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2013年1月31日 (木)

ニコンの請求を棄却 特許侵害訴訟で東京地裁

一眼レフカメラ用交換レンズの特許を侵害されたとして、ニコンがカメラ・レンズメーカーのシグマ(川崎市)に対し、約114億円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(大須賀滋裁判長)は1月30日、「特許侵害は認められない」としてニコンの請求を棄却した。ニコンは控訴する方針という。ニコンは手ぶれ補正機能を搭載した交換レンズについての2件の特許を侵害されたとして提訴した。ニコンの主張は、レンズの手ぶれ補正機能に関する特許で、シグマの交換レンズ6製品が侵害しているとしたが、大須賀裁判長はこの特許について、「別の発明を組み合わせることによって容易に発明できたと認められ、無効とするべきだ」との判断を示した。審理は特許ごとに分離され、別の1件については審理が続いている。


特許は組み合わせによって構成されているのが普通で、専門家なら容易に発明できるというのも特許審査結果の常套句ではある。裁判所がそう判断する程度の容易推考性があるのだろう。特許はちらっと見たが、どこが容易かの判断は付かないから金額について考えてみる。なお、シグマはシグマ光機(7713)とは別会社である。光学部品を扱う会社なので紛らわしい。

特許を侵害したことで失った利益を請求しているのだから、まず売上がどの程度あるのかを確認する。シグマは株式を公開していないので、ホームページの情報しかない。売上と経常利益を示す。さらに、比較に用いたカメラ会社は、カメラ部門が属するセグメントの売上と営業利益、全社の売上を示す。単位は百万円である。

■カメラ会社各社の当該事業売上・営業利益・全社利益 【単位:百万円】
会社名      部門売上   部門営業利益  (全社売上)  決算期
シグマ       28,378      2,543       ―    '12年8月期
ニコン      587,127     53,971     ( 918,651)  '12年3月期
キャノン    1,312,044    211,294     (3,557,433) '11年12月期
富士フイルム  322,706     -3,981     (2,195,293) '12年3月期
オリンパス    128,561    -10,760     ( 848,548)  '12年3月期
カシオ       215,327     14,643     ( 301,660)  '12年3月期
パナソニック  1,713,500    -67,800    (7,846,216)  '12年3月期
ソニー      3,136,800    -229,800    (6,493,212)  '12年3月期
リコー       136,100     -4,900    (1,903,477)  '12年3月期
*: リコーはペンタックスを含む。シグマは全社売上で、営業利益は経常利益

シグマの売上が283億円で、今回の訴訟の請求額が114億円だから簡単に妥協できる金額ではない。日本では懲罰的損害賠償は認められないから、遺失利益の金額の算出額としては少々高い。シグマで行っている事業で手振れ補正の機能がついたレンズが対象となるが、シグマはレンズのOEM製造もあると聞く。請求額は高そうだということでお終いにする。
他社の売上はばらついているが、これは販売台数によるものではなく、もっぱらセグメントの設定の仕方に依っている。例として、パナソニックはテレビ、ビデオカメラの売上も含まれている。営業利益が出ているのは、ニコン、キヤノン、カシオであり他は赤字になっている。カシオはレンズ交換型のカメラを作っていない、つまり、安いコンパクトカメラで利益を出しているのはすごい。と思ったが、このセグメントには時計が入っている。なかなか難しい。
カメラ映像機器工業会の発表資料によると、2011年のカメラ出荷売上は 1,165,538百万円 (114,625千台)である、2012年は11月までで、1,117,259百万円 (95,740千台)である。平均単価は1万円強となる。海外メーカもあるだろうが、圧倒的に日本企業が強い領域なので世界市場は1兆円を超えるレベルと思って良い。ただし、これには交換レンズは含まれていない。なんだか深みにはまって行く感じがある。
国内の市場シェアを参考に示す。BCNのランキングで2012年10月のものである。

■国内市場シェア(BCNランキング2012年10月)
会社    コンパクト レンズ交換型
ニコン    19.2     27.7
キヤノン   17.0    26.7
ソニー    16.2    15.5
カシオ    12.9     0
オリンパス  9.9    13.6
パナソニック 9.9     7.9
富士フイルム 9.8     -
リコー     3.5     8.4
その他     1.6     0.2

ニコンとキヤノンがレンズ交換式で強い。コンパクト型は平均単価が7,500円程度まで下がっているから、高価格の製品が多いレンズ交換式に力を入れたいところである。なお、単価は出荷価格だから小売り価格ではない。念の為。
こう安くなって機能も強化されると売れそうだが、出荷数が2010年の121,767千台をピークに減少している。スマートフォンを含む携帯電話のカメラで間に合うから要らないという事情になっているようである。どうもこの小さな道具がほうぼうに迷惑を掛けている。通信ツールのおまけ機能が、もっぱら写真を撮るだけの道具に近い性能だというと売れない。性能差はあるのだが、あると出るは違うものである。これを利用者の腕と呼ぶ。差が見え難いとうのは悩ましい。これを技術の進歩としてやってきたのではあるが。


ライカ一台が家一軒の時代は商売し易かったのではないか。そんなことを言っても仕方ないが。

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