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2013年1月12日 (土)

電車でのベビーカー理解求めるポスターの波紋

首都圏の鉄道24社と都は2012年3月、利用者に呼びかけるポスター約5,700枚をJR東日本や私鉄、地下鉄の駅に張り出した。この列車でのベビーカー利用に理解を求める鉄道会社や東京都のポスターに、批判が寄せられている。車内で通路をふさぐなどと苦情があり、鉄道会社はマナー向上の呼びかけに力を入れている。(朝日新聞:2012年8月26日)


1月12日の記事は上記と内容はほとんど同じで、再度提言をしたものになっている。朝日新聞はこの手の話題がお好みのようだ。ベビーカーを持って混んだ電車に乗りたいとは思わないし、小さな子供を混んだ電車に乗せるのも親としては嬉しくないだろう。乗らなければならない事情があっての話であるが、会社勤めの社会人にしても、こんなに混雑した電車になど乗りたくないという気持ちは一緒である。ということは、自分たちと異なる者が入ると拒絶反応を示すと言うことらしい。ところで、と話を少し広げて考えてみる。

ベビーカーのエスカレーター使用は禁止であると、日本エレベーター協会は警告している。公共交通機関は、段差をなくして、エスカレーターやエレベーターを敷設するようにしている。大きな駅では両方が用意されているが、小さな駅ではどちらもない駅もある。バリアフリー新法(2006年)の効果もあるようだ。この法律の第1条には、
この法律は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性にかんがみ、公共交通機関の旅客施設及び車両等、道路、路外駐車場、公園施設並びに建築物の構造及び設備を改善するための措置、一定の地区における旅客施設、建築物等及びこれらの間の経路を構成する道路、駅前広場、通路その他の施設の一体的な整備を推進するための措置その他の措置を講ずることにより、高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。
とある。高齢者や障害者が日常生活(当然、外出もするだろう)をすごしやすくするということである。ベビーカーでの移動も広く解釈すればこれと同様に解釈して良いだろう。
別の視点から、障害者雇用促進法を考える。この法律は下記を規定している。

障害者の雇用を促進するため事業者に対し従業員数の一定比率(障害者雇用率=民間1.8%、国地方2.1%)を障害者とする ように義務づける 。
障害者雇用率を達成できないときは、身体障害者雇用納付金 を徴収する一方、一定比率以上の障害者を雇用する事業者には、調整金を支給する 。

実際の状況はどうかというと、民間企業の実雇用率は 1.69% と下回っている。国地方は法定雇用率をおおむね上回っているようだ。民間は過去最高というから良い話である。しかし、問題も感じる規定になっている。すべての会社で等しく障害者を雇用するのは理想的であるが、超過雇用する企業があれば、未達の企業も出てくるというのが普通の話である。未達の企業を非難するのは簡単だが、妥当でない可能性は高くある。企業の業務による事情であるか、差別意識なのかということにもつながってくる。2006年に採択された「国連障害者の権利条約」では、「あらゆる形態の雇用に係るすべての事項に関し、障害を理由とする差別を禁止する」とされている。その先には、障害者差別を法で禁止すべきか否かという議論が待っている。これは、非常に難しい問題である。
自分が選択しえない要素によるものは差別で、選択し得る要素によるものは区別と考えるとしよう。性別、年齢は差別になり、学歴や資格なら区別である。歩くのが不自由なら、前者として良いだろう。差別をすることを法律で禁止するとなると、仕事ができない部下(これは区別の範囲だろう)を迷惑な社員だと思うこと(そこまでならOKか)、それが言動として出ること(こっちはNGか)が違法行為になる。しかし、仕事が出来ない社員は、利益集団にすぎない民間企業にとっては放置できないから、解雇したいと思ったら、前の言動により差別的な行動をする企業になって制裁が下る。それならばと、怪しそうな社員は雇用することがないように、より差別的な行動をその企業が取る可能性もある。こっちは実害がないからペナルティは小さいだろう。なぜか、差別をなくそうと規制したら、地下に潜伏するような話である。
乱暴な表現を承知で言えば、差別慣れしていない国では、法律で縛るのは難しい。そうはいっても差別をなくす努力をしないと、よくないことが色々なところで出てくる心配がある。差別が無いゴールはどこかと考えたとき、それが個性として両者が理解する状況であると考える。障害があろうが、年齢、性別、国籍が違ってもそれは、わたしとあなたの違いと思えれば差別はない。当然能力差はあるから、区別はあるだろう。それに不満を感じることも沢山出る。しかし、それは区別である。そんな国を目指したいと思うのなら、金をばらまくことだけでは解決しないのは当然である。少しずつ、できることを進めるしかない。右側の位置にいる人も、左側の位置にいる人も、志が低いように思えてしまう。それが全てでないのは当然だが、声のでかいやつに限って物を考えないのは困ったことだと思う。

最初の話にもどって、ベビーカーを使う必要があれば電車に乗れば良い。舌打ちする人もいるだろう。辛い思いもするだろう。乗らなければならない事情を改善したいのなら、乗ることからしか変わらない。あえて付け加えれば、みんながみんなそう思っている訳ではない。


脱線して終わるのは良くない傾向である。

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