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2012年10月21日 (日)

古い自動車

本日、自動車で移動中に古いクルマを見た。後ろからの遠目ではアルピーヌかなと思ったが、もう少し大きなクルマのようだった。

間にあった数台のクルマが曲がっていき、片側二車線の道路で横に並ぶことができた。近付いたときにフェラーリであることは分かったが、1970年以前と思しきクルマは名前が思い出せない。フェラーリを名乗るのは12気筒で、シリンダー当りの容量が車名になっている時代であることは記憶にある。所謂デイトナと呼ばれるより前であるから、1960年代だろうというのは推定できた。だんだんとあやふやな記憶が整理されてきて、1950年代ものではないと判断するに至った。
坂道で後ろについて覗き込むようにトランスアクスルか確認しようとしたが、マフラーが両側から大きく出ていて見えない。そこで分かったのはハイトの高いタイヤであることだけだった。12発の咆哮を聴けるかと思い、ラジオを切って窓を開けたが静かに走っていて特に変化はない。そんな状態を10kmに渡って後ろになり、前に回りして過ごした。途中、横を確認しないで車線変更した軽自動車があり、フェラーリの前のクルマに衝突しそうになりドッキとした。この時代のクルマのブレーキは弱い。幸いにして誰も接触することはなかった。

この時代のフェラーリのデザインはピニンファリーナである。安全基準が今日とまったく異なるから、ドアは薄いし、前からでも横からでも衝突したらドライバーへの影響は避けられないと思われる。しかし、この装備の少なさは軽さをもたらし、動く姿からもそれは窺える。
1960年代までがクルマが選ばれた人達の道具であった時代で、1970年代からは社会的な存在として誰もが使う道具へ変貌していった。その結果、便利で安全で快適な道具として進化した。排ガスデバイスのない時代のクルマの排気ガスは匂いが異なる。健康に良くない成分も含むことだろう。こんなクルマが百万代この国の道路を走ったら環境への影響は大いにあるだろう。しかし、百台が走ったところで影響は知れている。街にプリウスがあふれる姿より、古いフェラーリが混じって、少し古い国産車も走って、という状態が街は楽しい。

フェラーリをドライブしていたのは六十歳くらいの男性であった。助手席に人はなく、スピードも控えめで、車間も十分とっていた。関係者の価値判断としては走る文化財であるから当然のことともいえる。再び見ることもないであろう貴重な時間を過ごした。
先ほど調べたら、275GTBであることが分かった。それ以上のことは分からない。

欧州では古いクルマに文化的価値を認め、税金の免除があると聞く。オリジナルで改造のないことなどの条件が付くようだが価値のあることだと思う。多くの人にとっては、自分の家で初めてきたクルマとか、自分が最初に購入したクルマとは、これは当然平凡なクルマであるが、これのほうが気になるものである。ピニンファリーナのフェラーリは気になるが、同じピニンファリーナでもBLMC時代の大衆車のほうに興味が合ったりする。サニーやパブリカに興味が向く人もあるだろう。欧州でも自動車販売促進を目指した対策で古いクルマの多くが処分されたようだ。産業としてはそれが正しいが、それがすべてに正解ではない。欧州でこの程度なら日本ではそれ以下だろう。自動車博物館も増えたし、メーカの自社の歴史を重視してきたことは喜ばしい。普通の生活は、平凡な毎日の繰り返しで構成されている。平凡を否定する理由もないから、日常を記録することを少しの努力で行うのは大切である。

テレビで出版社の編集を行っている人が七月で還暦を迎えと言っていた。タレントが誕生日で還暦というのはご愛嬌だが、出版に関わる人がこの程度かと驚いた。干支(えと)は、十干と十二支を組み合わせた六十が周期なり、十干十二支(じっかんじゅうにし)と呼ばれ暦などに用いられる。暦の話だから、生まれた年の干支が再びやってきた六十年後を還暦と呼ぶ。よって誕生日基準ではない。還暦のお祝いを誕生日近くで行うことからこの誤解が生じるのだろう。古い話を今日の基準で計る愚かさを、自分自身に戒めねばならない。

古い言葉は難しい。新しい言葉は理解できない。結果、会話可能なレンジが狭い。

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