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2012年12月26日 (水)

インサイダー取引規制をめぐる制度整備

金融審議会「インサイダー取引規制に関するワーキング・グループ」(座長 神田秀樹 東京大学大学院法学政治学研究科教授)においては、平成24年7月より、計7回にわたり、情報伝達・取引推奨行為に対する規制等について審議を行ってきた。これらの審議を踏まえ、報告書(「近年の違反事案及び金融・企業実務を踏まえたインサイダー取引規制をめぐる制度整備について」)がとりまとめらた。なお、本報告書は、今後、金融審議会総会・金融分科会において報告される。(金融庁:2012年12月25日)

報告書では、公募増資の主幹事証券会社などが不正取引を行わせる目的で未公表の重要情報を漏らし、実際に行われた場合、課徴金処分の対象にする。現在は情報の受領者だけが処分対象で、海外投資家を中心に「情報を提供していた側の責任を問えないのはおかしい」との指摘があった。顧客の資産を運用し、実際に不正取引を行った機関投資家に対する課徴金額も、大幅に引き上げる。現行の課徴金は不正の対象になった取引の月額手数料の一部だが、少なすぎるとの批判があり、手数料の三カ月分にする。

企業が幅広い投資家から資金を集める公募増資は、株式市場で重要な情報の一つである。その情報を公表前に入手したインサイダー取引が横行すれば、市場の信頼性が失墜する。その結果、流入資金が減少して、公募増資が機能しなくなる。資金調達に支障が出かねない。
証券会社や機関投資家に、利益優先でルールを軽視する体質があるのなら規制で縛りをきつくするよりない。自分たちのシマのルールを守らないようでは誰も金を持っていけない。シバリの緩さを、海外の投資家は、日本市場の規制の甘さと指摘するのだろう。金融庁は欧米諸国と比べても遜色ない規制にすることで、投資家の日本市場離れを食い止める狙いがある。
米国では株式の売買は不安定で、ギャングが投資先にしないと聞く。日本で株式市場が魅力的な投資先になっているのは、正しい情報(儲かる情報なのだが)が、早くに特に選ばれた人達に入ると疑ってしまっているからだろう。公募増資は一般に儲け話と理解されているが、儲からないこともあるのが相場の世界である。なんとなく儲かると思う心情的な理解は、インサイダー取引が日常的の行われていると一般の人が感覚的に理解していることの表れなのだろう。
怪しい所業は誰でも許されないが、市場の発展が自分たちの利益につながる証券会社が情報を漏らすようでは市場の秩序は保てない。昔話であるが、株屋は人の知らない情報を仕入れて売買を行い、先物屋は誰もが知っている情報で売買をすると聞いた(出典不明、真偽も不明)。これに従えば、先物屋はギャンブラーであるが、株屋は盗人になる。自分のシマのルールが守るのは、堅気でも任侠でも当然のことだろう。シマの秩序維持には譲れない要件だ。これまでの日本の株式市場には、堅気も任侠も参加せずに、株屋だけが居たということなのだろうか。そん中に一般人が投資家気取りで入っていけば、狼の群れに羊が入るようなものである。

規則を見直すのは結構なのだが、これを監視するのは誰が行うのか。これまで通りでいくなら人員が不足することが生じないのだろうか。ペナルティーを重くするのが犯罪抑止につながるとするのは、素朴な考えではあるが、上がりが大きいならリスクを冒すが株屋の感覚ではないか。適切な組織の拡充もセットにしないといけない。それとも、今まで沢山あげたけれど罰することができなかったということか。取引は電子化されて記録を見るのは容易になっているが、情報のやり取りをどのように行ったかは、その道に長けた犯罪捜査の経験者が必要である。これは金融庁の領分ではない。最低限の秩序構築が金融庁で、その維持は犯罪になるなら司直の手に委ねるということか。

これも昔の話だが、証券会社が君にだけ情報を与えると思ってはいけないと投資の本に書いてあった。証券会社の営業は、そんな情報があれば会社で動かすし、個人でも売買する。今にして思えば、例えば株式公開にあたって主幹事会社が持ている情報は、その部門で適切な管理を行い漏洩してはならないものである。営業部門は一般投資家が入手可能な情報によって売買しなければならないとすれば、特別な情報を持っていることはあってはならないことになる。昔の本にあったのは、インサイダー情報は証券会社にないということにとどめを刺す。株屋は怪しい商売と思われていた時代である。現在でもあたっている部分があると思うのではあるが。


インサイダー取引は簡単に見つかるという説明が、一般投資家へ不足しているように感じる。

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