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2012年10月 3日 (水)

原発再稼働

原子力規制委員会が原発再稼働の最終判断をしないと表明している。その役割を負っていないという判断で、科学的な見地から安全基準を満たすか否かを確認するとしている。原発稼働の是非について、判断した責任を押し付けられたは敵わないし、これほど大きな利権が絡めば生命の危険さえ感じることだろう。

そもそも、福島第一原発の事故についての統括と、今後の法整備についての議論が尽くしていない段階で再稼働の話が出るのがおかしい。事故のトリガーが地震とそれが原因で発生した津波であることは異論がないだろう。原発の津波対策が不十分であるとか、電源系の未整備があったといった、設備面の話は何度も話題になっている。原発の製造物責任の扱いが日本に不利になっているという指摘も雑誌で話題になった。原子力村の利権構造が透明性を失わせて、事実を歪んだ形にして外部に説明しているという話もあった。電力会社が電気料金の算出に、不適切な内容を電力コストに入れているというのも何度も聞いた。これらの話は議論をして改善して欲しいものだと願う。
その上で、仮定の話をしてみる。

ある電力会社が原発を有して稼働させている。この原発で働く社員に不心得な者がいて、約束違反の動作を行った。そして、それが原因で放射性物質を外部に放出する事故が発生した。事故による被害は、除染費用が1兆円で、周辺の移転や休業補償にも1兆円が見込まれた。この電力会社の売上は年1兆円で、営業利益は近年5%程度で推移している。

この電力会社は倒産するだろう。しかし、地域独占の電力会社が活動を停止すると国民生活に大きな影響が生じるので会社は存続する。事故を起こした社員とその上司への責任追及は経済的には意味のない話でしかない。電療供給維持を錦の御旗にして、国が税金を投入することになる。事故の原因が天災に因るものであっても、社員のミスであっても国が補償する。

原発で利益を出すなら、その設備と運転は電力会社のもの(リースでもよい)でなければならない。事故の対応を考慮して、保険会社に対して損害保険を掛けておくのが現実的だろう。電力会社に適切な料率で掛け金を支払い、事故発生時は保険会社からの支払金で処理することになる。上記の例では、2兆円をカバーする保険が必要である。
損保最大手の東京海上日動の連結売上は3兆円を超えるレベルである。損保一社では引き受けきれない。損保がデフォルトして、国の資金が入る図式は有り得るだろうか。もう少し工夫が必要なようだ。その仕組みは思い付かないが実現したとして、料率は誰が決めるのか、原子力規制委員会の決定を参考にするのだろうか。その決定に誤りがあれば東京海上日動は委員会相手に損害賠償訴訟を起こすかもしれない。委員会が負けたら国が税金で支払うことになる。

原発を運用しようとすると事故発生時には国に頼るよりない。それなら原発の所有権は国で、運転は電力会社へ委託する(運転費用は国に請求する)、発電した電力は独占的にその会社に売ることを約束し、発電で生じた利益は国へ、損益が生じた場合は折半とした運用をするしかないだろう。

所有権と、所有物から生じた損害賠償は直接的に結び付いていなければならない。この原則を歪めて運用していくと問題処理が複雑になる。単純な図式が求められる。それを済まさないで進めるのは、対策を施せば未来永劫事故は起きないという新たな神話を語る作業に過ぎない。

現場は上を見て仕事をしない。有事にオロオロし菅直人が悪影響したにしても、それだけの話だ。

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