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2013年2月 4日 (月)

犯罪白書 2012年版-3

近年、犯罪に対する厳罰化の要求があるように感じる。裁判員裁判が始まったこともあり、死刑を含む判断を一般の市民がしなければならない状況になっている。その制度が正しいか否かについて議論するだけの見識を持ち合わせていないが、まずは刑罰を受けた後のことを考えてみる。


殺人事件の犯人が捕まると被害者遺族は極刑を求めると話す。寛大な判決を求めると言うのはおかしいように感じるから当然の様な気がする。仮に、被害者遺族が死刑廃止論者であったとしたら、報道され難い気がするがどうなのだろうかと考えてしまう。殺人事件は年間千人を超える件数あるから、いろいろな意見の人がいても良いように思うのだが。死刑廃止論の話をするつもりはないから、この話はここまで。
無期懲役(ここで禁錮は懲役と同じ扱いにする)が軽い罪であるような表現に感じる。無期懲役というのは、生涯懲役にするという訳ではなく、一定期間を過ぎると仮釈放することになることが知られている。有期懲役は1ヶ月以上20年以下と刑法で規定されている(併合罪の場合最大30年)ので、有期でも無期でも仮釈放があり有期刑で刑期の1/3以上、無期刑で10年以上で地方更生保護委員会(法務省所管)の判断により仮釈放となることがある。刑期の七掛けくらいかなと想像するが、無期だと15年から20年くらいではないかと想像していた。勝手な想像は益をもたらさないから、無期懲役の判決を受けた受刑者がどのくらいで仮釈放になったかを調べた。法務省のホームページで公開されている「無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について」によった。公開が始まったのは最近で、2002年からのデータが公表されている。

無期刑受刑者の仮釈放の運用状況
■年末在所(無期懲役)
    受刑者数  新 仮釈放 新  在所期間  死亡受刑
2002年  1,152   75   8   6  23年 5月   18
2003年  1,242  114  16   13  23年 5月   11
2004年  1,352  119   4   1  25年10月   15
2005年  1,467  134  13   10  27年 2月   12
2006年  1,596  136   4   3  25年 1月   15
2007年  1,670   89   3   1  31年10月   13
2008年  1,711   53   5   4  28年10月    7
2009年  1,772   81   6   6  30年 2月    14
2010年  1,796   50   9   7  35年 3月    21
2011年  1,812   43   8   3  35年 2月    21
合計    -    894  76   54     -     147

2011年を例にすると、無期懲役刑に服している受刑者が1,812人いて、その内仮釈放に新規になったのが3名ということになる。獄中で死亡したのは21名である。この仮釈放になった受刑者の平均在所期間が示されているが、思うのほか長くて35年を超えている。2002年が23年であったことからすると、厳罰化を求める国民の声が反映されていると考えられる。この国の行政運営は非常に平等に行われているので、一度ある方向に流れると法律の改正が無い限り当分続くと考えて良いだろう。つまり、2011年に仮釈放になった受刑者は、平均的に言えば1976年に刑が確定して収監された者であると考えられる。連合赤軍で無期懲役の判決があったと思って調べたが確定が1983年(地裁1979年)で少し後であり、現在も服役中であるようだ。この受刑者は16人の殺人が認定されているようだから、仮釈放は難しと思う。本で読んだ記憶で辿っても、覚えているのは凶悪犯で死刑判決が多く、仮釈放になる事案にはつながらなかった。ネット検索では秋山兄弟事件の兄がこの時期になるが、この事件を知らない。主犯とされた弟は死刑となり、最高齢の死刑執行であるそうである。
1975年は昭和50年であり、街にはシクラメンのかほり(布施明)や昭和枯れすゝき(さくらと一郎)が流れていた時代である。娑婆にでたらK-POPが流れてビックリするのだろうか。そこまで情報的に隔離されていることも無いだろうが。
近年の無期懲役と死刑の確定数を調べた。

■ 確定者数
年   無期懲役   死刑
1998   45      6
1999   45      4
2000   60      6
2001   69      5
2002   75      3
2003   114      2
2004   119     15
2005   134     11
2006   136     20
2007    89     23
2008    53     10
2009    81     17
2010    50      9
2011    43     23

凶悪犯罪の増加や厳罰化の流れに乗った結果にはなっていなかった。
さて、懲役刑で矯正することが受刑者にも社会にも必要である。少年犯罪については矯正が語られるが、実際には社会に戻った後の更生の方が重要である。これは少年犯罪でも成人犯罪でも同じだろう。加えれば外国人犯罪でも同様だが、外国人を矯正して本国に戻すサービスを日本国が費用負担すべきものかと感じるが、これはまた別の問題である。
刑務所が矯正施設として正しく機能することと、社会が矯正+更生を期待して受け入れる体制が整っていないと、前科者は社会の中で生きる場所を失い再び法律を犯す可能性が高くなる。再犯率の問題は前回も触れたが、社会が受け入れられるか否かが重要である。犯罪歴があり、懲役刑を受けた人が社会で受け入れるかというと難しい。この国に限らないだろうが、シマ帰りの流れは変わっていない。受け入れ機関をつくらないと再犯するのは必定でるから、前科者が社会から排除されるなら、全て無期懲役にする必要があるとするような極端な結論になってしまう。一部の企業の経営者である篤志家が社員として受け入れていると聞くが数に限りはあるようだ。刑務所内での矯正が正しく行われたとして、その後の更生について適切な施設が必要になるだろう。そんな機関を税金を使って造る必要はないというのはもっともな話であるが、勤労は国民の義務であるから、義務を果たせないのは国の責任ということも言えるかもしれない。どんな考え方があるかは今後調べてみることにする。


なかなか保護司の話まで辿りつかない。

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