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2012年10月31日 (水)

放射性物質の人体への影響

放射性物質の人体への影響について様々な意見がある。どの見解が正しいかを判断するのは難しい。先の震災で発生した原発事故で、放射性物質の健康への影響が大きいと考えることが理由となり、原発反対の意見が大きくなっていると考えて良いだろう。健康被害の心配とは、どういうものかを考える。

福島第一原子力発電所で放射性物質が放出される事故が発生した。放射性物質が健康を害する危険性、高レベルであれば死に至る危険性、程度が低くても癌の発症の危険性が高くなることが心配された。この事故発生の直後から、政府を中心に情報を公開したが心配を払拭するには十分でなく、理解するのに必要な情報や知識や情報を伝える側も受ける側も持っていなかったことでより混乱を大きくした。このときしばしば用いられた、
「ただちに健康に影響が出るものではない」
という表現も非難の対象になった。この表現が事実を隠蔽しようとする体制側の情報操作のような話があったが、それはどうかと思ったものである。健康に影響が出ると判断している範囲にあれば、健康被害が心配されると発表する。逆に日常生活で被爆する程度の放射線であれば健康への影響は無いと発表する。この二つの領域には距離があるので、隙間ができてしまう。この隙間での影響に上記の表現を使ったと考えれば良い。これは一種の科学用語であり、日常的な言葉に直せば、
「健康への影響は分からない」
となる。判断の付かないものを危険と言うのも、安全と言うのも、科学の世界とは違う世界の言葉の使い方である。予防的に回避しようと政治的な判断をするのは理解するが、それが容易でないことも想像がつくのも同じくらい理解する。その間で、政治や役人が揺れ動いたとしても不思議ではない。同情はするものの、それが仕事であるのだからやりなさいと言うよりない。こんなに大変だと思わなかったと職場放棄する者を、職業選択の自由を根拠に擁護する必要はない。

さて、健康被害の判断がつかない範囲が狭ければ意思決定の停滞は発生しないこととなる。人体に対する放射線被爆の影響についての過去の調査が、ヒロシマ、ナガサキでの原爆投下によるものによっていた。なぜ、スリーマイル島でもチェルノブイリでもなく、ヒロシマ、ナガサキなのか。
スリーマイル島(1979年)は外部への放射性物質の放出がそれほど大きなかったことから福島の比較として参考にならない。チェルノブイリ(1986年)は大量の放射性物質を放出した事故であるが、当時この原発を管理していたのがソビエト連邦であり、情報の公開は期待できなかったし、今日のロシア(チェルノブイリはウクライナ)においても当時の記録の公開は難しい。そもそも記録が正しくなされたかの問題にまでさかのぼることになる。つまり、適当な比較例を持たないと考えるよりない。

福島第一原子力発電所が放出した放射性物質の生物への影響について、科学的に判断するに相応しい情報を持たないと考えると、現在の人間は将来の為に何をすべきなのだろうか。
原発周辺の牛(乳牛、肉牛とも)は汚染が確認、または疑われたものは殺処分された。殺処分されるのは生かしておいて放射性物質の混入が心配される糞尿の処理や、汚染牛の流出を考えたときに経済的な負担が大きくなり殺処分を行うのが適切と判断したのだろう。そもそも牛は営農として飼育されているのだから、経済損失を弁済することで処理することに馴染む。ここには、牛を殺すのは可哀想だとする情緒的な言葉は似合わない。
酪農用の牛は情報管理がなされている。生まれや親牛に関する情報も分かる。
牛の寿命は20年程度と言われる。乳牛用では牛乳の出が高い期間(3から4回の出産まで)飼育しその後は肉牛用になり、肉牛用では30ヶ月前後で出荷される。乳牛としても食肉用としても適さないなら、放射性物質で汚染された藁を食べた牛は、その後も可能な限り同じ物を与えて牛への影響を見る動物実験を実施すれば良い。比較用の牛も必要で、同じ環境で飼育する必要があり、大型動物の飼育は専門家が必要なことから費用負担が大きく一般的な動物実験より費用負担が大きい。しかし、この作業をしなければ百年後の将来への警告を得る機会を失うことになる。再びどこかで事故があったとき、ヒロシマ、ナガサキの話をしなければならない。
分からないことを認識して、分かるようにするのが科学である。

科学的な手法と姿勢を放棄した先には、思い込みと感情で支配された世界しか待っていない。
動物実験には管理された個体が必要なので、ペットとして飼われた犬猫は適さない。ある程度の数が必要なことを考慮すれば牛は履歴管理もされていて最適であった。この案は知り合いを通じて農水省の関係者に質問したが、国では動いていないが県でいくつか動いているとの認識であった。有益な結果がでることを期待したい。


食肉用では鶏肉は50日、豚肉は180日、牛肉は900日(30月)で出荷される。食用家畜の愛護とはどうすることなのか。

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