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2012年10月10日 (水)

リニアモーターカー

この国の電力供給が今後どのようになるか不透明である。脱原発の主張はメディアで大きく取り上げられる一方で、原発推進を目指す主張はあまり取り上げられない。経済界からは原発の維持の意見が出ているが、政治家はこの時期に原発推進は有権者の反発を招く恐れから行わない。
ところで、リニア中央新幹線が東京―名古屋間の開業を2027年に目指している。脱原発の流れに従うと、この時期には原発が無いことになる。電車を動かす電力の供給には問題はないのだろうか。

超電導リニアは、鉄道総合技術研究所と東海旅客鉄道(JR東海)によってより開発が進められている磁気浮上式リニアモーターカーである。山梨県に18.4kmの実験線があり、走行実験が繰り返されていることが知られている。500km/h以上の有人走行も達成している。
国土交通省『交通関係エネルギー要覧 (2000)』によると、単位輸送量あたりの二酸化炭素排出量(g-CO2/人キロ)は、鉄道18.3、航空機110.0、乗用車165.0であるのに対して、山梨実験線での推定値で40以上80未満(乗車率80%、500km/h走行時)となっている。鉄道より高いが航空機より低い見通しであることが示されている。
消費電力は平均的には鉄道より二倍以上高いが高速移動が可能というのが売りとなる。平均的では正しくとも、瞬間的な消費電力が高く、供給不足が生じないかが表に出てきていない。
リニアモーターカーの常設実用路線として、愛知高速交通東部丘陵線がある。全長8.9kmで、最高速度は100km/hとなっている。2005年の愛知万博開催のアクセス改善の為に営業が開始され、その後も継続運転されている。車両は3両編成で、定員は244名(座席数104)である。車両重量は17tとある。
近年営業運転開始の鉄道の例に漏れず赤字である。万博閉幕後の一日平均利用者数見通しを31,000人と想定したのに対して12,000人程度であったことが大きく影響している。理由も例の如くで、料金が高い、駅の利便性に劣る、他線との接続が不便、と決まったセリフが続く。そんなことは分かっていたが、三万人の利用者がいないと赤字になるから三万人ありきの資料作成したことは容易に想像が付く。当然、その様な指摘には見通しが甘かったとしか答えないのであるから、部外者の勝手な想像であるのは念の為記す。なお、年間の乗車人員輸送実績は、2011年度で677.2万人である。旅客運賃収入は同年度で1,085,300千円である。

話を技術的な問題に戻す。日本のリニア中央新幹線は、ドイツのトランスラピットに原理的に同じと考えて良い。磁気浮上に至るまでの仕事による消費電力が大きいと予想されるが、トランスラピットのこの瞬間最大電力は50名定員1両あたり10MWである。これからすると瞬間最大消費電力が高い懸念がある。しかし、リニア実験線に関して消費電力の説明はない。技術的に完成されていない装置に予断を持たれたくない事情は理解する。それでも何か情報発信を行うべきではなかろうか。
なお、JR東日本は発電設備と持つが、その他の電車会社は大規模な発電設備を持たない。もちろん、JR東海も。とすると、リニア新幹線の営業運行には、電力供給がセットになっていないといけない。電力供給は東京電力では難しいが、中部電力も楽ではない。JR東日本にJR東海の為の投資を求めるのは筋違いである。JR東海が発電所を持つのが最も現実的な解になるが、リニアという新しい技術に、発電所の運転という新規事業を追加するようでは負担も見通しも悪い。リニア技術に集中して、安全運転とエネルギーの効率化を達成するのが旅客事業を行う会社の責任であろう。電力供給に課題があることは、JR東海が世の中に発信する責任があると考える。それを言わずに、作業が進んだ段階で運転開始を人質にして、電力供給を求めるのは公共性の高い会社の仕事ではないだろう。

リニアが原発5基分でもないだろうが、本当のところは誰が知っているのだろうか。

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