問い合わせする性格のものではない。不動産業をしている訳ではないので、都心の土地の売買に興味は無いし、当然のこととして事情を知る由もない。そうはいっても、閣僚の資産公開は法律に則って行われる訳で、任意に公開しているものでもない。それならば、この機会にもう少し理解した方が良かろうと作業を進めた。

閣僚の公開した資産で、土地のみに注目した。宅地以外は周囲の環境や地勢による利用価値の差が大きくなるから比較は難しいと考え除外した。都市計画法の適用される三大都市圏は同じ法律で管理される。ここと、それ以外の比較も考慮しなければいけない条件が増える。ということは東京の周辺での比較となるが、国会議員 (閣僚に民間人はいない) は永田町で仕事をするから都心の住居が必須ということもあるようで、23区の中で比較するのが良いという常識的な結論となった。自民党に世襲が多いことも影響があるかもしれないが、それは今回の議論から離れるので無視する。
その中から、マンションなどの共同住宅を所有している場合を除く為に、土地面積が狭いもの、具体的には100m2 に満たないものを除いた。この条件で今回の公表から13件が該当したが、1件は本人と配偶者が同じ条件になっていたので片方を省いた。名義として1/2を夫婦それぞれが所有することになっているのだろうと想像する。離婚したらどうするのだろうと想像するのは、要らぬ詮索である。他にも同じような物件を抱えている人なので、有事の際には大変だろうと、いやはや、それこそ下衆の勘繰りである。該当した12件の住所と面積、公開された価格、加えてm2あたりの価格を示す。

No.   住所       m2    万円    \/m2
1 渋谷区神山町   2,120   32,803  154,731
2 渋谷区神宮前    384      181    4,714
3 世田谷区桜新町   260     1,243   47,808
4 世田谷区経堂    183     1,416   77,377
5 港区高輪       163     1,385   84,969
6 杉並区高井戸東   150     463   30,867
7 文京区白山      146     928   63,562
8 板橋区西台      132      97     7,348
9 文京区大塚      121     609   50,331
10 渋谷区神宮前    116    1,052   90,690
11 文京区大塚     114     574   50,351
12 杉並区上高井戸  105     498   47,429

著しく安いのを除いても、平方メートルあたりの単価は数万円程度に過ぎない。毎年、土地の値段が上がったとか下がったとか話題になる路線価を、最近ではウェブ上で閲覧できるので比較してみることにした。上記の12件は大きな範囲までの表示なので、路線価のどれをあてるかは若干の影響がでることは承知の上で、目印になるような公共施設の近くを選んで代表させることにした。比較した結果を示す。路線価の単位は千円/m2である。

No.  住所       \/m2  路線価   路線価参照場所
1 渋谷区神山町  154,731   872  渋谷区神山町:ニュージーランド大使館前
2 渋谷区神宮前    4,714  1,000  渋谷区神宮前3丁目:渋谷保育園
3 世田谷区桜新町  47,808   425  世田谷区桜新町2丁目:ぴっころ保育園
4 世田谷区経堂   77,377   366  世田谷区経堂1丁目:わかくさ保育園
5 港区高輪      84,969   491  港区高輪2丁目:高輪台小学校
6 杉並区高井戸東  30,867   317  杉並区高井戸東1丁目:高井戸東保育園
7 文京区白山     63,562   506  文京区白山2丁目:指ヶ谷小学校
8 板橋区西台      7,348    221  板橋区西台2丁目:志村坂下小学校
9 文京区大塚     50,331    330  文京区大塚6丁目:大塚保育園
10 渋谷区神宮前   90,690  1,000  渋谷区神宮前3丁目:渋谷保育園
11 文京区大塚    50,351   330  文京区大塚6丁目:大塚保育園
12 杉並区上高井戸 47,429   251  杉並区上高井戸2丁目:宝陽幼稚園

路線価の神宮前で、平米百万円というのは妥当なような気にさせる。100m2の土地を用意すると1億円になるということだから、成功した芸能人が大きな家を都心の一等地に建てると数億円になるという図式と合致する。公表された価格と路線価(推定) との比がどのくらいあるかを確認したのが下である。

No.   住所          路線価/公表価格
1 東京都渋谷区神山町     5.6
2 東京都渋谷区神宮前   212.2
3 東京都世田谷区桜新町   8.9
4 東京都世田谷区経堂     4.7
5 東京都港区高輪        5.8
6 東京都杉並区高井戸東  10.3
7 東京都文京区白山      8.0
8 東京都板橋区西台     30.1
9 東京都文京区大塚      6.6
10 東京都渋谷区神宮前   11.0
11 東京都文京区大塚     6.6
12 東京都杉並区上高井戸  5.3

公表された価格は路線価の1/5以下であることが分かった。なぜこんなに違うのかをもう一度最初から見直してみた。単純な見落としに気が付いた。固定資産税の課税標準額と、路線価は別のものである。どちらも税金の算出基準にするのは同じであるが、税金の種類が異なる。課税標準の方が固定資産税であるのに対し、路線価は相続税や贈与税に対して用いられる。(他の用途はここでは無視する) 路線価が一般的な取引価格に近い価格であるのに対し、課税標準は安くなっていると言われる。固定資産税には政策的に減じるようになされていると言われる。減らすなら、元の評価を下げるより税率で調整すれば良かろうにと思うのだが、徴税当局の考え方は違うところにあるのかもしれない。相続税については他の金融財産と評価を同じくしないと公正性に欠けるということになるから、時価に近い評価を行う必要はあるだろう。定期預金と株式と土地を相続する時に、課税基準をどのように公平に行うかはなかなか難しい。少しでも不満が出ないようにする作業を当局は行っているのだろう。これとは別に、自宅や自営業で家業を相続する、農業での農地の相続の場合になどにはいろいろな減免措置が相続税にはあるようだ。
相続税にはもともと否定的な考えであるが、固定資産税にも否定的である。現在、資産を有している人は過去に税金 (所得税や相続税・贈与税など) を払って資産を有しているはずである。税金を払っていないで入手しているなら、脱税であるから懲罰されて然るべきである。税金を支払って、更にそれに課税するのは二重課税ではないかとさえ感じる。せめて、相続税の累進性は止めて定率課税にすれば良いと思う。この論理には山の様な意見が出てくるのでここまでにする。固定資産税も住まいに課税する必要もないだろうと思う。よって、住宅ローンによる減税措置は不要だとも思うのだが。

結局、土地の金額を求める根拠が別であったということだった。しかし、金額を見掛けだけ抑えるより、実態に合った金額で公表するのが法律の趣旨にあっている。行政機関の公表する数字であるから継続性が求められるが、資産公開に問題が山ほどあるのだから、それを改善することの一つに資産を時価評価により近くすることの方が大切だろう。そもそも住宅を一つ持っていて、選挙区にも事務所に使っているのがあるという程度なら不動産など公表してもしなくても良い。しかし、賃貸の物件やらどんな縁のあるところか (きっと相続だろうが) 分からない場所に不動産を持っていたりすれば公表する必要性はあるのだろう。金融商品の売買を憚られる立場であるのだから、不動産で資産形成 (無論、売買は制限されることになる) を目指すのは良しとするよりないのだろう。立法府にいる者が法の網を逃れる方法を探す行為はさもしい。さもしいと政治家が等号で結ばれるようでは困るのだが。
資産を眺めていて評価額0のものが気になった。墓は評価額は0と決まっている (固定資産税も相続税も生じない) のだが、麻生太郎の所有する墓の面積は716m2 (約27m□に相当)である。共同墓地のレベルの広さである。クリスチャンと聞くので教会の墓地か、自宅の昔からある墓地か、共同墓地の一部を買ったかであるが、二番目だろう。名門の墓は違うようだ。一方で、甘利明の厚木市山際南海道に44,363m2という山林がある。これも評価0である。地名からおおよその場所は、相模川に沿った土地のようだ。先代が将来圏央道の用地になることを考慮して買っておいたものかと考えてしまう。そんなことはいわれの無い誹謗であるというならその通りだろう。しかし、いわれの無いものが、情報公開によって誹謗が抑制されるし、そもそも私腹を肥やす政治家がいなければ不要の制度である。そうなれば好ましいが、なかなか難しいだろう。悪いことをした証明に比べて、悪いことをしなかった証明は相対的に難しいと決まっている。善意の政治家が善意の行動をしても、悪意の指摘に答えなければならない状況は美しき時代になってもあることだろう。善意の政治家に悪意が無いことを、悪意のある国民に説明する姿は少々皮肉が過ぎている気がする。互いにほどほど悪意があって、緊張感があるくらいが暮らしやすいように思うのは、世俗の垢にまみれ過ぎた証であろうか。

この流れで北陸の議員を調べて悪口を書こうとしたら、システムから排除された。
因果関係はないだろうが書くのは止めた。理由はこのレベルは相手にしないから。

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