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2013年1月 7日 (月)

「手抜き除染」横行

東京電力福島第一原発周辺の除染作業で、取り除いた土や枝葉、洗浄に使った水の一部を現場周辺の川などに捨てる「手抜き除染」が横行していることが、朝日新聞の取材でわかった。

除染作業はエリアを限定したもの(学校の校庭限定など)であれば実施可能だと思うが、広い範囲で実施するとなると難しそうだと思っていた。予想した通り、不適切な作業が行われていたようである。
福島第一原発から放出された放射性物資量は、過去の発表からすると約3kgが放出されたと考えて良いようだ。放出された放射性物質は半径30kmの範囲に拡散したとする。拡散したエリアの面積は、海が半分あるとして約1,500km2となる。全てで表面の1cmを取り除くと、土の比重を2として総量は3.0E+06トン(300万トン)となる。出来るだけ元の状態に近くしないと効率が悪すぎる。
焼却によりカサを減らすのが合理的だ。焼却時の拡散の対策を要するが現実的だろう。特に植物の葉に付いたり取り込まれたりしたものには効果的である。しかし、落ち葉は一年もすれば腐葉土化するから、土の放射性物質が混ざってしまうと上記の表面そぎ取りを実施するよりなくなる。いろいろと回収方法に研究があるようだが、大量処理を前提にすると難しい。強酸を大量に使う方法は理論的にはその通りでも、他にいろいろな問題が出る。この手の詐欺も出ているようだ。世の中が注目するとことには金の匂いがあるようだ。
葉が腐ったり、川に流れ込んだりする前に処理したかったが、いまさら言っても仕方がない。洗浄水も回収する必要があるが、量が多ければ難しい。ゼネコンの下請けが活動しているのは、これだけ規模の大きな仕事を受けられる企業が他にないからだろう。
除染前と後の放射線量の測定は作業仕様に盛り込まれているのだろうが、放射線量は分布が大きく、作業前を高い場所で、作業後を低い場所で行うことも可能であり、作業検証には相応しくない。広い範囲を一括で測定する技術が最適なのだが、放射線量が低いところの除染に使うのは適当な機械がないだろう。作業内容として、何を、どのような状態にするかが明確でなく、広い範囲をすべて洗い流して、流したものはすべて回収する、というすべてが多い作業で、そのすべてはこぼしては駄目とされたら、行き詰まりは必然である。少しこぼれるのは仕方ないという現場ルールが出来れば、だいたい回収すればよい、負担になるものは回収しなくてもよいと移っていくものである。第一、回収したものの行き場がないのだから、指示通りに行えばその先で作業停止となるのは見えている。
今回の報道で、どんな作業状況なのかは詳しく載っていないが、水を使って洗い流すのなら面積は限定的でなければ回収はできない。原発周辺といったもいろいろあるだろう。洗い流して回収しても処理しきれない事情もあるのだろう。そもそも何の為に除染が必要なのか。そこで作業ができない線量レベルがあるから作業環境の改善の必要があるのか。そこを指摘しないと、そもそも必要な作業であったのかが見えてこない。一般の住宅エリアの除染として行った例で問題があったのなら、緊急性があったのか疑わしい。元居た場所に帰りたいと言う気持ちは分かるし、実現させたいと思うが、出来ないこともある。

除染という響きの良い言葉に酔っているのは政治家かマスコミかしらないが、広域で行うのは放射性物質の集積作業なのである。集積の後には処理施設がいる。処理施設といっても放射線を出さなくする訳ではなく、外に漏れないようにする、もしくは、移動制限をして管理するというだけの話である。集約して濃縮ができれば管理負担は小さくなる。なんといっても元は数kgのものだ。原発から少し離れた場所で、あれば除染するより時間を待つ方が良いという判断もあるだろう。30年すれば半分になることが約束されている。それを無責任と言うのは簡単だが、出来もしないことに大量の資源を投入することも無責任な話である。
除染などときれいごとを言っていないで、回収作業と言えばよい。薄く広がった有害物質を集めることの困難さはこちらの方が正しく伝える。ここには住めないと宣言することで非難されるのが怖い政治家と、全ての人は等しく暮らせなければならないと表紙を飾るマスコミが綱引きをすれば、ゼネコンが帳尻合わせの作業をしてくれるというのか。少なくとも、政治家かマスコミが違う選択を取れば、ゼネコンが悪役になることは避けられる。ゼネコンには悪役になった代償として、相当な工事受注が約束されている訳でもあるまい。作業の現場を批難するだけでは何も変わらない。


遅々として進まぬPCB処理に似ている。

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