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2012年12月30日 (日)

自動車損害賠償責任保険の保険料値上げ

金融庁は、自動車やバイクに乗るすべての人に加入が義務づけられている自動車損害賠償責任(自賠責)保険の保険料を、来年四月から十数%値上げする方針を固めた。交通事故でけがをした人に支払う保険金が想定より増えているためだ。値上げは二年ぶりである。
自賠責は2002年度以降、事故が減って黒字が続いたため、2008年度に保険料は三割近く下げられた。だが、むち打ちなど後遺症が残った人への保険金の支払いが想定よりも増え、2010年度に累計で赤字に転落し、2011年度に保険料を平均11.7%値上げしたが、追いつかず、2012年度末には赤字額が5033億円に膨らむ見通しとなったため、値上げに踏み切ることとなった。

自賠責保険の特徴は、
(1) 法律によって、 自動車、バイク、原付を使用する際に強制的に加入が義務づけられている損害保険で、自賠責保険契約に未加入、または有効期限切れで車を運行すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。
(2) 自動車事故により死傷した被害者の保護救済を図ることを目的としていて、物損事故には適用されない。
(3) 被害者保護の観点から、公的な要素の強い保険で、補償は必要最小限で、たくさんの請求を迅速かつ公平に処理する為に支払基準は定型・定額化されている。
ということがある。強制保険と言われるのはこれらの理由による。
また、自賠責保険は、被害者の救済を目的とした社会保障的な性格を有する保険であるため、保険料に利潤は含まれておらず、保険会社の利益は発生しない。逆にいえば、保険会社が損をする契約は成立しないことになる。紹介した保険料の値上がは、保険会社が儲かっていれば、損するときもあるという論理が成立するが、儲けが無いなら損する道理もまたないこととなる訳である。

利益目的の仕事ではないとなると興味は正しい運営がなされているかになるが、それを議論するに相応しい事例は探せば出てくるものもあるだろう。不正請求だとか、適切な支払がなされていないとか、事件になったものもあると思う。しかし、被害者の救済目的であるので、全体としてどうかという議論にしなければならないが、妥当なレベルにあると信じることにして終わるとする。
ふと気になったのは損害保険会社の経営状態である。最新の比較データを集めるのに手間が掛ったので、少し前のデータになるが上位十社の収入保険料とシェアを下に示す。

2010年3月31日現在
順位   企業名      収入保険料(億円) シェア
1   東京海上HD      2兆2,929  36.2%
2   MS&AD         1兆3,941  22.0%
3   損害保険ジャパン     1兆2,909  20.4%
4   日本興亜損害保険     6,450  10.2%
5   富士火災海上保険         2,705   4.3%
6   共栄火災海上保険         1,588   2.5%
7   トーア再保険           1,439  2.3%
8   ソニーフィナンシャル        681  1.1%
9   セコム損害保険           371  0.6%
10   朝日火災海上保険        368   0.6%

MS&ADは、MS&ADインシュアランスグループHDのことで、あいおいニッセイ同和、三井住友海上を傘下に持つ。上位四社で九割近いシェアを持つ。
そういえば、タイの洪水被害にあった日系企業の支払いによって、損保会社の業績に影響したことが記事になっていたと記憶する。タイ工場の損害保険がどうなっているかを調べてみたら出てきた。
タイにある企業で水害に関して無保険状態になっているという。理由は損保が更新しない為だという。

内容は、
『ホンダや東芝など、2011年のタイ大洪水で被災した日系企業の工場で、水害に対して無保険の状態となる事例が相次いでいる。多額の補償金が発生、損保会社が保険の更新時に水害を対象外とするようになったためだ。防水壁などの対策は進んでいるが、当面は被災した場合の補償を得られないというリスクを負うことになる。
昨秋の大洪水では日本企業が多数工場を置くタイ中部アユタヤ県のロジャナ工業団地などが浸水。ホンダは12年3月期に災害損失を234億円計上、関連する保険収入を217億円得た。
こうした洪水関連の保険金の支払いが日本の損保26社で同3月期に総額約5000億円に上ったことなどで、ホンダの被災工場は水害を補償する保険契約を結びにくくなった。住友金属工業、オムロン、ミネベアのほか、パイオニアやフジクラなども無保険状態となっている。東芝は現地の工場のうち九ケ所に及ぶ。
このためタイ政府は七月末から公的保険を本格販売し始めた。ただ保険料率が高く、補償範囲も資産評価額の三割程度にとどまるため、九月前半までで加入済みの保険料総額は1億バーツ(約2億5000万円)強と想定の200億バーツを大きく下回る。』
とある。2012年9月の記事である。

上記の事例で、ホンダで被害額の九割を超える支払になっているからフルに支払ったということだろう。掛け金を翌年から上げるのが定法だが、タイの護岸工事が十分になされたとは言えない中で、大手の会社は工場稼働再開をしているから、損保会社は契約を留保するよりないというところだろう。タイの政府系の機関に損保を結ぼうとしても、日本の会社の補償内容と料率のバランスにならないから結ばないだろう。理由は単純で、タイと日本で人件費が十倍違うから、現地の保険対象も同程度差がある。日本基準で契約すると、金額の相対的に小さなタイ企業の中で突出することになり、支払体力に掛けるということになるのだろう。タイは分が悪く、日本は結ばないから無保険になる。そして当然、現地は災害リスクが高い。
となると、日本の損保企業の経営状態に関心が向く。
それは今年最後の調べものとして行うこととする。


損保会社が随分と減った。三井住友海上も上に別のHDがある。財閥の名もここにはない。

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