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2012年11月30日 (金)

土木業の再生

自民党は衆議院選の選挙公約として、東日本大震災の被災地の復興の加速と、国土強靭化を掲げている。全国の土木建設業は悲惨な状態というが、自民党の政策で回復するのか考えてみる。


公共事業の予算は1990年代半ばに比べると、ここ数年は半分になっている。地方の業者(面倒なので、以下土建屋と称する)は、事業規模の縮小によって、事業の大幅な縮小や撤退を行っている。この企業行動は当然である。しかし、市民生活への影響が数年前から出始めている。例えば、市町村が土建屋と災害協定を締結する。
この災害協定は、自然災害発生時に応急対策を行うことを目的にしている。応急対策は、事故の拡大を防止し、速やかな復旧を促すと考えれば良い。災害協定は、支払が早く、金額も言い値に近いと言った、条件が良いことが企業側のメリットである。自治体側は災害に対応する設備を有するのは負担が重いことから、身軽に緊急対応が可能となることが大きなメリットである。協定を結ぶ必要があるのは、災害時に特定の業者に発注することが問題になる可能性があるから、事前に条件を決めて置く必要がある自治体の仕組みに寄っている。協定を結んだ企業は無理をしてでも対応するのが普通であり、時には持ち出しになることもある。
土建屋にメリットが多いと思われる災害協定を結ばない(結べない)企業が出始めているという。数年前から地方紙で話題になっているが、最終的には締結しているようである。土建屋の体力が著しく落ちていることが原因である。
行政側にも問題がある。東日本大震災で露呈してが、工事関係の資料作成を担当できる職員が少ない。地方の工事予算がピーク時の1/2以下になっていれば人員も1/2以下であるのは当然である。資金を国が出しても計画を立案出来ないし、競争入札案件になれば段取りと含め対応が付かない。国の復興予算が色々なところへ流用される背景には、消火不良を起こしている現地の深刻な事情がある。国や、被害の無い県からの人員派遣も行っているが、こちらも人員に余裕がないのだから数に限りがある。半分になった人員で十倍の予算を消化しろと言われても無理がある。応援人数は、現地職員の人数程度が最大であろう。おまけに、企業も行政機関も被災した社員・職員がいる。
行政側は予算があれば人員を増やすだろうが、土建屋は一時のことなら社員は増やせない。二十年で半分になった仕事を、予算を増やすからという言葉を信じるほどお人好しではない。そもそも次の選挙で負ければ変わる政策である。五年したら解雇できる社員はいないし、計画的な教育訓練が達成されない。これはどんな仕事でも同じである。

自民党の発表した公約は、地方の土建屋に金をばらまくものだという非難がある。一面ではその通りである。しかし、金をまいても土建屋は一時良くなるがそれで手仕舞いにするのではないだろうか。倒れそうな企業を救うことになるが、その企業は事業を引っ張らずに周りに迷惑を掛けないように撤収するのが、古いタイプの会社の仕来りである。災害に強い国土を再構築するなら、企業が継続することを目指さないといけない。それには大きな投資より、継続的かつ計画的な投資が約束されることが重要である。全国に適切に分布し、災害発生において業務を行う際に連携可能な組織を期待することが目標となる。それを古い土建屋の談合体質が担ってきたが、効率を旨とする新自由主義的な考えでは非合理と排除される。局所的な利益は自由競争至上主義に旗が上がるが、リスクヘッジを含めた総合的判定では答えが異なる。金をまけば良いとする発想は古すぎるが、競争入札がすべてを解決すると考えるのは素朴過ぎる。
そもそも、土木や建設の世界では狭い専門領域が存在して、あの会社でないと出来ない仕事が今でも残る。それは工事からすれば部分に過ぎないがそれがないと完結しない。ならば、その会社は存続しなければならないが、そんな狭い専門領域では企業は維持できない。よって、汎用性の高い仕事もするが競争力は乏しい。会社が潰れると他の会社が困るから、都合が付くよう相談する。これを談合と呼ぶ。
談合でろくでもないことも沢山するが、なしにすると困ることが出てくる。誰が考えるかというと、組合に求めるよりない。これが世に言うところの談合の巣窟である。
最近の自民党議員は案外知らないのかもしれない。民主ならもっと知らない。土建屋が説明するのは談合を認めることだから苦しい。そして、災害が発生するとそこに暮らす人はもっと苦しくなる。


発表する側も、読む側ももう少し知恵をつかったらどうか。意思ばかりで理性が乏しい。

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